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読書感想文コンクールは、たぶん今年で終わる――ChatGPT時代の教育は、新しい形にならざるを得ない as/4751.html
森川林 2023/05/29 03:09 

白バラ

●動画:https://youtu.be/97hCChl3yAU

※この記事は、最初の部分を「国語読解掲示板」に書きました。
https://www.mori7.com/ope/index.php?k=45

====国語読解掲示板からの引用
 読書感想文コンクールが今年で終わる、というのは、決して大げさな言い方ではありません。
 普通に考えれば、そうなります。

 例えば、読書感想文コンクールに入選した作品のいくつかが、ChatGPTやBardを使って書かれたものだったとした場合、コンクールの意味がなくなってしまいます。

 同じように、大学のレポート提出も、会社のエントリーシートも、意味がなくなります。

 マスの参加者を対象に、リアルな場ではないところで、不特定多数の生徒を選抜をするということ自体が、ある意味で不可能になっているのです。

 変わらなければならないのは、教育の側です。
 最もあてになるものは、その場のリアルな対話か、その参加者の過去の実績です。
 過去の実績は、今後、ブロックチェーンで保存できるようになるので、過去の実績はその人の本質と結びつく形で残るのです。

 しかし、もっと大事なことは、教育の概念を変えることです。

▽参考記事
【夏休み2023】第69回青少年読書感想文全国コンクール課題図書一覧
https://resemom.jp/article/2023/05/18/72171.html
====引用終わり

 さて、では、変わらなければならない教育の概念とは、どういうものになるかということです。

 現在の教育は、顔の見えない不特定多数を前提としています。
 確かに、30人学級や40人学級であれば、先生は一応みんなの顔は見えます。
 しかし、生徒の成績を順位や偏差値で評価するとき、そこでは子供の顔は見えなくなります。

 カンニングが起こるのは、生徒が自分を不特定多数の一人と考えているときです。
 感想文コンクールで、ChatGPTを利用して書き上げようとする人出てくるのも、それは、自分を不特定多数の一人だと考えているからこそ、そういう発想が生まれるのです。

 もし、これが5人程度の互いに顔の見える少人数のクラスであったとしたら、カンニングやChatGPTによる盗作は生まれません。
 なぜかというと、一人だけズルをすることは、格好悪いことであるだけでなく、意味のないことであると思うようになるからです。

 人間は、人間の関わりの中では、普通に人間らしく生きることができます。
 しかし、人間の関わりのない機械的な環境で、任意の一人として生きるとき、狭いエゴで生きるようになるのです。

 読書感想文に教育的な意義があるとしたら、それは少人数のクラスで感想文の練習として行われるときです。
 もし、そこで誰か一人がChatGPTを使ってうまく感想文を書いたとしても、それに気がついたとき、みんなはただ笑うだけです。
「おまえ、そんなことやって上手に書けて面白いの?」
 だから、誰も不正なことをする気にはなりません。
 自分自身の向上のために勉強するという原点が残るだけだからです。

 大事なのは、顔の見える人間的なつながりの中で教育が行われるということです。

 今の教育は、人間のつながりのない中で行われています。
 インターネットとITテクノロジーは、それを能率のよい教育として加速させています。
 優れた授業の動画を低価格で配信し、定期的にテストを行い、個々人の苦手な分野をAIで抽出して再テストを行うという流れは、能率のよい教育の典型です。
 今、生まれている教育系ベンチャーの多くは、そういう方向を目指しています。
 しかし、人間の最も重要な本質は個性です。
 その個性は、同じようにそれぞれの個性を持つ数人の友達や先生やその他の人と接する中で磨かれていくものです。
 その磨かれ方には、もちろんプラス面だけでなくマイナス面もあります。
 いわゆる悪友や反面教師という役割の人とのつながりもあるからです。
 しかし、そういうつながりの中でこそ、人間は自分らしい個性を伸ばしていけるのです。

 これが、ChatGPTなどのAIテクノロジーを超える、新しい教育の概念です。
 AIは、教育の脇役です。
 人間のつながりの中で行われる教育が本筋なのです。

 この新しい教育の概念は、言葉だけでは実現できません。
 概念を実現させる器としてのプラットフォームが必要です。
 それが、オンライン少人数クラスのプラットフォームです。

 オンラインでロングテールを利用できることと、5人以内の少人数で全員がつながりを持てることと、クラスという単位で永続性があることが、このプラットフォームの条件です。


 話は変わりますが、読書感想文コンクールがなくなることに伴って、学校から毎年夏休みに出される無意味な感想文の宿題もなくなると思います。
 また、税金とか人権とかいうテーマの作文の宿題もなくなると思います。

 作文や感想文は、宿題やコンクールとしてではなく、少人数クラスの授業として行っていくものです。
 人間のつながりの中で、自分の言葉で文章を書くからこそ勉強の意義があるのです。


 ところで、話はまた少し変わりますが、読書感想文コンクールを主催している学校図書館協議会の課題図書は、例年、とてもいい本を選んでいます。
 出版社の持ち回りになっているという批判もあるかもしれませんが、全体に良書を選んでいます。

 過去の課題図書のリストは、子供たちの本選びの参考になります。
https://www.j-sla.or.jp/contest/youngr/pastbook/612015.html

 しかも、昔の課題図書は、中古でたくさん出ていますから、多くが1円(送料250円)で購入することができます。
 図書館やブックオフでもすぐに見つけることのできるものが多いと思います。

