小学3、4年生は、多読と遊びの時期です。
遊びは、多くの子にとって、冒険的な遊びも意味します。
スポーツに参加するようなことも含めて、新しい冒険を通して、子供たちは生きるたくましさを身につけていくのです。
この遊びによって、困難や競争に負けない力が育ちます。
人間社会には、さまざまな摩擦があります。
その摩擦をはねのける力がたくましさです。
言葉はよくないかもしれませんが、「やられたらやり返す」というような生きる姿勢は、人生にはある程度必要です。
その姿勢は、不正なことに参加しないとか、弱い者を助けるとかいうたくましさにつながります。
そのためには、子供に自由裁量の余地を持たせることが必要です。
小学3、4年生の時期の子供は、秘密基地を作るような遊びを好みます。
それは、それまでの親の指示から離れて、自立して生きてみたいという意識の表れです。
小学2年生まで、親や先生の言うことを素直に聞いていた子が、小学4年生のころから、自分の意見を主張するようになります。
自立心を持つようになった子と新しい親子の関係を築くためには、小学1、2年生のころから、できるだけ子供の自主性を尊重する習慣をつけておくことが必要です。
小学1、2年生のころは、どうしても親がコントロールする面が多くなりますが、できるだけコントロールしないことを心がけていく必要があります。
小学5、6年生になると、子供に向上心が出てきます。
友達が、中学受験をすると聞くと、自分も負けずに受験に挑戦したくなります。
苦しくてもがんばるということに生きがいを感じられる年齢になるのです。
ここで難しいのは、今の中学受験にどう対応するかということです。
中高一貫校に入ることには、大学入試に有利になるという利点があります。
それは、勉強の先取りができるので、公立高校の生徒より1年早く受験勉強に取り組むことができるからです。
もちろん、今は、書籍でもネットでも、学習の材料は容易に手に入りますから、公立高校であっても本人が自覚して1年間先取りの勉強をすることはできます。
しかし、若い時期は周囲の雰囲気に左右されるので、実際にはなかなかひとりだけ勉強の先取りをすることはできません。
だから、中高一貫校、受験勉強の先取りという点で有利なのです。
ところが、最近の大学入試は、総合選抜が主流になりつつあります。
これまでのような知識の成績だけで1点差を競うような入試ではなく、個性と創造性を問うような入試が増えています。
すると、高校時代にどういうことをしたかということが大事になるので、勉強の1年間先取りは、今後あまり意味を持たないようになります。
一方、公立中学は、地域によっては荒れている学校もあります。
小6から中2のころは、年齢的にいじめやさぼりなどが多くなる時期です。
中学3年生になれば、ほとんどの子はもっと人間的に成長しますが、それまではいろいろな問題が残るのです。
そのため、学校では、管理を厳しくすることによって生徒を従わせようとする面が出てきます。
こういう息苦しさが、今の不登校の増加を生み出している面があります。
こういう問題に対しては、次のように考えていけばいいと思います。
周囲がどういう環境であっても、勉強は自分でするものだから、勉強面は、家庭学習をしっかりやっていけばいいということです。
また逆に、公立中学は、今の社会の縮図とも言えますから、そういう環境で生活することは、将来自分が仕事をして人の上に立つときにプラスになるということです。
不登校になっても、毎日の生活習慣をきちんとして起床時間を守るようにすれば、かえって学校に通うよりも充実した生活が送れます。
友達関係は、ネットでも、地域でも、自分の趣味に応じて自由に探すことができます。
だから、不登校という選択肢も、今はおおらかに考えていけばいいのです。
さて、中学受験をする小学5、6年生と、受験を選択しない小学5、6年生では、日々の生活が大きく変わります。
受験勉強で成績を上げるためには、時間をかける必要があります。
受験勉強は、結局知識を詰め込む勉強ですから、時間と成績は比例しています。
しかし、そのために、読書の時間が減ったり、自由な趣味の時間が減ったりするのは、子供の成長を歪めます。
1年間だけの集中した受験勉強であれば、むしろ集中力が育ち、弊害はありません。
しかし、今は小学3、4年生からの先取りの受験勉強で、しかも集団一斉指導で一律の宿題やテストに追われる勉強ですから、子供の生活に偏りが出てきます。
また、夜遅くまで通塾する受験勉強で、家庭での親子の団欒の時間がなくなるという面もあります。
小学5、6年生の時期は、親子が最もよく対話のできる時期です。
