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インド式勉強法の生かし方(その2) as/487.html
森川林 2009/05/12 09:29 

 九九はインドで生まれ、中国に伝えられたようです。最初は九の段から始まる形の暗唱でしたが、やがて小さい数から順に暗唱するようになりました。中国や日本の九九が九の段で終わっているのは、漢数字の文化では、十以上の段を作ることが美的に落ち着かないという事情があったからだと思います。

 さて、第四は、著者が述べている日本文化のよい点です。それを列挙すると、次のようなことです。
(1)日本のそろばんは、インドの九九とは違う形で、イメージを利用するという優れた計算方法になっている
(2)インドでは、物作りはそういう職人がやるものになっているが、日本の学校では図画工作で物作りを教えている
(3)インドでは、掃除はそういう職業の人がやるものになっているが、日本の学校では生徒が掃除をしている
(4)インドでは、大学などの教育に力を入れているが、日本では初等教育に力を入れており、それが教育機会の平等を生み出している
(5)日本では、小学校の運動会が地域の行事のようになることで、地域の力が生きている
(6)日本には、「プロジェクトX」や「黒澤明監督の映画」などに見られるように、日本的でありながら世界に通用する文化がある

 また、著者は、日本の弱点としては、次のようなことを挙げています。
(1)家庭の力が弱くなっている
(2)学校の先生があまり尊敬されていない
(3)日本人が日本文化のすぐれた点を自覚していない

 日本文化のよい点は、日本人が長年かけて作り上げてきたものです。それをこれから更に発展させていくことは容易です。
 また、日本の弱点として挙げられているものは、日本人一人ひとりが自覚をすれば、明日からでもすぐに改善していけるものです。
 と考えると、日本の社会をよくしていくものは、マスメディアでも政治でもなく、個人の決心になると思います。

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インド式勉強法の生かし方(その1) as/486.html
森川林 2009/05/11 10:01 

 「インド式すごい勉強法」(ニャンタ・デシュパンデ著)という本を読んで、日本の教育にも生かせる面がいくつかあると思いました。
 それを四点にわたって話していきたいと思います。
 第一に、インドでは、家庭教育が重視されているということです。普通の家庭では、子供が学校から帰ってくると、午後8時ごろの遅い夕食までの時間を家庭での教育にあてているそうです。日本では、学校から帰ると、そのまま習い事に行くような形の時間の使い方が多く、習い事から帰ると夕食の時間になってしまいます。すると、宿題をやるような形の勉強になることが多くなり、家庭での独自の学習というのはなかなか時間をとることができません。今後は、日本の社会に合った家庭教育の仕組み、又は家庭教育の代わりになるような仕組みを考えていく必要があると思いました。
 また、このインド式の勉強法で参考になるのは、夕食前に勉強するという時間の使い方です。言葉の森でも、長文暗唱の自習は、朝食前の時間にやることを勧めています。朝食前の時間が取れない場合は、平日であればやはり夕食前の時間が勉強の時間としては最適です。勉強は空腹状態でやる方が能率が上がるからです。
 第二は、インドでは、家庭教育を担っているのが、父親や母親ばかりでなく祖父母であることが多いということです。日本では核家族化が進行したことしたことによって、親子だけで過ごす生活時間が多くなっています。そのために、家庭教育よりも習い事などに行く形が増えているのだと思います。今後、この核家族体制を見直すというのはすぐにはできることがないので、家庭だけでなく地域全体で祖父母のような役割を果たせる人が子供たちの家庭教育的な学習を担っていくことが将来考えられると思います。
 第三は、インドの算数で有名な桁の大きい九九です。30×10までの暗唱と、30×30までの2乗の暗唱というものがインドでは普通に行われているそうです。しかし、これはそれほど驚くことではありません。日本では小学校2年生で九九を覚えるというカリキュラムになっています。世界中では九九自体を教えるカリキュラムがないところが多い中で、学校教育で九九の暗唱を行う体制をとっている日本は、その延長ですぐに30×10の暗唱や30×30の2乗の暗唱もできるからです。既にそういう教育を行っているところもあると思いますが、やり方は次のような感じです。
【30×10までの九九】
12×1=12(いにい・いに)
12×2=24(いにに・によ)
12×3=36(いにさ・さろ)
12×4=48(いによ・よは)
12×5=60(いにご・ろれ)
12×6=72(いにろ・なに)
12×7=84(いにな・はよ)
12×8=96(いには・くろ)
12×9=108(いにく・いれは)
12×10=120(いにいれ・いにれ)
13×1=13(いさい・いさ)
13×2=26(いさに・にろ)
13×3=39(いささ・さく)
13×4=52(いさよ・ごに)
13×5=65(いさご・ろご)
13×6=78(いさろ・なは)
13×7=91(いさな・くい)
13×8=104(いさは・いれよ)
13×9=117(いさく・いいな)
13×10=130(いさいれ・いされ)
(以下略)
【30×30までの2乗の九九)
11×11=121(いいいい・いにい)
12×12=144(いにいに・いよよ)
13×13=169(いさいさ・いろく)
14×14=196(いよいよ・いくろ)
15×15=225(いごいご・ににご)
16×16=256(いろいろ・にごろ)
17×17=289(いないな・にはく)
18×18=324(いはいは・さによ)
19×19=361(いくいく・さろい)
20×20=400(にれにれ・よれれ)
21×21=441(にいにい・よよい)
22×22=484(にににに・よはよ)
23×23=529(にさにさ・ごにく)
24×24=576(によによ・ごなろ)
25×25=625(にごにご・ろにご)
26×26=676(にろにろ・ろなろ)
27×27=729(になにな・なにく)
28×28=784(にはには・なはよ)
29×29=841(にくにく・はよい)
30×30=900(されされ・くれれ)
 しかし、日本でこのような桁数の大きい九九が文化として定着しなかったのには、それなりの歴史的背景があったからだと思います。
(つづく)
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
マインドマップ風構成図
 記事のもととなった構成図です。

(急いで書いたのでうまくありません)

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