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未来教育宣言(その5)――一人ひとりの対話の中で共感力を育て、競争の教育から共感の教育を目指す as/5173.html
森川林 2024/09/21 13:41 


 私たちは、社会の中で生きています。
 その社会生活の根底にあるのが、共感力です。

 見ず知らずの人であっても不幸な人がいれば可愛そうだと思い、幸福な人がいれば自分も幸せを感じる、そういう感受性を持つことが共感力を持つということです。

 この共感力があるからこそ、人間は、社会に貢献することを自然に目指すようになるのです。


 教育の世界でも、共感力を育てることが教育のひとつの大きな目的になります。
 共感力を育てる土台となるものは、一人ひとりの対話です。

 私の教えているクラスでは、作文クラスでも、基礎学力クラスでも、総合学力クラスでも、国語読解クラスでも、算数数学クラスでも、創造発表クラスでも、プログラミングクラスでも、どのクラスも、授業の前に、全員が読書紹介をしています。

 この読書紹介だけで10分から15分の時間をとりますが、これは必要な時間と考えています。
 それは、ひとつには子供たちが毎日の読書を続けるためのきっかけになるからです。
 また、もうひとつには、ほかの人の読んでいる本を見て、自分の読書の幅が広がるからです。
 そして、更にもうひとつには、読書の紹介を通して、紹介する子供の人柄が伝わってくるからです。
 相手の人柄を感じることが、コミュニケーションの土台になります。


 また、私の教えているクラスでは、授業のあとに、一人一言の時間をとっています。
 その一人一言の時間のあとに、互いに、ほかの人の一言に対する質問や感想を言ってもらています。

 読書紹介と一人一言の間の授業の時間は、個別指導の時間です。
 個別指導の時間の間に、ほかの生徒はそれぞれ決められた学習をしています。

 学習の基本は毎日の家庭学習ですから、授業の時間はその家庭学習を確認する時間です。
 だから、授業では、対話と交流の時間を多くとれるのです。


 みんなの前で自由に話すことで、どの子も人前で発表する力がつきます。

 私が、これまでいろいろな子を教えてきてよく感じるのは、海外から参加している子は、どの子もほぼ例外なくみんなの前で話すのが上手だということです。

 アメリカでは、小学校低学年のころから、クラスの前で、自分が家から持ってきたものを紹介する授業があるようです。
 日本では、そういう授業はまずありません。
 あるとしても、30人から40人のクラスでは、ひとりの子が話す機会は限られてしまいます。

 言葉の森のオンラインクラスでは、毎週、全員に一人一言の時間があるので、どの子も人前で話すことが上手になってきます。

 そして、そのそれぞれの一言に関して質問や感想を言うことで、自然にほかの人の一言を注意して聴く姿勢が育ちます。

 また、もっと大事なことは、質問や感想を言おうとすることによって、相手に対する共感の気持ちが生まれることです。

 一人一言と質問感想の時間は、はたから見ると、楽しいお喋りの時間のように見えるかもしれません。
 しかし、みんなの前で話をするので、子供たちはかなり頭を使ってこの時間を過ごしています。

 こういうかたちで対話を交わした子供たちは、やがて同じ教室で学んだ学友のような関係になっていきます。

 言葉の森が、オンラインクラスを本格的に始めたのは、2020年のコロナ禍のときからですから、まだそれほど年数はたっていません。
(オンラインクラス自体は、10年以上前から始めていました。)

 しかし、これからのオンラインクラスでは、小1のころから基礎学力クラスや作文クラスで一緒に勉強を始めた子供たちが、中学生になり、高校生になっても、時どき同じクラスで勉強するようになることも出てきます。

 その子供たちが、大学生になり、社会人になったときに、同窓会ができるでしょう。
 その同窓会は、単に昔を懐かしむ会ではなく、近況を語り合い、知的な刺激を与え合う会になると思います。

 そういうときのために、卒業した子供たちが集まれるオンラインの場として、それぞれの「先生の部屋」という掲示板を作っています。
 しかし、これはまだ時期が早すぎたので、使っている人はまずいません(笑)。
 ただ、そのうち、「先生の部屋」で、卒業生や在校生が語り合う機会が生まれてくると思います。

