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国語読解の苦手な子が増えている――読解力をつけるための対話と読書の方法 as/4554.html
森川林 2022/10/29 20:32 


●動画:https://youtu.be/j9p6fXQqghc

 国語読解の苦手な子が増えています。文章を読んで理解する力が弱いのです。
 共通点は、あまり本を読んでいないことです。
 読むとしても、絵が多く字の少ない本とか、長いひとつながりの本ではなく短編がいくつも並んだ本とかいうものが多いのです。

 では、本を読まずに、空き時間は何をしているかというと、YouTubeを見たりゲームをしたりしているのです。
 もちろん、YouTubeもゲームもいいのです。
 問題は、そのために本を読む時間を取れなくなることです。

 しかし、保護者の多くはそれが問題だと気がついていません。
 子供は学校にちゃんと行っているし、出された宿題も一応やっているから大丈夫だと思ってしまうのです。

 今の学校には、教育力はなくなっています。
 小学生時代にいちばん大事なのは、文章を読んで理解する力をつけることですが、学校ではそれ以外の時間が多すぎます。

 しかも、算数の授業では、基礎を身につけるよりも難しい問題をクイズのように解かせる趣味的な授業もあります。
 理科、社会も、授業を面白くするために、難しい問題を出すことが多いのです。
 更に、勉強とは関係のない行事の時間と、行事の準備のための時間が多すぎるのです。

 子供の学力は、学校ではなく、家庭でつける必要があります。
 そのためには、親子で対話をする時間を作ること、子供が読書をする時間を作ることが必要です。

 ところが、多くの家庭では、子供に算数や国語の問題集をやらせるような勉強をしています。
 問題集を解くような勉強は、勉強の習慣がつくこと以外の意味はありません。
 問題集を問いて学力がつくということはないのです。

 対話と読書の不足が学力の不足として表れてくるのは、高学年になってからです。
 小学4年生のころまでは、表面的には何も問題ないように見えます。

 読書をしない子でも、人との話だけは普通にできます。
 むしろ活発に話をするので、学力があるように見られることもあります。

 学力の差がはっきりするのは、作文を書くようなアウトプットの勉強をするときです。
 作文の学力は、それまでのすべての学力の集大成ですから、すぐに上達することはありません。
 だから、作文に、その子の本当の学力が表れるのです。

 子供の学力を育てるのは、学校ではありません。
 また、家庭でやる問題集でもありません。
 ただ、親子の対話と読書の習慣を続けることです。
 対話と読書で育った子は、いざ勉強が必要になったときには、すぐにその勉強の力をつけることができます。
 読書力のある子は、勉強だけして早めに成績がよかった子をすぐに追い越してしまうのです。

 今、小学生の子をお持ちのお母さんは、家庭での対話と読書にできるだけ時間を割くようにしていってください。

 対話のコツは、子供の長文音読や理科実験の発表を利用することです。
 子供が長文を読んでいたら、その長文に関係する親の体験談を話してあげるのです。
 子供が暗唱の練習をしていたら、その暗唱の内容に関連する親の体験談を話してあげます。
 また、理科実験の発表の時間があったら、一緒に発表のテーマを決めて、そこで子供と一緒に相談してあげます。

 本当は、お母さんだけでなく、お母さんとお父さんがともに対話に参加できるようになるのが理想です。
 いちばんいいのは、当の子供そっちのけで、お父さんとお母さんの話が弾むことです。
 子供はそういう話を聞いて、語彙力と話す力と聞き取る力を育てていきます。

 読書については、毎日必ず本を読む時間を作ることです。
 子供だけに読ませるのではなく、家族全員で読む10分間読書の時間を設けることもできます。

 子供は、親の後ろ姿を見て育ちます。
 親が楽しそうに本を読んでいれば、子供も、自然にそういう大人になりたいと思います。
 だから、日常生活の中で、親が本を読んでいる姿を見せることも大事なのです。

この記事に関するコメント
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森川林 20221030  
 読解力がないということは、読む力も考える力もないということです。
 勉強などは、やれば誰でもすぐにできるようになります。
 しかし、読解力がないと、あらゆることで自分なりの考え方をすることができなくなります。
 その読解力が、年々低下しているように見えます。
 実は、目立たないけれど、これが日本のいちばん大きな問題だとも言えます。

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競争に勝つことよりも、創造に勝つこと as/4553.html
森川林 2022/10/27 16:26 


https://youtu.be/nzajfnoac4E

 マンモスの牙が役に立たないぐらい伸びたのは、定向進化と言われています。
 進化がある方向に進み、ある段階になると、その進化が役に立たないものになっても進み続けるということです。

 その発端は、たぶんマンモスどうしの競争でした。
 最初は、牙が長い方が強いし、格好もよかったのです。

 しかし、やがて牙の長さで競い合うようになると、役に立つかどうかということよりも、格好だけが優先して牙だけがどんどん伸びていきました。

 こういう定向進化が起こるのは、生物が他の種と競争する必要がなくなり、同じ種どうしの間での競争が、競い合う主な分野になっていっためです。
 もし、マンモスと対抗しうる他の生物がいたら、牙の定向進化などという悠長なことはやっていられずに、もっと生存に役立つ他の能力が伸びていったはずです。

 先日、たまたま見たウェブに、「GalaxyとPixelのどちらが優れているか」という記事が載っていました。
 その中身は、どちらがどれだけ厚みがあるとか、バッテリーが持つかとか、重たいかという、言わば、マンモスの牙の長さ比べのような話でした。

 実は、これが今の日本や社会の置かれている、他との競争のない平和な社会の状態なのです。

 かつて、競争が社会の進歩の動因になっていた時代がありました。
 今も、競争には、社会の進歩を進めるという面があります。
 社会主義国が資本主義国に経済面で負けたのは、競争のない体制だったからという話は、確かにそのとおりでしょう。

 しかし、世の中は今、急速に競争のない時代に向かっています。
 競争のない時代に生きる生き方は、平和に生きることだと言う人もいます。

 しかし、競争の持つエネルギーやワクワク感に比べると、平和の持つエネルギーやワクワク感はかなり小さいものです。
 人間は、そういうところに十分な満足感を見つけることはできないでしょう。

 競争のない時代で、しかもワクワクできる生き方は、創造です。
 他人に勝つことに情熱を燃やすのではなく、新しいものを創造することに情熱を燃やすような生き方がこれから求められてきます。

 マンモスは、長い牙と厚い体毛を持ったまま滅んでいきましたが、生物の種全体は、個々の種が滅ぶのと並行して、新しい種を創造していきました。
 今日の世界の多様性は、その創造の結果です。

 私は、子供の教育に関しても、競争から創造へという大きな流れが生まれていると思います。

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森川林 20221027  
 私は、人と人を比較するのは好きではありません。
 勝ち負けがあるというのは、社会が不足していたときの名残で、やがて社会が豊かになると、勝ち負けに興味を持つ人は自然に少なくなっていきます。
 勝ち負けではなく、それぞれの人の個性がそのまま認められるようになるのです。

 しかし、今の時点だけで考えると、勝ち負けのある世界は、子供たちを熱中させます。
 だから、子供たちをがんばらせようと思うときは、勝ち負けとか賞罰とかが役に立つのです。

 ところが、そういう勝ち負けの世界に適応しすぎてしまった子は、その後の人生もずっと勝ち負けを基準にしていくようになります。
 やがて、そういう生き方は時代遅れになっていくと思います。


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