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記事 449番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/30
未来の社会と教育(その3) as/449.html
森川林 2009/04/10 04:40 
 社会におけるテストの役割ということから考えると、テストの性格というものが出てきます。つまり、テストは、社会又はその学校が求めている人材を目標にして作られています。だから、テストのための勉強をするには、ただ学力をつけるだけではなく、どういう問題が出るのか、つまりその学校がどういう人を求めているのかをを見なければなりません。これが、過去問を最優先して行う意味です。漠然とした勉強をして、その結果としてテストを受けるというのではなく、テストに合格するための勉強をするというのがテスト勉強では大事なことになります。しかし、この当然のことがわかっていない人が高校3年生でもとても多いのです。(私もそうだったと思うので、あまり言えませんが。^^;)
 学校での勉強の多くは、勉強のための勉強になっています。勉強の達成度を定期テストなどで評価するというのが学校内でのテストの目的です。しかし、入試というテストは、そういうテストとは正反対の性格を持っています。学校の定期テストなどは、達成度評価テストです。入試などのテストは、選抜テストです。選抜テストに取り組むためには、その選抜の方向を分析する必要があるのです。
 選抜テストが目指しているものを分析することに加えて大事なことは、選抜テストのための技術を有効に使うということです。評価されるのは潜在的な学力ではなく、顕在化された得点力です。選抜テストでは、この生徒は点数は低いが見込みがありそうだから合格させようということはありません。そういう選抜の仕方では、客観性とスピードが保証されないからです。
 得点力を高めるためには、真面目な努力だけではなく、得点を上げるための技術が欠かせません。例えば、昔の英単語帳はアルファベット順でした。その後、試験に出る頻度順の英単語帳が出ました。こういう発想の差が技術の差です。志望校によっては、必ず出る分野とまず出ない分野とがはっきり分かれています。それを見極めるのも技術です。今、記憶術が盛んですが、記憶術のノウハウを勉強に使うというのも技術です。
 選抜テストに勝つためには、努力だけではなく、作戦や技術が大事です。戦争に勝つためには、個々の戦闘だけではなく、戦略や戦術で勝つことが必要だということです。長篠の戦いでは、個々の戦闘力は武田勝頼軍の方が上だったでしょう。しかし、戦術力で織田信長が勝利しました。太平洋戦争では、日本は個々の戦闘や戦術では当初勝利を収めました。しかし、展望のない戦争に巻き込まれるという大きな戦略面で最初から敗北していたのです。
(つづく)

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新しい学校生活のスタートに向けて as/448.html
森川林 2009/04/09 03:12 
 中学、高校、大学受験が終わって、新しい学校の生活が始まった人も多いでしょう。
 受験の結果、目標よりも上の学校に入った人も、目標より下の学校に入った人もいると思いますが、それらはすべて途中経過です。これから、どう勉強していくかということがいちばん大事です。
 目標よりも上の学校や目標どおりの学校に入った人は、そこで安心しないことです。いい学校に入ったから、あとは学校に任せていれば大丈夫というわけにはいきません。勉強は、学校が教えてくれるものではなく、自分がするものです。これまでの受験勉強と同じように、自分なりの勉強時間を確保して学力向上に取り組んでいってください。中学受験をした人は、これまでの小学校6年間よりも大きく変わるのがこれからの中学3年間です。高校受験をした人は、これまでの中学校の3年間よりも大きく変わるのがこれからの高校3年間です。大学に合格した人も同じです。今はまだこれまでの勉強の惰性で学力がついていますが、これからの勉強の仕方次第で3年後又は4年後の学力は大きく変わります。ぜひ、意識的計画的に勉強に取り組んでいってください。
 目標よりも下の学校に入った人の中には、その悔しさをばねにして大きく伸びる人が必ずいます。しかし、大部分の人は悔しさを感じるほど下の学校ではなく、ほどほどに下の学校に行くことが多いでしょう。その場合、全体を通して見ると、やはりその学校のレベルにあった学力になっていきます。例えば、実力のほとんど同じA君とB君が受験をして、A君は難しいA校に入り、B君は易しいB校に入ったとします。B君がその易しい学校でいい成績を上げて勉強が得意になるというケースもありそうですが、実際には、B君はB校全体の水準に合うような学力に落ち着いていきます。なぜかというと、B君を取り巻く環境である友達や先生が、無意識のうちにB君の勉強の程度を決めてしまうからです。逆に、A校に入ったA君は、始めは苦労しますが、だんだんと友人や先生の求める水準まで行くのが当然という勉強の仕方になります。もともとの実力は同じぐらいであっても、この無意識の勉強の目標水準が違うことで、A君とB君の学力の差は広がっていくことが多いのです。
 では、目標よりも下の学校に入った人は、どういう勉強をすればいいのでしょうか。それは、学校の成績をあてにしないことです。学校でどういう成績を取ったかということには関係なく、全国的な模擬試験などを基準にして勉強を進めていくのです。学校での成績をよくすることにはあまり関心を向けず、自分の本当の学力をつけていくことに関心を向けるのです。しかし、ひとりだけそういう浮いた形で勉強をするのが無理だということも多いでしょう。その場合は、幅広い読書をすることです。大学入試の勉強は、1年間本気で勉強すればかなり実力がつきます。高3の1年間は、高1と高2の2年間の何倍もの密度があります。同じように、浪人の1年間は、高1から高3の3年間よりもずっと密度の濃い1年間になります。勉強は、本気になったときからが勝負ですから、まだ本気になれない時期にがんばろうとするよりも、本気になれない時期は幅広い読書で教養を身につけておくと考えればいいのです。その読書は、将来、受験勉強よりもずっと大きな財産になります。しかし、読書は当面の受験勉強にはほとんど役立ちません。その役立たないしかし重要な読書を、空いている時間にできるだけしておくのです。
 以上、ひとことで言うと、学校に任せずに自分で目標を立てて勉強すること、勉強する意欲がわかないときは読書をすること、ということになると思います。

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