 こういう対話のあるコミュニケーションを通して共感力を育てることが、未来の教育のひとつの大きな目的になります。


 翻って、現在の教育を見ると、共感の教育ではなく、競争の教育が行われているように思います。
 子供たちは、孤立させられ、互いに相手をライバルと見なして、自分がよりよい席につけるように勉強することを強いられているように思うのです。

 しかし、大事なことは、競争をさせないことではなく、共感を育てることです。
 子供たちは、競争も好きです。
 しかし、その競争は、もっと大きな共感を土台にした競争にする必要があります。
 教育の場では、共感が主で、競争は従なのです。
(つづく)

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記事 5172番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/28
未来教育宣言(その4)――算数数学、英語も、思考力と創造力を必要とする勉強で as/5172.html
森川林 2024/09/21 12:27 


 これまでの勉強の多くは、覚える勉強でした。
 テストに出る範囲をしっかり覚えてさえいれば、いい点数が取れたのです。

 数学は考える勉強だと言う人もいますが、これも解法を覚える勉強でいい点数が取れるようになります。

 覚える勉強で、いい点数が取れれば、確かに最初は勉強が楽しくなります。
 しかし、考える力のある子は、次第にそういう勉強に物足りなさを感じるようになるのです。

 では、どういう勉強がこれからの勉強になるかというと、それは考える勉強、作る勉強です。

 私(森川林)の教えている算数数学クラスと総合学力クラスでは、子供たちにオリジナルな問題を作ってもらうことにしています。

 何の見本もなしに作るのは難しいので、自分がそれまでに解いた問題集の問題の中から、自分にとって難しかった問題を参考にして作るのです。

 これは、考える勉強だから時間がかかります。
 しかし、時間のかかった分だけ、その問題の理解が深まります。
 また、それぞれの生徒の実力に応じて、多様な問題が作られます。

 答えのある勉強は、家庭学習で毎日やっていくことができます。
 しかし、それだけでなく、自分らしい思考力と創造力を生かす勉強もする必要があるのです。

【子供たちが作った算数数学の自作問題の例】

■問
長さが12センチの針金を2本に折りそれぞれ正方形を作ったところ2個の正方形の面積の和は8cm2になった。この時大きい方の正方形の一片の長さを求めなさい。(中2)
□答え
大きい方の正方形の一片の長さをxcmとする
大きい正方形を作るときに使う針金の長さは4x㎝であるから、小さい方の正方形を作るときに使う針金の長さは12-4xcmであり
小さい方の正方形の一
片の長さは12-4x/4=3-Xである
x>0かつ3-x>0かつxーxであるから
3/2<x<3・・③ 定義域を定める!!!
二個の正方形の面積の輪について
x^2+(3-x)^2=8 x^2+(9-6x+x^2)=8
2x^2-6x+1=0
2x^2+2(ー3)x+1=0

解の公式2 ー(ー3)±√(ー3)^2ー2×1/2=3±√7/2・・・④
③.④より大きい方の正方形の一片の長さは3+√7/2cm

■問
6人の生徒が1ヶ月間に読んだ本の冊数を少ない順に並べると、下のようになった。6人の生徒が1ヶ月間に読んだ本の冊数の平均値と中央値が等しいとき、aの値を求めてください。(中3)
 1,3,5,a,10,12
□答え
a=8
解法
※上記のことから、5~10の値になるだろうと予想をしながら問題を解く。
1、6人の読んだ本の冊数の平均を表す。→31+a①
2、6人の読んだ本の冊数の中央値を表す。→6(全員)÷2(半分)=3(真ん中)
割りきれるので、3、4番目の本の冊数を割る2して表す。→5+a/2②
3、①と②を等式にして解く。
4、答えが分かる。

■問
6秒で、9999m走る人がいます。
この人は、分速何mですか。(小6)
□答え
6秒=6/60=1/10
9999÷1/10=9999×10/1=99990/1
=99990
A 分速99990m


 思考力、創造力を必要とする勉強は、英語でもできます。

 総合学力クラスの英語の授業では、英文の暗唱をしています。

 しかし、この英文の暗唱も、本当は、自分の好きな英文を暗唱してもらうといいのです。
 例えば、リンカーンの演説キング牧師の演説は、YouTubeでも聴くことができます。
 どうせ暗唱するのなら、自分が感動できる文章を暗唱する方がいいからです。

 小学456年生のころは、耳の感覚が中学生のころよりもいいので、CDなどで聴いた音声のとおり、そっくりに暗唱することができます。
 英語の文法的な学習は、中学生になってから進めることにして、小学生時代はまず音声を中心に学習するのがいいのです。


 総合学力クラスの英語の授業では、英文暗唱のほかに、自由英作文を作ってもらっています。
 どうせ作るなら、なるべく面白い文を作ろうということでやっています。

【これまでの生徒が作った自由英作文の例】

コップの中に山の形をした電車が落ちています。
A mountain-shaped train has fallen into the cup.

