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勉強の目的――作文、国語読解、算数数学、英語、創造発表、プログラミング(その2) as/4721.html
森川林 2023/05/08 01:29 

ムラサキツメクサ

●中学受験について

 学習塾の宣伝で、私立の中高一貫校に入ると、大学進学に有利になるということが言われています。
 それは、主に高校の数学で先取り学習が行われるからです。

 子供は、環境に適応するので、先取りの勉強を行っているうちに高3になれば、受験に特化した勉強に切り替えられます。
 この1年間の差が、中高一貫校の有利な点です。
 授業の内容が優れているから有利になるということではありません。

 私立の中高一貫校のもうひとつのよい面は、文化的な伝統のある学校があることです。
 公立学校は、定期的に教師の異動があるので、文化的な伝統はできません。


 小学5、6年生は、子供の向上心が増す時期です。
 この時期に受験に取り組むことは、子供の成長にプラスになります。
 合否も大事ですが、それ以上に大事なことは、目標を持って勉強に取り組む経験をすることです。

 しかし、今の中学受験の学習状況を見ていると、受験勉強のマイナス面もまた大きいのです。
 ペーパーテストに合格するためには、時間をかけて知識を詰め込む必要があります。
 その知識とは、難しい問題を解くための解き方を覚える知識です。

 解き方を覚える勉強は、高校入試でも、大学入試でも、どの試験にも共通しています。
 しかし、それを小学5、6年生が、過度に取り組むところに問題があるのです。

 集中して勉強に取り組む期間が、数ヶ月や半年程度であれば問題はありません。
 かえって、その集中期間の経験は、役に立ちます。

 しかし、今は、1年も2年も、人によっては3年も4年も、受験を目標とした勉強が生活の中心になることがあります。
 すると、ほかのところに弊害が出てきます。

 第一は、読書や遊びを通した幅広い教養や経験を身につける時間がなくなることです。
 第二は、主体性がなくなり、人に言われたとおりに行動する生き方が身についてしまうことです。
 そして、第三は、勉強そのものに飽きてしまうことです。
 勉強に飽きるとは、単に勉強に飽きるだけではなく、向上心を持つことに飽きることでもあるのです。


 一方、公立中学には、いろいろな問題があることが指摘されています。
 ひとつは、内申点があることです。
 内申点自体には、問題はありません。
 その内申点が、生徒の管理に使われているところに問題があります。

 もうひとつは、荒れている学校があることです。
 しかし、学校という外部の環境は、二次的なものです。
 どんな学校にいても、すべては本人と本人の家庭次第です。
 かえって、現代社会の縮図のようないろいろな生徒のいる学校の方が、いい経験になります。

 これは、学校に行かなくても同じです。
 いずれにしても、すべて、本人と家庭次第なのです。


 これまでは、私立の中高一貫校に行くことが大学受験に有利だと言われていました。
 それは、先に述べたように、先取り学習をする仕組みがあったからです。

 逆に言えば、公立中学や公立高校であっても、自分で先取り学習をすれば、私立の中高一貫校と変わりません。
 ただ、子供は自然に周りに合わせて生活するので、ひとりだけ先に進むということができにくいだけです。


 ところで、今の大学入試は、大きく変化しています。
 それは、国公私立大学の入学者の50%以上が推薦入試で合格していることです。
 国公立大学に限っても、約20%が推薦型の入試で合格しています。
「創造発表クラスの勉強について――これからの大学入試の変化にも対応できる」
 両親の世代の大学受験と比べて、大学入試は大きく変化しています。

 これは、世界的な傾向で、大学入試が、知識の多寡で受験生を評価するのではなく、意欲と個性と思考力と創造性で受験生を評価する方向に向かっているからです。
 ChatGPTに見られるAI技術の発達によって、この傾向は今後更に加速します。
 このときに生きてくるのが、創造発表クラスのような探究型学習の蓄積です。

 受験は、当面は大きな目標であっても、学力全体のバランスを考えることが大事です。
 勉強だけでなく、意欲や個性や思考力や創造性を伸ばし、将来、社会に出てから活躍できる力をつけることを学力の本当の目標にすることが大切なのです。
(つづく)

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森川林 2023/05/07 14:48 


●動画:https://youtu.be/QJYEVySZPHQ

●勉強の目的

 勉強の目的は、いい大学に入ることではありません。
 その先にある、いい仕事をすることです。

 大学に入るところまでをゴールにしていると、勉強の目標が近視眼的になります。
 次のテストでいい成績を取ることが目標なのではなく、自分自身を向上させることが本当の目標です。

 かつては、いい大学に入ることが、いい会社に入ることにつながり、その後のいい生活を送ることにつながっていました。
 しかし、それは、過去の時代の話です。

 今でも、いい大学に入ることがいい会社に入ることにつながる仕組みは残っています。
 しかし、それがその後のいい生活につながるかどうかはもうわかりません。

 具体例を挙げれば、昔、いい就職の目標の上位に入っていた銀行、証券会社、マスコミ、広告会社、教員、公務員などは、もう上位には入っていません。

 これまでは、GAFAに代表されるネットテクノロジー企業に人気がありましたが、今は、どこも大規模なリストラにさらされています。

 だから、いい枠の中に入ることがゴールなのではありません。
 どこにいても、自分らしい仕事をすることが大事です。

 どういう会社に入ろうと、又は、どういう社会になろうと、自分ひとりでも生きていける実力を育てていくことが、本当の勉強の目的なのです。

 私(森川林)は、言葉の森の創設当初から、勉強の真の目的は、独立起業をする力をつけることと思っていました。
 しかし、当時は、そういうことを受け入れられる空気はありませんでした。

 今は、違います。
 聞くところによると、東大のトップレベルのグループは、独立起業を考えていて、二番手以降が大企業への就職を考えているそうです。

 これまでは、起業にはさまざまなハードルがありました。
 資金のハードルや、組織のハードルや、生活を続けるためのハードルなどがいくつもあったのです。
 今は、ハードルはほとんどありません。
 将来、ベーシックインカムが広がれば、ハードルは更に低くなります。

 これからは、誰もが、自分の個性と情熱を生かし、自分らしい仕事を作る時代になります。
 勉強は、そういう時代に生きる実力をつけるための勉強であって、学校のテストでいい点数を取るための勉強は、その手前の小さな目標に過ぎません。

 言葉の森に来ている生徒には、優秀な人が多いです。
 クラスで何番とか、学年で何番という人もかなりいます。
 そういう人こそ、勉強の目標を、大学入試に置くだけでなく、その先にある自分らしい仕事をすることに置いていってほしいと思います。
(つづく)

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