この時期の作文の課題で、子供が両親に似た例を取材する機会があることは、子供の成長に大きなプラスになります。
中学生になると、親子の対話はだんだん少なくなりますから、小学5、6年生の時期こそ、親子が自由に話のできる時間を確保しておく必要があるのです。
ところが、中学受験をしない小学5、6年生は、どういう生活になるかというと、学校で仲のいい友達の多くが受験の塾に通っているとなると、放課後に遊ぶ相手がいなくなります。
すると、ゲームをしたり、YouTubeを見たりして時間を潰すしかなくなるような生活になることがあるのです。
だから、家庭によっては、子供の生活時間を規律あるものにするために塾に通わせるというところもあります。
確かに、子供が家庭で暇を持て余しているよりも、塾で勉強している方がいいとは思いますが、その時間は中途半端な時間とも言えます。
では、どうしたらよいかというと、本人の趣味の分野を極めるような生活に切り替えていくのです。
その趣味の分野は、スポーツや音楽のようなものよりも、学問的なものがいいと思います。
スポーツや音楽の分野は、いくつかのメジャーな枠組みがあるので、その分野で何かを創造するよりも、枠組みの中で競争したり上を目指したりする方向に向かいます。
スポーツや音楽の競争の過程で、さまざまな努力や出会いや交流があることは確かですが、その分野で将来プロになる子はいません。
学問の分野は、多様性に富んでいるので、メジャーな枠組みというものはありません。あるとしたら、受験勉強ぐらいです。
さかなクンの趣味は、魚でしたが、魚を研究してどうなるかという見通しがなかったから自由に魚について調べることができました。
だから、その分野で日本一になったのです。
小学5、6年生は、向上心がわく時期なので、その向上心を生かして、子供の個性を生かす学問的な分野を探していくことができます。
男の子の場合は、電車オタクという子がよくいます。
そういう子は、不思議なことに、勉強もよくできるし、意欲もあるという子が多いのです。
そのほかに、料理やファッションに興味があったり、生き物を飼うことが好きだったり、昆虫の採集や、化石や鉱物の収集に興味があったり、プログラミングが好きだったりする子もいます。
そういう熱中する趣味を持つ子は、みんな勉強がよくでき、いい大学に進んでいます。
大事なことは、熱中するものがあることで、それが大学入試の場合も勉強に熱中する力として生きてくるのです。
子供の興味は、さまざまに変化しますが、小学5、6年生から、自分の好きな分野に取り組む生活をしていると、それは、中学生になっても、高校生になっても継続させることができます。
その趣味の学問の延長で、大学入試の総合選抜に進むということが、これからの子供の教育設計として考えられます。
趣味の学問の分野が突出していれば、学校の成績はオール4でよく、そのかわり東大でも、京大でも、東北大でも、早稲田でも、慶應でも、どこでも自由に受けられるようになります。
東北大は、2024年度から、総合選抜入試100%になりました。
しかし、大事なのは、その先です。
これまでは、子供たちの進路は、大学入試がゴールでした。
それは、大学入試に合格するための勉強してしてこなかったからです。
大学に入ったあとは、することがないから、大学生活を楽しむことしかありません。
そして、卒業するときは、大学入試と同じように、企業の偏差値を見て、偏差値の高いところに就職するようになります。
偏差値の高い企業は、給与もよく、厚生施設も充実して、それなりにやりがいもあります。
しかし、本当のやりがいは、自分が好きだったことを社会生活の中で実現することです。
これからは、人生100年時代です。ほんとか(笑)。
大学卒業後、又は大学院卒業後の20代で方向が見えてしまう人生ではなく、その後の自分の努力と工夫次第でどうにでもなる人生を歩むことが、これからの子供たちの未来になってきます。
そういう長い展望を意識しながら、今の小学生や中学生の勉強を考えていく必要があるのです。
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かつて、三井三池炭鉱は、日本のエネルギー産業の花形で、安定した職業として魅力的な就職先でした。
そのころ、まだ成長前の自動車会社を就職先に選ぶのは、むしろ成績が二番手以下の学生たちでした。
福沢諭吉の兄は優秀で、諭吉に、四書五経をしっかり読むことを勧めました。
しかし、諭吉は、西洋の学問に興味を持ち、脱藩して西洋の医学や経済学や哲学を学ぶことを始めました。
大人の考える未来の予測は、変化の激しい時期には大きくはずれます。
だから、どういう変化が来てもいいように、子供たちの意欲を育てておく必要があるのです。