チョコレートが溶けてココアになりました。
The chocolate melted and turned into cocoa.

自販機の下に落ちていた1円玉を拾う
Pick up the 1 yen coin that fell under the vending machine

熱が37度しかないにもかかわらず、兄は早退しました
Even though the fever was only 37 degrees, my brother left early

犬が白目を向いて寝ている。
The dog is sleeping with his eyes rolled up.

小さい「ぁ」ってなんて言うの?
How do you say small "a"?


 算数数学の自作問題にしても、英語の自由英作文にしても、答えのある勉強ではありません。
 それぞれの生徒の関心と実力に応じて、自由に取り組むことができます。
 それは、その勉強が、思考力と創造力を必要とする勉強だからです。

 人間の頭脳は、自分が主体的に参加したときほど活性化します。
 人の話を聞くだけなら、うたたねをしながらでも聞くこともできます。
 しかし、自分が何かを作ったり発表したりするとなると、全身全霊で参加しなければなりません。
 こういう思考力、創造力を必要とする勉強が、これから必要な勉強になってくるのです。
(つづく)

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未来教育宣言(その3)――思考力、創造力を育てる、作文の勉強と国語の勉強 as/5171.html
森川林 2024/09/21 08:14 


 記憶力ではなく思考力を育てることが、今後の教育の重点になります。

 しかし、今の子供たちは、記憶の勉強に適応しているために、考える勉強を負担に感じることがあります。
 考えるよりも、作業的に行える勉強の方を好む面があるのです。

 だから、私は、できるだけ思考力や創造力を使うようなかたちで勉強を行うように工夫しています。


 思考力、創造力を使う勉強の代表は、作文の勉強です。
 作文は、自分なりに考えていかなければ書けません。
 だから、作文の勉強をするときには、精神的なエネルギーが必要です。

 ほかの勉強の多くは、記憶を再現する勉強ですから、やろうと思えばすぐに始められます。
 作文だけは、やろうと思い、始めること自体が大変なのです。
 これが、作文の通信教育で、提出ができなくなる大きな原因です。

 言葉の森のオンラインクラスでは、同じクラスの4人から5人が一斉に作文を書き始めます。
 だから、全員、作文の提出ができます。
 作文を書くエネルギーを出すためには、みんなと一緒に一斉に始めるという共通の場が必要です。
 しかも、その人数は4~5人という互いの顔と名前のわかる少人数であることが必要なのです。


 さて、言葉の森の保護者で、低学年から子供に作文の勉強をさせる人の多くは、こう考えていると思います。
「学校で教わる勉強は、誰でもできる。それに更に上乗せするような勉強ではなく、もっと子供が自由に考えるような勉強をさせたい」と。

 だから、低学年で作文の勉強を始めた子は、中学生や高校生になっても作文の勉強を続ける子が多いのです。


 思考力、創造力を使う勉強は、作文以外の教科でも考えられます。

 私が教えている国語読解クラスでは、問題集の問題文を読んで、その問題文をもとに五七五七七の短歌を作るという勉強をしています。

 今後は、短歌だけではなく、その問題文の150字要約と、自分なりの感想や意見も書くという勉強にしたいと思っています。

 これまでに子供たちが、問題集の問題文をもとに作った短歌の例です。

米とみそ 互いの欠点 隠し合う 2つがあれば 完全食だ(小6)

ミツバチは 身体の中に 時計がね 確かにあるよ 間違いなしだ(小6)

日本語の 間(ま)という言葉 意味豊富 空間的や 心理的(中3)

文理の別 若者たちの 無知を助長 教養のない 抜け殻を生み出す(高1)

予定表は 白紙のほうがいいけれど 白紙だと 不安になるのが 人間というもの(中2)

