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記事 407番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
やりすぎを喜ばずに(その2) as/407.html
森川林 2009/03/05 10:05 
 子供ががんばってやりすぎたときにどうするかというと、第一は、褒めるということです。がんばったことは、評価してあげなければなりません。
 しかし第二に、その最初の頑張りを常態化させようとしないことです。
 第三に、その子にとって無理のない水準をいつも示しておくということです。
 例えば、作文の字数でいうと、小学校5年生の字数の目標は500字から1000字です。
 いつも1000字まで書けない子には、作文試験のときに無理やりにでも1000字まで書かせるというようなことも確かに必要です。瞬間的にでもいったんできた状態を経験すると自信がつくからです。
 しかし、いつも1000字が当然というような目標立てると、時には苦しい場面も出てきます。ですから、「課題が難しいときは、500字まで書ければいい。でも、できれば1000字まで書こう」というような指示の仕方をしていきます。
 暗唱も同じです。1週間で300字まで暗唱できればいいのですが、子供が最初のうちにがんばって400字まで覚えたとします。それを褒めることは必要ですが、そこまで行くことをこれからの目標にしてしまうと、結局、できるかできないかということになり、困難なときに、かえってやれなくなってしまいます。
 ですから、たくさん暗唱したことは褒めるのですが、それと並行して、「300字までできればいい」という無理のない水準をいつも示しておくことが必要です。
 さらに、子供でも、時には忙しい期間があります。そういうときには、300字までできるかできないかというような選択の仕方ではなくて、100字まででもできればいいというような無理のない水準を示してあげることが必要です。
 これらは、子供が臨機応変にできることではないので、保護者や先生が、その子の実態を見ながらアドバイスをしていかなければなりません。
 大事なことは、がんばらせることではなく、細々とでも長く続けていくことなのです。
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)

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やりすぎを喜ばずに as/406.html
森川林 2009/03/04 08:06 
 体験学習の1回目の作文を書くとき、ほとんどの子はとても長い字数を書きます。このときにその字数の長さを褒めるのはいいのですが、それをその子の実力だと思わないことが大切です。
 その子が最初に書いた長い字数をその子の実力だと考えると、次の週にも同じ字数を要求してしまいがちです。要求しないまでも、少なくとも字数が少ないとがっかりする気配を先生や保護者が示してしまうことがあります。
 これが、やりすぎを喜んでしまうことの弊害です。つまり、喜んだあとの反動に問題あるのです。
 暗唱の自習も同じです。1日10分間100字の暗唱という目標でいいのに、子供は最初のうちはもっとがんばります。
 子供ががんばって長く覚えた暗唱を、保護者や先生が、その子の実力だとみなすと、それがやがてその子にとって負担になってきます。
 そして、字数が減ると、「前はあんなにできたのに」というようなこと言ってしまいがちです。
 経済のバブルも同じです。過熱した相場には必ず反動があります。しかも、その反動はときに過剰な反動になります。極端に上昇して、それ以上に下降するというような成長の仕方では、かえって全体でマイナスになってしまうこともあります。長続きする道を選ぶのが、長い人生の送り方です。
 そこで、コントロールというものが必要になります。これは、経済政策と同じです。大事なことは単なる成長よりも安定成長を優先させることです。
 大人は自分の長い人生経験経験の中から、次第にそのコツをつかんでいきます。調子に乗ったときは少し抑えようとか、元気のない時は少し景気をつけようというような対応ができます。しかし、子供はまだそのコツがわかりません。
 そこで、物事の最初の取り組みで、子供がついやりすぎたときにどうするかということが大事になってきます。例えば、新しい問題集などを買ってくると、子供は1日目にたくさんのページをやろうとします。そのときに、親がまたは先生がどう対応するかということです。
(つづく)

マインドマップ風構成図
 記事のもととなった構成図です。

(急いで書いたのでうまくありません)

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記事 405番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
対話の大切さ(その2) as/405.html
森川林 2009/03/03 20:18 
 言葉の森の長文は、科学的な内容のものが多いので、読むだけでも面白いものですが、ここに更に対話によって、お父さんやお母さんが話を発展させていきます。
 例えば、ほかに似たような例は世の中にあるのだろうかとか、こういう仕組みが何に使えるだろうか、というような話です。
 ここで創造性が必要になってきます。単なる知識を伝達するだけでなく、創造性を発揮できるという点で、対話は親自身も楽しめる機会になります。
 大事なことは、子供に答えさせるというのではなく、親がたっぷり話をしてあげるということです。即興で創造する対話というのが大事なので、単に大人が知っている知識を子供に伝えておしまいというようなやり方ではありません。
 また、子供は面白いことが好きなので、対話の中ではできるだけ面白い話をするように心がけます。茶の間にホワイトボードを置いておき、学校のようにホワイトボードで説明をしながら対話をしていくというのも子供は喜びます。
 対話の結果、何か調べたいことが出てきたら、日曜日に実験をする計画を立てます。
 このように、日常生活の中で知的な対話をふくらませていくと、知識だけでなく、子供の日本語力=思考力が育っていきます。
 いったん知的な対話のある家庭ができれば、将来、子供が大きくなったときに、自分も親としてそういう家庭を築いていくでしょう。対話のある家庭では、テレビは主役にはなりません。テレビの話題をもとに、みんながわいわい話し合うのが茶の間の過ごし方の中心になります。テレビではなく家族一人ひとりが主役になるのが、本来の家族の過ごし方なのです。
 しかし、親が子に話をするといっても、やはり何かの手助けがある方がやりやすいものです。
 その一つは、生き物です。できれば、人間とコミュニケーションをとれる生き物の方がいいので、植物よりも動物です。犬や猫が難しいのであれば、手乗りの文鳥などでもいいと思います。家族の対話に文鳥も参加して、あっちの頭にとまったり、こっちの肩にとまったりして話題を盛り上げます。そして、その生き物自体が、またいろいろな研究のテーマを提供してくれます。
 もう一つは、大人向けに書かれた理科や社会の本です。ナツメ社で出ている「図解雑学」シリーズは、雑学という名前がついていますが中身は大人でも十分に楽しめる本格的なものです。こういう本で科学的な土台を作って、子供に話をするのです。ただし、知識を伝えるだけの話ではなく、そこに自分の体験などを結びつけて独自なものを付け加えていきます。

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