 課題図書は、感想文を書くためにではなく、読む本の参考として活用していくといいのです。

▼「桃太郎」を例にした感想文の書き方
https://www.mori7.com/as/1314.html

▼読書感想文の書き方——小学校低・中学年の感想文
https://www.mori7.com/as/537.html

▼読書感想文の書き方——小学校高学年の感想文
https://www.mori7.com/as/538.html

▼読書感想文の書き方——中学生の感想文
https://www.mori7.com/as/539.html

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森川林 20230529  
 ChatGPT時代には、大勢の人数の中から一人を選ぶとか順位をつけるとかいうこと自体の意味がなくなってきます。
 ChatGPTによる作品を認めた場合、その作品を評価するのもChatGPTのようなAIになれば、機械が機械を採点するというやや滑稽な状況が生まれます。
 すると、人は、次第にそういうことに興味を持たなくなります。
 そのときに人間の興味として残るのは、自分自身の幸福と向上と創造と貢献です。

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オンライン少人数クラス教育宣言――オンライン少人数クラスの教育は、集団指導でも個別指導でもなく、クラス指導というかたちの、生徒の発表と対話を生かした新しい時代の教育 as/4750.html
森川林 2023/05/28 06:57 

ガクアジサイ

●動画:https://youtu.be/nxiulFnu9cg

 オンライン少人数クラスの教育というのは、言葉の森が初めて始めたことなので、ほかに比較できるような教室はありません。

 オンライン少人数クラスの教育は、集団一斉指導の教育ではありません。
 しかし、単なる個別指導の教育でもありません。
 それらの教育とは異なる、生徒どうしの発表と交流、生徒と先生の対話を中心にした5人以内の少人数クラスでの教育です。

 これまでの勉強スタイルの多くは、生徒が教室で先生の話を聞き、そのあと家庭で行う宿題を出され、時どき教室でテストをされるというかたちでした。

 この従来の教育には、三重の無駄がありました。

 第一は、先生の話を聞く授業は、わかることもわからないこともひととおり聞かなければならないという無駄です。
 勉強は、参考書や問題集を自分のペースで進めた方がずっと能率がいいのに、授業では最初から最後まで先生の話を聞かなければなりません。

 私は、小学校高学年のころ、授業が退屈で、教科書にずっと落書きを書いていました。
 そのときの担任の先生は、後に校長先生になるとてもいい先生でした。
 しかし、私は授業を聞いているだけの時間が退屈で仕方なかったのです。
 今も、このように感じて授業を受けている子供たちは多いと思います。

 第二は、学校から出される宿題は、その多くが無駄だということです。
 できることを何度もやらされる一方、できないことも通り一遍でしかできません。
 自分で判断して、できない問題を中心に自習をすればいいことを、人に指示されて全員一律の宿題をやらされるのですから、時間がかかるだけでそのわりに中身はあまりありません。
 宿題が必要なのは、自分で勉強できない生徒だけでいいのです。

 第三は、単なる評価のためだけのテストという無駄です。
 テストは、過去の評価のためのテストでなく、未来の指導のためのテストであるべきです。
 しかし、今のテストは、結果を評価するためだけのテストになっています。
 そのため、重要なことをテストするよりも、生徒が間違えやすいことを中心にテストをするという本末転倒のテストになっています。

 テストの目的は、点数をつけることではなく、100点が取れるまで指導することにあります。
 だから、点数をつけることはゴールではなく、指導のスタートです。
 答えのあるテストは、100点が取れるまでやることが当然なのです。


 授業の無駄、宿題の無駄、テストの無駄という現在の教育の三重の無駄は、今の教育体制のもとでは解決できません。
 教える先生の工夫では、この無駄の多い教育を変えることはできません。
 根本的に、教育のプラットフォームと、教育に対する考え方つまり教育観を変える必要があるのです。


 オンライン少人数クラスの教育は、友達と一緒に行う学習を基本としています。
 それは、5人以内という人数を限定したクラスだからできる学習です。

 オンライン少人数クラスでは、読書紹介とか、一人一言の時間とか、先生のちょっとした雑談とか、勉強の中身とは一見関係のない無駄に見える時間があります。
 しかし、それらは無駄ではありません。

 生徒が身につける勉強の中身は、家庭での自主学習によるものです。
 授業での先生の役割は、生徒の家庭での自主学習の状況をチェックし、必要に応じてアドバイスをし、生徒たちが自由に発言できるクラス作りをすることです。
 そのときに、ひとつのクラスで友達と一緒に勉強しているという環境が必要になるのです。

 子供たちが成長したときに残るのは、友達と一緒に勉強した経験と、家庭で行った自主学習の蓄積です。
 学習とは、知識をブロイラーのように詰め込むことではなく、人間の経験として身につけることです。
 人生の一部として身につけた学習が、生きた学習になるのです。

 教育は、生身の人間の関わりの中で行われる必要があります。
 少人数クラスの学習は、集団一斉指導の学習とも個別指導の学習とも違います。
 しかし、この新しい学習スタイルは、まだ十分に理解されているとは言えません。
 教える先生の側も、つい昔ながらの一斉指導や単なる個別指導の教え方になりがちです。
 また、保護者の方も、生徒がお喋りばかりしていて無駄の多い授業だとみなしがちです。

 しかし、このオンライン少人数クラスの教育が、これからの新しい教育の姿です。
 AI時代に、勉強のスタイルと勉強の目的は大きく変わります。
 与えられた知識を詰め込み再現する教育から、新しいものを創造し発表する教育に変わるからです。
 その新しい教育のひとつの姿が、言葉の森のオンライン少人数クラスの教育なのです。

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