 短歌を作るには、うまく言葉を選ぶための語彙力が必要になります。
 その語彙力を育てるものは、多様な読書です。


 国語読解クラスでは、これまでは、読解問題とその問題の解説と、問題集読書のチェックを行っていました。
 しかし、こういう答えのある勉強では、考える力のある子にとっては物足りないと思います。
 短歌、要約、意見という勉強なら、思考力と創造力を生かせます。
 更に、ある人の意見に対して、ほかの人が質問や感想を言えば、ディスカッションをすることもできます。

 作文も、国語も、考える勉強としてやっていくことが大事なのです。
(つづく)

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記事 5169番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/28
未来教育宣言(その2)――記憶力で知識を再現する勉強ではなく、思考力と創造力を使う勉強へ as/5169.html
森川林 2024/09/21 07:27 


 現在の教育の問題点の第二は、知識を記憶し再現するための教育が中心になっていることです。

 その理由は、知識の記憶と再現は、答えがひとつしかないので採点がしやすいからです。
 また、昔は、さまざまな知識を記憶しておくことが、生活する上でも勉強する上でも役に立ったからです。

 しかし、今は、ものの考え方と、そのために必要な知識の探し方さえ知っていれば、ほとんどのことは間に合います。

 もちろん、身体化された知識は、ある程度は必要です。
 それは、基本的な日本語力、計算力、数学力、そして、理科や社会の分野のさまざまな科学的知識です。
 話は少し変わりますが、そういう知識を記憶する力をつけるのに役立つのは、小学校低学年からの暗唱です。

 ところで、現在の学校教育で行われている知識の勉強は、子供たちにとって必要な知識の範囲を超えて、成績の差をつけるために行われているのです。

 では、どうしたらいいかというと、未来のテストは、教科書も参考書も辞書も電卓も、すべて持ち込み可で行うようにすればいいのです。
 子供たちが社会に出てから何かを学ぼうとするときと同じです。
 学校の中でだけ、子供たちが何も持たない原始人であるかのようにテストが行われているところに問題があるのです。

 そもそも、記憶力で差をつけようとするところに、大きな問題があります。
 記憶で差をつける勉強をさせられているので、子供たちの勉強も、一夜漬けのような記憶に頼った勉強になります。

 今の勉強では、成績は、かけた時間に比例します。
 しかし、かけた時間に比例するような勉強の内容そのものに問題があるのです。
 本当に評価する価値があるのは、記憶力ではなく思考力です。

 私(森川林)の教えている算数数学のクラスでは、子供たちに質問するときに、よくこう言います。
「この問題はどうやって解くの? 答えまでは言わなくてもいいから、考え方を言ってね」
 問題の解き方さえわかれば、あとの答えを出すことは誰でもできるのです。

 また、子供たちに解けない問題があったときは、こちらから教えることはせずに、こう言います。
「次の週までに、先生に説明できるように考えてきてね」
 大事なことは、考えることなのです。
(つづく)

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記事 5168番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/28
未来教育宣言(その1)――受験のための勉強を超えて、自分の向上のための勉強を as/5168.html
森川林 2024/09/21 06:00 


 現在の教育の問題点の第一は、受験のための教育が中心になっていることです。
 学校は、生徒に差をつけるために、間違えやすい問題を出します。
 生徒の人生にとって重要な問題を出すのではなく、間違えやすい問題を出すのです。

 すると、塾や予備校は、その入試問題に合わせて、間違えやすいところの勉強に力を入れます。
 学校側は、塾や予備校の対策を上回るように、更に間違えやすい問題を出します。

 子供にとって生きていくのに役立つような大事な問題ではなく、試験をする側にとって選抜しやすい間違えやすい問題を出すことを中心に教育が行われているのです。

 子供は、もっと本当に大切なことを中心に学ぶべきです。
 そうすれば、今よりもずっと短時間で必要な学力を身につけることができます。

 では、どうしたらいいかというと、今の受験勉強を超える方法を考えるよりも、受験がいずれなくなるという未来を考えることです。

 受験があるのは、受け入れる生徒に定員があるからです。
 生徒に定員があるのは、限られた場所に、限られた机と椅子があり、限られた先生が勉強を教える仕組みになっているからです。

 オンラインで勉強を行い、オンラインの友達どうしの自由な選択で一緒に学ぶクラスメイトを選ぶようになれば、受け入れる生徒の数を受験で選抜する必要はなくなります。

 今、受験に合わせて勉強している子供たちは、いずれ受験がなくなることを見越して、自分にとって大事だと思う勉強に力を入れていくことです。
 受験に合わせた勉強ではなく、自分自身の向上のために勉強するということです。
 将来、世の中に出たときにどういう実力をつけていくかということを考えて勉強していくのです。