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サクラ
子育ては、幼児期から始まります。
この時期に大切なことは、愛情と対話と自然です。
今は、使いやすいデジタル機器が豊富ですが、幼児期に接するものは、できるだけ自然にもとづいたものであることが必要です。
例えば、PCモニターの色数が1677万色あり、見た目にはほとんど自然の色と変わらないように見えても、自然の色の無限さに比べれば、やはり限界があります。
縦縞の環境で育てられた子猫は、横縞を認識しにくいという実験があります。
幼児期には、限界のある人工の環境をできるだけ避け、自然に近い環境で育てていくことが大切です。
これは、音については、特に重要です。
自然の環境では、音は事実に結びついています。
例えば、母親の優しい声は、そのときの母親の笑顔と結びついています。
しかし、テレビやビデオから流れてくる音声は、事実と結びついていません。
感情を伴わない音声を聞き続けることによって、音声と感情との結びつきが弱くなることが考えられるのです。
小学123年生は、母語が形成される時期です。
外国人の子でも、小学123年生の時期に日本にいると、日本語が母語になります。
日本語が母語になると、例えば、虫の声や鳥の声を、左脳で認識するようになるのです。
反対に、日本人の子供でも、小学123年生の時期に海外で暮らすと、その現地の言葉が母語になります。
これは、東京医科歯科大学名誉教授の角田忠信さんが、多くの調査結果で明らかにしています。
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E8%A7%92%E7%94%B0%E5%BF%A0%E4%BF%A1
しかし、外国語の習得は、中学生からだと遅い面があります。
音声をそのまま吸収できるのは、小学4年生ごろからです。
中学生になってから外国語を学ぼうとすると、音声よりも文法的な知識の習得が先に来るようになるからです。
小学123年生で、大切なのは、勉強よりも読書です。
勉強の多くは、知識の習得です。
確かに、この時期は、知識の力が伸びる時期で、ゲームのキャラクターの名前を覚えるようなことに喜びを感じるものです。
しかし、それを勉強にあてはめて知識の習得を先行させると、確かに成績はよくなりますが、その分考えることが後回しになります。
考える力の基本は、日本語で考える力です。
もちろん、図形で考えたり、数字で考えたりすることもありますが、日常生活のほとんどは日本語の力で考えています。
その考える力である日本語力のもとになるものが、読書と対話です。
小学123年生で、学校の成績は同じぐらいであっても、読書力が違うことがあります。
学年が上がるにつれて学力が伸びるのは、読書力のある子です。
だから、ひとことで言えば、小学123年生の時期は、勉強よりも読書を優先するぐらいでいいのです。
読書のほかには、お父さんお母さんとの知的な対話、暗唱の練習、生き物を飼うことなどが、子供の成長に役立ちます。
特に、犬や小鳥など、人間とコミュニケーションのとれる生き物が家族の一員になると、子供の幸福感が育ちます。
ただし、生き物を飼うときは、親がその生き物の買い方をよく研究しておくことが大切です。
犬はかわいい動物ですが、幼児期のしつけがうまくできないと、かえって困ることがあります。
住宅環境によって、生き物が飼えないときは、自然の生き物と接する機会を作ることです。
ベランダに、ミカンを輪切りにしておいておけば、やがてメジロがやってきます。
パンくずやご飯の残りを置いておけば、すぐにスズメが来るようになります。
カラスやハトが一緒に来る場合は、スズメだけが入れる大きさの金網を上に置いておけば、スズメだけがのんびり餌を食べることができます。
1年たって、子スズメの世代になれば、スズメたちは人間が近くに来ても逃げないようになります。
スズメ用の巣箱を作ってやれば、ほとんどペットと同じ感じになります。
家庭生活は、できるだけ笑顔で過ごすことです。
その役割の大きな部分は、やはりお母さんです。
人間の生きる目的のひとつは、幸福に生きることです。
そのためには、お母さんが怖いお母さんにならないことが最も大切なのです(笑)。
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幼児期や小学校低学年のころは、何でも吸収できます。
しかし、この時期に、知識を吸収させるのではなく、言葉の力を育てておくことが大切です。
読み聞かせは、子供の考える力を育てますが、子供が読み聞かせを選べることが大切です。
