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記事 69番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
読書の習慣について as/69.html
cynthia 2006/05/02 13:44 
 子供は、ほうっておけば楽な方に走る、というのが、小学生の普通の姿です。小学生のうちから、苦しい方を選ぶという子がいたら、むしろ問題があると言ったほうがいいかもしれません。もちろん、得意分野については、苦しいことも進んでやるということはありますが、自分自身を向上させるというような抽象的な目標で、あえて苦しいことに選ぶという小学生は、いません。

 自分自身という抽象的なものにめざめるのは中学3年生ぐらいからで、それ以前は、もっと具体的な目標がないとがんばることはできません。小学生のころの具体的な目標は、親や先生にほめられること、または友達に自慢できることといった身近な人間関係を媒介にしています。ですから、小学生に対する教育の方針は、がんばったところをほめながら、がんばっていないところを注意する、ということになります。

 読書について言えば、いい本を読んでいたらほめる、マンガばかりを読んでいたら注意する、ということをこまめにやっていけば、しっかりした読書をするようになります。ところが大抵の家庭では、読書については勉強について言うときに比べて、あいまいな言い方しかしていないようです。「マンガばかり読んでいないで、たまには本を読んだら?」「はあい」という言葉のうえのやりとりだけでは、子供を読書に向かわせることはできません。

 「マンガは読んでもいいけど、読み終わったら見えないところにかたづけようね」「今日は、勉強のあとに、ここにある本の中からひとつを選んで50ページ以上読もうね」ということを、ごく普通にさらりと、しかし妥協なく親が言えるようになれば、子供は本を読むようになります。そして、本を読んで読書力がついてくれば、親が「本を読みなさい」とわざわざ言う回数も少なくなります。

 読書の習慣は、家庭の躾のようなものです。いわば、顔を洗ったり歯を磨いたりすることと同じ次元の話です。習慣がつくまでは何度も何度も飽きずに注意してあげることが必要です。

 そして、小学生のころの読書と同じように大事なのが、中学生以降の読書です。中学生や高校生になると、読書は本人まかせになり、それに応じて、読書も次第に軽い内容のものに傾斜していくという傾向があります。読書に対するアドバイスは、中学生以降も継続していく必要があります。

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記事 68番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
読む力を育てよう as/68.html
cynthia 2006/05/01 16:32 
 小学校低学年のころは、学力の差はそれほどはっきりしたものではありません。どの子も同じようにのびのびと勉強しています。

 しかし、小学校高学年から、思考力を要求される勉強が増えてくると、学力のある子とない子の差が次第にはっきりしてきます。小学校低中学年の勉強は、時間をかければだれにでもできるようになる勉強です。この時期に、漢字や計算の練習をしていれば確かに成績はよくなります。しかし、ここで目に見える成績を上げることにとらわれるあまり、本を読んだり自分で考えて行動したりする機会を少なくしてしまうと、肝心の考える力が育ちません。

 今、小学校高学年の生徒を見ていて共通して感じるのは、難しい本を読む力のない子が年々多くなっているということです。読む力を育てることは、学校の勉強の成績を上げるよりもずっと大切なことです。逆に、読む力がしっかりついてさえいれば、高学年になって成績を上げることは容易にできます。

 あふれる受験情報に流されず、大人が勉強の本質をしっかりつかんで子供たちを育てていきましょう。

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記事 67番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
日記を書く子 as/67.html
cynthia 2006/04/28 10:25 
 中学生や高校生の文章を読んでいて、ふと「この子は、日記を書いているんだろうなあ」と思うときがあります。それは、体験実例の書き方に内省的なものが感じられるときです。

 小学生のころの日記は、事実の描写が中心になるので、文字どおり日々の記録にすぎませんが、中学生や高校生になってから書く日記は、事実よりも自分を振り返る内容のものになってきます。日記を書くことに目覚めた子は、だれに言われるわけでもなく、何の得をするわけでもなく、ただ自分自身を確認するためだけに日記を書き続けます。多感な中学生や高校生の時期に、このように日記をつける習慣を持った子は、ものの見方に陰影を持つようになってきます。ものの見方に対する微妙さは、現代の社会ではほとんど評価されていません。現実の社会で評価されているものは、成績や姿形などの外見に出たものです。しかし、たぶん、内面の深みはその人の生き方を何重にも豊かなものにしているはずです。

 今の若い人たちが、昔に比べて日記を書かなくなったように思われるのは、日記を書くという時間の過ごし方があること自体を知らないためだと思います。携帯電話やインターネットで他人との交流をするための言葉は豊富になりました。しかし、そういう言葉とともに、自分自身と対話する言葉も人間には必要なのだと思います。

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