 それには、幅広い教養も含まれます。
 しかし、それは受験のための教養ではなく、自分の将来の人生のための教養です。
(つづく)

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プログラミングの勉強の新しい展開、そして、いろいろな勉強もAIを利用したものになる as/5167.html
森川林 2024/09/20 11:50 


 なぜプログラミングの勉強が大事かというと、それは、自分らしい人生を送るうえで、プログラミングの技術が強力なツールになるからです。

 もし、人間が、会社などのある組織に入り、そこで自分に与えられた役割の仕事をするだけであるなら、プログラミングの能力は特に必要ありません。

 しかし、自分が新しい何かを思いついて始めようとするとき、その思いつきが新しいものであればあるほど、賛同してくれる人はいません。

 自分らしいことを始めるときは、誰でもたったひとりで始めなければならないのです。

 上司も、同僚も、部下も、参考にする人もいないし、読むべき本もほとんどありません。
 そういう中で、何かを始めるとき、自分の中で使える最も役に立つものがプログラミングの技術なのです。

 しかし、それはプログラミングを仕事の手段にするということではありません。
 プログラミングの仕事というのは、たぶん過酷なものです。
 自分のしたいことではなく、ほかの人がしてほしいことをプログラミングするだけですから、心理的に消耗することが多いのです。

 プログラミングを学習する意義は、プログラミングを仕事としてすることではなく、自分の本当にやりたいことをプログラミングの助けを借りてやることなのです。

 しかし、世の中は、AI技術の進展によって大きく変わりました。

 学校教育は、いつでも遅れがちなので、今は「情報」という教科を勉強し、それが大学入試にも出る時代になっています。

 しかし、プログラミングを中心にした「情報」という授業は、もう時代遅れになっています。

 江戸時代の終わりのころには、多くの人が馬術や剣術の練習をしていました。
 今でも馬術や剣術の練習自体はなくなっていません。
 それらは、オリンピックの競技にもなっています。
 しかし、生活の中心ではなくなってしまったのです。

 では、自分らしい人生を送るためのツールであったプログラミングは、これからどうなるかというと、それはChatGPTなどのAIを使える技術として変化していくのです。

 子供たちが学ぶAI技術は、まだ成熟してはいません。
 AIは、主にビジネスの用途として使われています。

 しかし、それはやがて教育の場に降りてきます。
 その活用の仕方は、AIに教えてもらうという受け身のやり方ではありません。
 AIを知的な友達として、自分自身が主体的に何かをする際のツールとして活用することなのです。

 このAI利用の方向に、プログラミングの学習もあります。
 ChatGPTに、どういうことをしたいのか指示すれば、そのプログラムを作ってくれます。
 そのプログラムを使うときに、ある程度のプログラミングの知識が必要になることもあります。

 しかし、大事なのは、プログラムを読むことや書くことではなく、そのプログラムを使って自分のしたいことをすることなのです。


 言葉の森には、現在、いろいろなクラスがあります。
 それらのクラスで、それぞれにAIが使えます。

 例えば、作文クラスでは、データ実例を探すときにChatGPTを使うことができます。
 また、自分の書いた作文を批評してもらうこともできます。

 国語読解クラスでは、自分向けの読解問題や記述問題を作って、自分の答えを評価してもらうこともできます。

 算数数学や英語も同じです。
 自分の苦手な分野の似た問題を作ってもらい、その答えを評価してもらうことができます。

 ChatGPTの得意分野は、外国語です。
 単語でも、文法でも、ヒアリングでも、スピーキングでも、AIはほぼ万能です。

 数学は、LLM(大規模言語モデル)の苦手な分野と言われていました。
 しかし、ChatGPTの新しいバージョンは、数学の問題も順を追って考えることができるので、数学が苦手だったAIは過去のものになりつつあります。

 もっとよく活用できるのは、創造発表とプログラミングの分野です。

 創造発表クラスは、自分の興味関心に基づいて、自由に研究し発表するクラスです。
 しかし、子供たちの学習レベルが高くないと、かつてのゆとり教育と同じような学習になってしまいます。

 自分の研究内容に知的な刺激を与えてくれるツールとしてAIを使うことが大事です。
 AIに教えてもらうのではなく、自分のしたいことをAIとの対話によって深めることに使うのです。