テレビやビデオやYouTubeやオーディブルなどで無理やり読み聞かせを続けると、言葉と感情が結びつかなくなる可能性があります。
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フサザキスイセン
日本人は、教育熱心です。
中国も、韓国も、教育には熱心です。
それは、科挙の伝統があるからという面もあります。
いい成績を収めれば、成功のエスカレーターに乗れるという考えがあるからです。
それは、これまでの社会である程度は実現していました。
しかし、今は、成績と成功が結びつかないことがだんだんと明らかになってきました。
それを身近に感じているのは、受験生を受け入れる大学や、学生を受け入れる企業の側です。
成績と実力は、ある程度までは一致していますが、ある程度を超えると、反比例することさえあるのだということがわかってきたのです。
例えば、オール4までの学力なら必要な学力です。
しかし、オール5になる学力は、必要を超えていることがあります。
そういう学力の学生は、学力以外の面で見劣りすることがあるのです。
そこで、大学では、総合選抜という入試を始めました。
成績は、普通にできていればいいから、成績以外の意欲や個性を見ようという入試です。
この考えは、社会の変化にも対応しています。
今の資本主義は、フロンティアがなくなっています。
IT分野でわずかのフロンティアがあるように見えますが、その狭いフロンティアに参加しようとする人が多すぎます。
今、大企業と言われるところも、新しい分野の開拓に苦労しています。
これまでの実績だけでやっていける時代ではなくなってきたからです。
世の中の枠組みの前提が大きくかわりつつある今、子育ても大きく方針を見直す必要があります。
そこで、これからの子供たちに必要な未来の学力と未来の子育てを考えてみました。
私(森川林)の基本的な考えは、「明日の日本を支える、思考力、創造力、共感力のある子供たちを育てる」教育を目指すことです。
今の受験競争の社会の中で、どういう子育てを目指すかということを、このあと書いていきたいと思います。
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今の日本の受験勉強は、清朝末期の中国の科挙に似てきています。
勉強の目的が、ずれているのです。
自分の向上のための勉強ではなく、競争に勝つための勉強になっています。
勝つための勉強の基本は、詰め込みです。
しかし、これから勉強の目的そのものが大きく変わります。
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ノースポール(寒白菊)
朝の10分間読書という運動があります。
わずか10分の読書時間で、自分の好きな本を自由に選んで読むだけなのですが、この時間によって、どの子も本を読書をする習慣がつきます。
しかし、朝の10分間読書が主に行われているのは小学校までで、中学や高校で行われているところはあまりありませんでした。
それが、ここに来て、中学や高校でも、朝の10分間読書を行っている学校があることを知りました。
そういう読書時間のある学校の生徒は、考える力がつきます。
すると、結局、勉強にもその効果が出るのです。
すでにそういう調査結果があります。
読書をしている子は、短時間の勉強でも成績が上がるが、読書をしていない子は成績を上げるのに長い時間がかかるというのです。
(東北大学教授川島隆太氏による調査)
言葉の森でも、これまで教えてきた生徒で、本をよく読んでいる子は、学年が上がるごとに成績が上がっていきました。
逆に、本を読んでいない子は、学年が上がるごとに成績が低下していったのです。
例えば、こういう子がいました。
小学2年生のころに教室に来た子で、私立の小学校に通っていて、勉強も習い事もよくできる子でした。
しかし、保護者の方が、「勉強が忙しいから本を読んでいる暇はない、本を読むなら行き帰りの電車の中だけにしなさい」という人でした。
家庭で、毎日勉強を詰め込むので、小学2年生のころはとてもいい成績でした。
しかし、そういういい成績が続いたのは、小学校の中学年まででした。
小学5年生になると、いくら勉強しても成績が伸びなくなったのです。
そして、成績はかえって低下していきました。
成績をよくするための勉強では、成績はよくなりますが、頭はよくなりません。
頭をよくするのは、読書と対話と挑戦です。
だから、勉強よりも読書を優先するぐらいの子の方が、学年が上がると成績がよくなります。
時どき、「勉強が忙しくて本を読んでいる暇がない」という子がいます。
