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齋藤孝さんの(1)「こども文章力」を読んで――あまりのレベルの低さに驚く as/4859.html
森川林 2023/11/24 06:37 

シジュウカラ

●動画:https://youtu.be/FGC9VlyuKJQ

 私は、他人を批判するのは好きではありません。
 批判は、何も生み出さないからです。
 大事なことは、よいものを褒めること、自分で創造することの2つで、悪いものを批判することではありません。

 しかし、悪いものが出回っていて、それを多くの人が知らずに使っていたとすると、それはもったいないことだと思います。
 なぜかというと、その悪いものを通して、自分がしようとしていたこと自体が意味のないものだと思ってしまうことがあるからです。

 例えば、作文教育が大事だと思っても、勘違いした作文教室に参加すれば、子供は作文嫌いになります。
 少なくとも長く続けようという気にはなりません。
 作文力は、小学校時代だけではなく、中学生、高校生になってから更に伸びる学力です。
 それを、小学校時代に、勘違いした作文教育を受けることによって、作文の勉強から離れてしまったとしたら、それはせっかくの機会を活かせなかったことになるからです。


 作文通信教育講座「ブンブンどりむ」の監修をしている齋藤孝さんが、「こども文章力」という本を出しています。

 ブンブンどりむは、「作文特化の教材で身につける『自分で考え、表現する力』」をうたっているので、作文教育がメインです。
 その作文教育を監修している齋藤孝さんが書いている本なので、どういうことが書いてあるかと思い読んでみました。


 たぶん、言葉の森の作文教育法と同じようなことが書いてあるのだろうと思いましたが、中身は全然違いました。
 作文教育に全くの素人の人が、国語の問題集のような感じで、作文の書き方の説明を書いているだけの本でした。
 この本を読んで、作文の書き方がわかったり、作文が書けるようになる人はまずいないと思います。

 ブンブンどりむは、「30年の実績 作文添削」ということを広告で書いています。
 本当に30年前に何をやっていたか知りたいところですが、30年も作文指導をして、このレベルの作文指導では、何を指導していたのかわかりません。

 たぶん、ブンブンどりむは、現場の添削の講師が赤ペン添削をがんばって書いているだけで、作文指導の根本の方法論がないのだと思います。


 ちなみに、言葉の森の作文指導は、40年以上の実績で、40年以上前に指導していた経過も事実として残っています。
 法人化する前から数えれば、50年近い実績です。

 40年前には、作文教室という概念自体がない時代でしたから、言葉の森が日本で最初に「作文教室」の名称を使った教室です。
 言葉の森は、そのころから、すべて手作りの試行錯誤で作文指導の方法を積み重ねてきました。
 だから、小学1年生から高校3年生までの作文指導ができます。


 私(森川林)のうちの子2人も、小1から高3まで言葉の森で作文の勉強をしました。
 当時は通学の作文教室があったので、子供の小学校の友達も来るようになり、その子たちは、やはり小学生から高校生まで勉強を続けた子が多かったです。
 高3になるころには、みんな立派な文章を書けるようになっていました。


 さて、齋藤孝さんの作文指導で何が問題かというと、指導の根本が穴埋め式の作文指導になっていることです。
 「最初にこういうことを書こう」「次にこういうことを書こう」「最後のこういうまとめを書こう」となっていますから、枠の中にそのとおりに穴埋めをした子は、作文を書くの前の箇条書きができます。

 しかし、箇条書きは、すべてつなげても100字から200字程度です。
 その100字から200字の箇条書きを、600字から1200字の作文にする方法はありません。

 箇条書きを作文にできる子は、もともと書く力がある子だけです。
 「なにを書けばいいかわからない」という子は、親が引っ張らなければ書けません。
 しかし、親が引っ張る状態は、何年も続けられるわけではありません。
 だから、ブンブンどりむは、小学生までの間の指導になっているのです。
 親が引っ張る形では、中学生、高校生までの作文の指導はできません。

 そして、かろうじて、600字の作文を書き続けた子がいたとしても、そのときの指導法の中心は、赤ペン添削です。
 赤ペン添削が返ってくると、子供は、先生がいろいろ書いてくれたと言って喜びますが、その赤ペンの意味を理解しようとする子はまずいません。
 そのうち、赤ペン自体を読まなくなります。
 だから、毎回同じような作文を書いて、毎回同じような赤ペン添削が続くのです。

 赤ペン添削は、集団一斉指導の時代に、そういう方法しかなかった時代の名残(なごり)です。
 今は、ネットワーク技術によって、少人数のクラス指導、個別指導ができます。
 これからの作文指導は、赤ペン添削以外の方法を生かしていく必要があります。


 言葉の森の作文指導の特徴は、第一に、全体の構成を考える指導です。
 この構成指導は、小1から高3まで系統的に組まれています。
 だから、小1で書いた構成の延長で、高3までの作文学習ができます。
 小学生までは、主に複数の実例です。
 中学生からは、意見と複数の理由や方法という構成になります。
 高校生は、原因や対策という構成が加わりますが、それ以上の感想文のもとになる文章が難しい論説文になります。