 プログラミングクラスでは、GPTsが使えます。
 GPTsとは、GPTを特定の目的に合わせてカスタマイズできる機能です。
 CPTsに、自分の使いたいデータを入れたり、自分なりのGPTを作ったり、それをプログラミングとして出力したりすることができます。


 言葉の森の勉強の目的は、思考力、創造力、共感力を育てることです。

 それは、旧来の、記憶の詰め込み、宿題の強制、テストによる競争、などと対極にある新しい学習の方向です。

 その新しい学習に、今後ChatGPTをはじめとするAIテクノロジーを使っていきたいと思います。

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記事 5166番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/28
子供を作文好きにさせる方法、作文嫌いにさせる方法 as/5166.html
森川林 2024/09/20 09:17 


 主に、小学生の子供の作文の勉強についての話です。

 子供を作文好きにさせる方法の第一は準備です。
 事前に課題を見て、お母さんやお父さんが自分の体験談から似た話をしてあげることです。
 大事なことは、子供から作文を引き出すことではなく、お母さんやお父さんが自分の体験を楽しく話してあげることです。
 その対話によって、子供の語彙力が伸び、題材力が広がります。

 作文好きにさせる第二の方法は、読書です。
 小学生のうちは、勉強よりも読書優先です。
 勉強は、その勉強の成績を上げるだけですが、読書は頭自体をよくします。
 だから、勉強だけをして読書をしない子は、学年が上がるにつれて成績が下がります。
 勉強よりも読書を優先している子は、学年が上がるにつれて成績が上がります。
 この読書の大切さは、中学生、高校生でも同様です。

 子供を作文好きにさせる第三の方法は、書いたあとの作文を褒めるだけにすることです。
 褒めるのは、何に対してもいいのです。
 書いたこと自体を褒めるのでもいいのです。
 褒めていれば、作文の勉強は長続きします。
 長く続けた勉強は、必ず上達するのです。


 次に、作文嫌いにさせる方法です。
 それは、書いたあとに、アドバイスをすることです。
 「もっとこんなふうに書いたらいい」というようなアドバイスは、たとえ善意から出たものであっても、子供の意欲を低下させます。

 熱心なお母さんの中には、自分が作文に赤ペンを入れて、よりよい表現に書き直してあげる人もいます。
 書くことに自信があるお母さんほど、そういうことをしがちです。

 その結果、子供は一応素直にお母さんのアドバイスを聞きますが、心の中では不満を蓄積させていきます。

 作文を書くということは、勉強の中でもかなり苦労することです。
 そのいろいろな苦労の部分を見てくれず、たまたま自分が不十分な表現をしたり、まちがった表記をしたりしたところだけを指摘されるのですから、不満を感じるのは当然です。

 そういう子の作文の勉強は、長続きしません。
 長続きしないということは、結局上達しないということです。


 子供に対していろいろな指摘をするお母さんは、どんなことに対しても、先に欠点が見えるのです。
 他人に対しても、社会に対しても、先に欠点を見てしまうのです。

 親のものの見方は、子供にも受け継がれます。

 楽しい人生を歩むためには、ものごとの明るい面を見ることです。

 子供の作文は、いつもいいところだけを見てあげるといいのです。

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記事 5165番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/28
【海外生徒保護者様向け】新学期の作文教材について as/5165.html
森川林 2024/09/16 07:30 


 言葉の森の新学期の作文の教材は、9月20日ごろに発送する予定です。
 海外で作文を受講されている生徒の皆様に送る教材は、次の方法から選択していただくようになります。

(1)ウェブで教材を見て、ご自分で印刷していただく。(無料)
https://www.mori7.com/kaigai/

(2)国内の住所に送る。(無料)

※EMS便による送付はなくなりました。

 以上の(1)又は(2)いずれかをご選択いただき、下記の「教材送り」のページより、9月20日までにお知らせくださるようお願い申し上げます。
https://www.mori7.com/kaigai/okuri.php

 なお、特にお申し出がない場合は、(1)の「ウェブで教材を見て、ご自分で印刷していただく。」にさせていただきます。

 海外の方へのメールは、ご登録いただいているメールあてにお送りしています。
 お送りするメール先の変更を希望される場合は、「検索の坂」の「データ変更」リンクでお願いいたします。
https://www.mori7.com/sato/hennkou.php

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小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習