そういう子は、勉強が忙しくなくなっても、あまり本を読みません。
そして、結局、いくら勉強しても、成績が思ったほど伸びなくなるのです。
では、なぜ読書によって頭がよくなるのでしょうか。
これは、私の仮説ですが、頭の良さというのは、日本語を駆使する力だと思います。
今は、誰でも文章は読めます。
読書も、読もうと思えば読めるので、読書自体に何か効果があると思えないと思います。
しかし、人間がものごとを考えるのは日本語で考えるのですから、同じ「読める」ことでも、字面を読めるだけの読み方と、内容を深く心に刻みむような読み方では質が違います。
読書の好きな子は、本を読むときに感動して読むことができます。
言葉が、表面的な意味だけでなく、自分の心に響いてくるような読み方ができます。
本をあまり読まない子は、表面上の知識として読むだけで、心に響くようなところまで深く読むことがないのです。
この深い読み方ができることが頭をよくします。
頭のいい子は、勉強面で、算数数学や英語や理科や社会の勉強をするときも、教科書に書かれている内容を深く心に刻みつけて読み取ることができます。
だから、読書力のある子は、自然に成績がよくなるのです。
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読書は、読む力と理解する力です。
草野球とプロ野球では、質が違います。
読む力、理解する力にも、同じように大きな違いがあります。
読書力がつくと、教科書を読む力、理解する力もつくので、読書をする子は、成績がよくなるのです。
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黄水仙
小学校低学年の作文は、自由な題名課題です。
なぜ自由なのかというと、題名を指定すると書けないことが多いからです。
例えば、小学1、2年生の子に、「わたしのおかあさん」という題名で書いてごらんと言ったら、「わたしのおかあさんは、こんな人です。」と書くだけで終わってしまいます。
絵をかくのと文章を書くのとでは違うのです。
低学年のころは、事実を通して説明を書くということができないので、説明をそのまま書いて、それ以上は書けないのです。
だから、「私の○○」とか「ぼくの○○」とかいう題名課題は、もっと高学年になってからの課題になります。
低学年の課題は、実際にあった出来事が中心です。
しかし、ここで注意しなければいけないことは、子供にとって書きたい話題が、必ずしも書きやすい課題ではないということです。
子供が書きたがる話のひとつに、「○○をみたこと」というものがあります。
映画を見たとか、テレビを見たとかいう話がそうです。
ゲームをしたという話も、見た話と同じです。
こういう「見た話」には、自分自身の行動がありません。
映画を見て、どんなに面白かったにしても、それは映画の画面の中での話です。
本人は、ただ座って見ていただけですから、自分らしいことが作文の中に出てきません。
だから、「見た話」を書く場合は、それを見ていたとき、見る前、見たあとに自分がどんなことをしたかということを書くのが大事になるのです。
もうひとつ、子供が書きたがる話で、書きにくい話が未来の話です。
例えば、「明日は遠足」とか、「もうすぐ誕生日」とかいう話は、子供にとっていくら関心があったとしても、書くための材料がありません。
こういう未来の話を書く場合は、「この前の似た話」や「去年の同じ話」などを続けて書いていくといいのです。
もうひとつ、本好きな子で、実際にあった話よりも、自分で作った話を書きたがる子がいます。
本人が書きたがるのであれば、しばらくは書かせてもいいですが、実際にあった話でなければ、表現力は伸びません。
たとえを書くにしても、実際にあったことをたとえで表現するところに工夫があります。
題材選びの前に、読書生活以外の楽しい実生活をすることが大事です。
楽しいことがあれば、子供はそれを書きたがるからです。
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低学年の作文でいちばん大事なことは、題材選びです。
その題材選びは、実はお母さんの役割です。
書いたあとの添削ではなく、書く前の準備が大事なのです。
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横浜共立学園中学校 K.E.さん
<担当講師より>
小1から長く続けてくれている生徒です。
国語に苦手意識があるとのことでしたが、作文も読解もぐんぐん上達し、第一志望に合格しました。
これからも個性豊かな作文を期待しています。
合格おめでとうございます!