 言葉の森の作文指導の特徴の第二は、表現の仕方の項目指導です。
 どういう表現やどういう実例やどういう感想を入れればいいかということを項目として指導します。
 ここで、作文をふくらませることができます。
 また、保護者が子供にアドバイスをする場合も、漠然と「もっと長く書きなさい」などと言うのではなく、「この項目を入れるためにどうしたらいいか、一緒に考えよう」というアドバイスができるのです。
 例えば、「どうやってたとえを入れようか」とか、「どうやって会話を入れようか」などということを考えることができます。
 中学生や高校生の場合は、更に発展して、「どうやってデータ実例を入れようか」「どうやってことわざの加工をしようか」ということに発展します。

 言葉の森の作文指導の特徴の第三は、題材(実例)の指導をすることです。
 小学生の場合は、似た例を保護者に取材するという項目があります。
 ここで、保護者に取材した子は、実例だけでなく語彙が増えます。
 特に、小学5、6年生の抽象的な課題の出てくる作文では、両親の取材だけで子供の考える力が伸びます。
 語彙が増えるということは、感想の部分を自分らしく書けるようになることです。

 「こども文章力」に載っていた小3の生徒の例文では、感想のところを、「……とよろこんでくれて、うれしかったです。」という書き方になっていました。
 これが悪いというのではありませんが、「うれしかった」「たのしかった」「またやってみたい」だけで終わってしまう感想は、語彙の不足から来ています。
 だから、作文と通しても親子の対話が必要になるのです。

 言葉の森作文指導の第四の特徴は、主題の指導があることです。
 小学生の場合は、感想を長く書こうとか、作文の中に思ったことをところどころに入れようとか、結びの感想を自分らしく書こうという指導です。
 中学生高校生の場合は、感想や意見の部分をしっかり書くことで、森リン(自動採点ソフト、特許取得)の点数が上がります。
 森リンの点数を見るために、小学5年生からは、パソコンで作文を書くようにするといいのです。
 受験で作文を使う場合は、3か月から半年まに手書きに戻せば大丈夫です。
 この主題の指導が、客観的な数値として見えるということが、言葉の森の指導の特徴です。


 今回は、「こども文章力」の本の内容についてはあまり引用しませんでしたが、次回からは、本の内容に沿って、どうしたらもっとよい指導ができるかということを説明していきたいと思います。

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森川林 20231124  
勘違いした作文教育を受けて、作文を書くことが嫌いになりそのまま大人になってしまうとしたら、それはもったいないことです。

森川林 20231124  
ブンブンどりむは、結局、作文教育について何の理念も思い入れもない人が、作文が儲かりそうだからちょっとやってみようと思って始めた作文指導なのです。

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森川林 2023/11/23 08:19 

ハナカタバミ(オキザリス)

●動画:https://youtu.be/HyqlDnmCS6A

 昨日の保護者懇談会で、子供向けの新聞についての質問がありましたので、それに関連することを書きます。

 しかし、これは、私(森川林)の全く個人的な見解ですから、実際に新聞を見てご自分で判断してください。

■読売KODOMO新聞

 読売KODOMO新聞は、週1回の発行ですから、読み応えがあります。
 毎回、面白い企画を載せています。
 見るだけでしたら、読売KODOMO新聞はいちばんいいと思います。

 しかし、何かを「する」という企画は、あまりありません。
 今後、「する」企画を増やし、作文を投稿する欄を作ってくれるといいと思います。

■毎日小学生新聞

 毎日小学生新聞は、タブロイド版8ページほどの新聞で、毎日発行しています。
 読売や朝日に比べてみすぼらしい感じがするかもしれませんが、内容は優れています。
 ひとつは、毎回、充実した内容の説明文が載っていることです。
 これを読むだけで、立派な社会や人生の勉強になります。

 もうひとつ、更によいところは、子供が何かを「する」企画をよく載せていることです。
 「こんなことをやってみよう」とか、「こんなことができる」とかいう記事が時々載るので、この毎小を活用すれば、創造発表クラスの作品発表や自由研究に生かせます。
 毎小の編集は、子供の視線に立っていると思います。

 毎小は、昔、作文の投稿欄がありましたが、今は、習字や詩だけの投稿欄だけになっています。
 早く作文の投稿欄を復活させてほしいと思います。

■朝日小学生新聞

 朝日小学生新聞は、普通紙と同じサイズの8ページの新聞なので、毎日作るのが大変だろうと思います。
 記事は充実していますが、いちばんいいのは、作文の作品欄があることです。
 この作品欄に投稿することが、子供たちの作文の勉強の励みになります。
 できれば、朝日中学生新聞でも、作文の投稿欄を作ってくれるといいと思います。

 昔、この作品欄は、たぶん90歳ぐらいの元小学校の先生が選者をしていました。
 この先生がとても立派な人で、現役時代には、毎日、教室の子供たちが書いた作文を持ち帰り赤ペンを入れて返していたそうです。(「致知」の投稿欄に載っていました。)

 あるとき、言葉の森の小6の女の子が、学校にいる自分の好きな人の話を載せました。
 そのときの選者の講評が、とても心の温まるものでした。
 私はその講評を見て(内容は忘れましたが)、こういうことを書ける人は子供の気持ちをよくわかっている人だと思った記憶があります。


 子供向けの新聞は、現在、読売、毎日、朝日と3種類ありますが、どれかひとつを勧めるとしたら、毎日小学生新聞です。
 理由は、説明文の記事が多いことと、「子供が何かをする」ことのできる企画が多いからです。

 しかし、いずれもいい新聞ですので、実際に中身を見て判断してください。

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