ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 400番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/9
記憶力仮説(その1) as/400.html
森川林 2009/02/26 10:40 
 今日は、記憶力についての仮説を述べたいと思います。

 現在の社会では、知識の差が学力の差を生み出しています。少なくともそのような性格の学力評価がなされています。
 知識の量はもちろん、学力の一部です。しかし、大学入試問題の社会科のテストなどを見てみると、知識の差がほとんどすべての学力として評価されているような印象を受けます。
 本来、入試に出てくる知識の問題は、相対評価で競争させずに、到達度評価にすべきだと思います。必要とされる知識の量は、すべての人が百%到達できることを目標にしておくということです。
 ですからもちろん、入学も希望する人は百%を入学させることが目標です。
 全員入学がなぜ可能かというと、ネットによる人数無制限の教育ができる体制がすでにできているからです。そして、学生どうしが相互に切磋琢磨するコミュニケーションのグループをSNSのようなもので作っていけば、学習の密度を高めていくことができます。将来の教育は、そのようなものになるでしょう。

 現代は、知識の差が学力の差として評価されていることで、ある種の世襲制社会を生み出している面があります。ゆとり教育の中で、知識を身につけられない子と知識を身につけるノウハウを持っている子との差がますます広がります。そして、学歴という誰でも納得できる評価を前提にして、例えば面接試験で恣意的な評価を加味すれば、一見合理的な装いを持った世襲制社会が生まれるということです。
 こういう不自由な社会をを固定化しないためにも、誰でも百%の知識が身につくような教育が行われていく必要があると思います。

 では、知識のもとになる記憶力とはどういうものでしょうか。
 本来人間は、あらゆるものを記憶していると考えられます。例えば、サヴァン症候群の子供たちの中には、常識では考えられない優れた記憶力を持つ子がいます。
 しかし、一般の人にとって、記憶したものがすぐに思い浮かべられないのは、記憶した個々の素材に検索のためのインデックスがついていないからです。つまり、頭のどこかに記憶したものはあるはずだが、それを探し出すことができない、という仕組みになっているのです。

 ここからが仮説です。記憶の仕方には、三つの方法があると思います。
 第一は、ごく普通の何回も繰り返して覚えるという記憶の仕方です。ところが、英語の単語や社会科の知識を無理やり覚えても、覚えた記憶どうしの干渉作用が起こり、覚える量が多くなればなるほど、記憶の能率が低下していきます。そして結局、記憶の濃さは反復の量に比例するという形で定着します。このために、人間は限られた分野にしか専門的な知識を蓄積できないという状態になっているのです。
 第二は、現在流行している記憶術による記憶の方法です。この記憶術の方法というのは、自分が熟知している分野の引き出しを、更に、熟知している仕切り板で細分化して覚えていくという方法です。この記憶術は、テストのための知識を蓄積するには極めて有効です。また、ギリシア時代の雄弁術で使われていたように、スピーチなどの技術としてもかなり有効です。しかし、記憶術は単なる技術であって、真の学力が身につくのではありません。しかし、現代のテスト形式の成績はもちろん上がります。
 第三は、新しい記憶力の方法です。これは、すでに南方熊楠や塙保己一やシュリーマンや本多静六などの実践で知られている記憶法です。しかし、この記憶法の仕組みはまだ究明されていません。
(つづく)
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)

マインドマップ風構成図
 記事のもととなった構成図です。

(急いで書いたのでうまくありません)