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菜の花
小学4年生までの生活作文(事実文)では、書き出しの工夫と結びの工夫ができます。
高学年や中学生、高校生でも、書き出しの工夫と結びの工夫をすることができます。
書き出しの工夫がなぜ必要かというと、読み手を引き付ける効果があるからです。
YouTubeのタイトルやウェブニュースのタイトルなどを見ると、オーバーな表現が目立ちます。
引用するのが面倒だから、あえて書きませんが(笑)。
作文は、読んでもらう人を想定して書きますから、読み手の入口になる題名と書き出しは意味があるのです。
書き出しの工夫の方法はいくつかあります。
会話の書き出し、情景の書き出し、動作の書き出し、名言の書き出しなどです。
いちばんきれいに書けるのは、情景や動作の書き出しです。
私(森川林)が担当している小4の子の書き出しです。
====
ささっと私はキャベツをお肉で巻きます。弟はぐつぐつしているなべの中のじゃがいもがやわらかくなってきたか、フォークでつついています。弟が
「もっとほしい。」
と言ってくれました。
(このあと、料理を作った話が出てきます。)
====
もみじを抜こうとしたら、くきは固くて根もしっかりはっていました。公園を通った時に、もみじの木の下で五cmくらいのもみじを見つけました。お母さんが
「さくらは植えきばちで育てるとずっとぼんさいの大きさだよ」
と言っていたので、もみじでもできるかなと思って持って帰ってきました。
(このあと植物の話が続きます。)
====
書き出しが直接の情景描写になっているので、読む人はすぐに作文の中身に入ることができます。
この短い情景描写のあとに、「いつ、どこで何がどうした」という説明を入れればいいのです。
書き出しの工夫と対応するのが結びの工夫です。
1200字の作文では、書くのには1時間ぐらいかかりますが、読む人は数分で読みます。
だから、読み手には、最後まで読んでも、最初の書き出しの印象が残っています。
そこで、書き出しの工夫に対応したキーワードが結びにもあると、読み手はなぜか心地よさを感じるのです。
これは、小説などでも同じです。
長い小説で、最初の方のページにさりげなく書いてあった何かが、後半に重要な意味を持つことになったという伏線のあるストーリーを読むと、読み手は、そこに気持ちよさを感じるのです。
しかし、小さくまとまっているものは、面白くありません。
書き出しと結びの間に、途中の広がりがあり、どうなるかわからないように見えながら最後にまとまるというところに快感を感じるということです。
結びの工夫をするためには、感想や意見のあとに、書き出しのキーワードを生かした文を書くことです。
先ほどの引用の書き出しの「もみじ」の作文の結びです。
===
今もみじは葉が全部無くて、芽がふくらんできています。もうすぐ春です。
====
「もみじ」という言葉がキーワードになって、書き出しとつながっています。
中学生や高校生は、意見文の課題になるので、書き出しや結びの工夫は関係ないと思うかもしれませんが、実はあるのです。
硬い意見文の書き出しに柔らかい情景の書き出しがあり、中身の題材と意見が充実していて、しかも、結びに、書き出しのキーワードに対応した工夫があると、その作文の内容以上に、読み手は、その構成のセンスに感動するのです。
中学生、高校生で、文章力に自信のある人は、そういう書き出しを結びの工夫を作文に生かしていってください。
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作文で大事なのは中身です。
しかし、中身はなかなか進歩しません。
すぐにできるのは表現の工夫です。
だから、勉強のアクセントとして表現の工夫をするのです。
しかし、表現の工夫は、文章力のある子にとっては、パズルを解くように面白い勉強なのです。
……微妙な話だなあ(笑)。
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椿
3月1週は、作文の実力テストです。
■字数
それぞれの学年で、目標の字数まで書けるようにしましょう。
小1は200字、小2は400字、小3は600字、小4は800字、小5は1000字、小6以上中学生高校生は1200字が目標の字数です。
普段、目標の字数まで書けない人も、この実力テストでがんばって長く書くように努力すると、不思議なことに、それがその後のその人の実力になります。
だから、何が何でもがんばって目標の字数まで書くということが大事です。
■項目
それぞれの学年ごとに、作文の中に入れる項目が、★の印で指示されています。
▼項目表
https://www.mori7.com/mine/nae.php
幼長・小1は、
★ はじめに絵をかく(構成)
★ 会話(題材)
★ たとえ、又は、★ □○□○、又は、★ ダジャレ表現(表現)
★ どうしてかというと(主題)
です。
途中の学年は、省略して、
高3は、
★ 予測問題の主題、又は、★ 書き出しの結び(主題)
★ 複数の対策一、かつ、★ 複数の対策二(構成)
★ 読書実例・長文実例(題材)
★ ことわざの加工、又は、★ 自作名言(表現)
です。
「又は」となっているところは、いくつかある項目のうち、どれかが入れてあればよいということです。
■項目マーク
その項目を入れたことがわかるように、印となる項目マークをつけておきましょう。
構成
題材
表現
主題
パソコンで書いている人は、作文の該当する箇所に次の文字列を入れておきましょう。
構成 < <構成> >
(全角の山カッコを2つ続ける。日本語キーボードで「ね」と「る」の位置)
題材 < <題材> >
表現 < <表現> >
主題 < <主題> >
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