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。


記事 399番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/9
PISA型読解力が要求されるようになった背景(質問に答えて) as/399.html
森川林 2009/02/25 05:32 
 英語や数学は、たとえ苦手であっても、中学生のころに本気でやれば、数ヶ月で得意になるというレベルまでの勉強ができます。
 しかし、国語の差は、いったんつくと埋めがたい差になります。ところが、点数の差でいうと国語の点数の差は小さく、英語や数学の差は大きいというのが普通です。そこで、多くの人は国語の点数の差を過小評価しがちです。
 国語は点数の差があると思ったときには、もうすでにかなり重症の状態になっています。国語力は、現在の日本では、小説の読み方のような教科と考えられている面がありますが、実は思考力そのものです。
 わかりやすい想像をしてみます。例えば、イエス・キリストと釈迦と聖徳太子が、現代の中学か高校の受験生になったとします。かなり想像しにくい話ですが。準備なしに英数国理社のテストをすると、結果はどうなるでしょうか。まず英語は0点でしょう。数学もかなり0点に近い点です。理科も社会もほとんど0点です。ところが、国語の読解問題だけは満点に近い成績なのではないでしょうか。しかし、イエスと釈迦と聖徳太子がそれから本格的に1年間勉強すれば、英語数学理科社会もたぶん高得点を取れるようになるはずです。
 このように、勉強で何か一ついちばん大事なものを挙げるとすればそれはやはり国語力なのです。ところが、国語力の差は、表面にはあまり大きく出てこないので、多くの人は、表面に差の出やすい教科の勉強を読書よりも優先してしまうのです。
 2006年のOECDの調査で、日本の生徒は読解力表現力の得点が低く、クイズの知識番組に出るような問題の得点は低くなかったということが明らかになりました。この結果は、きわめて重要な問題を示しています。つまり、日本の子供たちの本当の学力が低下しているのではないかということです。
 国語力の本質は考える力ですから、あらゆる勉強の基礎になっています。読解力、つまり読む力というものは、多様なものできるだけ早く理解し読み取る力です。表現力、つまり書く力というものは、様々に異なるものの関連性を見つけそれらを創造的に結びつける力です。
 国語の力をつけるためには、書く勉強としての作文の勉強が欠かせません。現在の国語の勉強は、選択式の読解の問題が中心になっています。それは、その方が採点しやすいからという理由によるものです。子供たちの国語力を本当につけるためには、もっと書く時間を増やしていく必要があります。書く力の評価をすべて人間が行うのは時間がかかるので、文章の自動採点ソフトなどを活用しながら書く勉強を学校で増やしていく必要があると思います。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。

コメント61~70件
……前のコメント
齋藤孝さんへの 森川林
私は、ブンブンどりむのようなレベルの低いものは誰もやらないだ 2/4
記事 4964番
作文力の土台は 森川林
齋藤孝さんは、「齋藤孝先生が選ぶ 高校生からの読書大全」など 2/4
記事 4963番
言葉の森は、オ 森川林
今、小123年生対象の基礎学力クラスと、小456年生対象の総 2/4
記事 4962番
言葉の森の作文 森川林
私は、人を批判するのは好きではありません。 大事なことは、 2/3
記事 4961番
自習室の利用を 森川林
ごめん、ごめん。 うっかりブレークアウトルームの設定を忘れ 1/29
記事 4940番
自習室の利用を aeka
ブレークアウトルームが表示されないです^^;確認お願いします 1/28
記事 4940番
自習室の利用を 森川林
 自習室は、ほぼ24時間開いています。  ブレークアウトル 1/24
記事 4940番
自習室の利用を aeka
自習室はどんどんと進化していきますね!!助かります。ありがと 1/24
記事 4940番
塾が忙しくなる 森川林
子供たちの成長の過程で、最後に残る自信は、忙しくても続けたも 1/24
記事 4946番
自習室が利用し aeka
ありがとうございます! 1/19
記事 4936番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
Re: 中2の 森川林
 これは、読解問題の解き方の基本だから、よく覚えておいてね。 12/22
国語読解掲示板
2024年12 森川林
●新年度の教材 https://www.mori7 12/22
森の掲示板
中2の読解検定 毛利
問題2番のAが×なのが納得いきません。解説お願いします。 12/19
国語読解掲示板
2025年1月 森川林
2025年1月の教材のPDFがプリントできます。 http 12/17
森林プロジェクト掲示版
創造発表クラス 森川林
創造発表クラスとプログラミングクラスの今後  創造発表 12/12
森川林日記
Re: 読解検 森川林
> 問一 B 2.3行目の「むっつりと」という文章が問題文に 12/12
国語読解掲示板
読解検定小六  あかそよ
答えに納得できないので教えてください。 問一 B 2. 12/9
国語読解掲示板
Re: 標準新 あかそよ
ありがとうございます。 考えてみたけど、やっぱり難しいです 12/5
算数数学掲示板
WinSCPの 森川林
ダウンロードとインストールは、特に問題なく、次々と進めて 12/4
プログラミング掲示板
Re: 標準新 森川林
 これは、確かに難しいけど、何度も解いていると、だんだん感覚 12/2
算数数学掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習