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言葉の森と他の作文教室との違い(その3) as/758.html
森川林 2010/01/30 05:19 


 言葉の森と他の作文教室とのすぐにわかる違いは、その年数です。

 言葉の森は、30年前から作文専門の教室を開いて指導していました。ですから、ときどき社会人になった元生徒から、「懐かしいページを見ました」という連絡が来ます。

 30年前からあったということは、今後もずっと長く続く可能性が高いということです。


 それに対して、この2、3年で始めた作文教室は、どれくらい続くかわかりません。昔も一時作文教室のブームのようなものがありましたが、そのころできた教室は今はほとんどありません。作文指導というものは、最初の1、2年間指導することは、ある意味でだれでもできます。子供の書いた作文を添削していくだけですから、簡単なことのように思えます。

 しかし、その指導を長期間続けて、小1から始めた子が中学生になり、高校生になっても続けて勉強をできるような指導をすることはかなり難しいのです。そこには、明確な指導の方針とカリキュラムがなければならないからです。


 他の作文教室の中には、言葉の森がこれまでに開発したオリジナルな指導法をそのまま借用して指導をしているところも数多くあります。それ自体はいいのですが、問題はそういう教室で学ぶ生徒が、そこで持続的に勉強を続けていけるかどうかということです。

 受験の作文に合わせた指導は、どこでもできますが、受験後の作文力まで考えて指導しているところは言葉の森以外にはほとんどないのではないかと思います。


 言葉の森と他の作文教室とのもう一つの違いは、言葉の森では、作文の好きな子が多く集まっているところです。

 作文が好きだが、学校や塾では書く機会があまりないという子が言葉の森によく来ます。そういう子供たちは、言葉の森の勉強も積極的に取り組みます。国語の成績も当然いいので、成績を上げたいという動機よりも、書くことが楽しいということで作文を書いています。


 しかし、作文の得意な子供たちがいる一方、作文が苦手でどうしようもなくて来るという子供たちもいます。言葉の森の指導の特徴は、どんなに苦手な子でもすぐに楽しく書けるような指導ができることです。だから、通学教室でも、苦手な子の隣で得意な子が作文を書き、どちらも楽しく集中しているという光景が見られます。


 言葉の森で勉強している生徒の学力は、全体にかなり高いと思います。中学入試、高校入試、大学入試の直前まで普通に作文を書いていて、最難関校に合格するという子がよくいます。教えている先生も、受験することを知らなくて驚かされるということもしばしばです。受験勉強をしながら、受験には直接関係のない作文を毎週書き続けるというぐらいですから、入学後も余裕を持って勉強をしていける子供たちだと思います。


 作文の勉強をしていると思考力が育つので、受験勉強の後半にぐんと伸びるということがよくあります。受験勉強のヤマ場は最後の1年間ですが、この1年間で後半になるほど力を伸ばしていく子がいます。その違いは、考える力があるかどうかによるのではないかと思います。

 言葉の森の作文の勉強は、小学4年生までは、主に普通の生活作文ですが、小学5年生以降は難解な説明文や意見文の感想文が中心になります。この感想文は、大人でもよく考えなければ書けないほどレベルの高いものです。もちろん、担当の先生が電話で指導をしてくれるので、だれでも何とか書くことは書けるのですが、本気で自分の力で考えて毎週こういう感想文を書いていれば、かなり思考力がつくと思います。

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他の教室との違い(22) 

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12月森リン大賞(中3-高社) as/757.html
森川林 2010/01/29 04:50 


 小1-小6、中1-中2と続いて、今回は中3-高校生社会人の森リン大賞を発表します。
 スペースの関係上、代表作を1点しか表示していませんが、上位の作品はどれも密度の濃いものばかりです。
 得点が同点の場合は、表現点(語彙の多様性)の高い作品の方が上位になっています。



12月の森リン大賞(中3の部44人中)

一輪の優しさ
マロン

 日本人には他と比較したがる傾向がある。それが,日本の貿易や経済,文化を急速に発展させた,という面もある。しかし,日本は今も欧米に近づこう、真似しようと必死になっている。そして「国際化」ばかりを鵜呑みにして自らを見失っているのが現状である。私は,他の国や文化を基準にするのではなく,日本を中心とするような生き方をしたい。

 そのための方法としてはまず,まわりに流されない,ということが挙げられる。

 日本には,世界に誇れるものが沢山ある。私たちは直ぐに欧米のものに飛びつこうとするが,周りのものをよく見渡してみると,日本独特の良さがあふれていると思う。例えば,歌舞伎や能楽,浮世絵,華道や茶道は,外国では体験できない。これらの伝統に私たちはもっと自信を持って良いのではないだろうか。

 また,昔からの伝統的なものだけではなく,現代の日本のファッションなどもそうである。今,日本の流行や文化は海外の人からも絶大な人気を誇っている。安くてかわいい洋服。アニメやキャラクター文化,品質の良い電化製品。これらをもっと広めて,日本を基準とさせても良いのである。

 しかし,もっと身近なところにも日本の良さがある。それは言葉である。私たちはクラスに帰国子女がいると,それだけでその人を特別な存在だと感じてしまう。英語を流暢に話すことはもちろん私たちの憧れである。しかし,英語を話すことの前に,私たちはもっと日本語を知るべきである。きれいな尊敬語を話せるほうが,ただ闇雲に英語を話せることよりも良いのではないか。私は,まずは日本語をもっと大切にしていきたい。

 二つ目の方法は,日本が独自の基準を持っていた時代を見直すことだ。ヨーロッパの歴史だけでなく,いろいろな国の歴史を幅広く学び,あらゆるものを把握することが大切である。

 聖徳太子は,「日出づるところの天子,書を日没するところの天子にいたす,つつがなきや云々」といった手紙を隋の皇帝に送った。小さな日本が当時大国であった中国に対しても堂々とした手紙を出し,日本の良さ,存在を主張したのである。

 このような日本の歴史を知ることで,日本中心の世界に一歩近づくと思う。聖徳太子の時代の日本のように,どんな国に対しても自信を持っていたい。

 確かに,他国と比較したり,真似したりすることは大切である。明治維新のとき,欧米は日本にとっては絶対的な存在であった。このような考えが欧米への短期間のキャッチアップを可能にしたことも事実である。また,他国との比較は自分自身を見つめることにもつながる。しかし,「自分が考えるとおりに生きなければならない。そうでないと,自分が生きたとおりに考えるようになってしまう」という言葉がある。このように,私たちはもっと日本の良さを見直し,誇りを持って生きていくべきだ。

 最近人気のあるアートフラワー。私は豪華なバラで出来た花束はとてもきれいであると思う。でも,茶室に飾られている一輪の花には日本人独特の季節感や優しさが感じられる。私はそんな日本の優しさを大切にし,自分自身を基準とするような生き方をしたい。

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1一輪の優しさマロン90127862898593
2前向きに生きようゆうちゃり~84115458666989
3精一杯生きるちな82105853778692
4「寝坊」と「腹痛」きへあ82140552586887
5言霊ゆりん8197561686787
6清書きこう80100146687893
7日本のふつうは書きことばチョビ79111873576686
8今を充実させて生きていくためにうまのすけ78107044798887
9言葉に想いを込めるメグ7897444566787
10読み方の愛 清書かせり7686347587290



12月の森リン大賞(高1高2高3社の部119人中)

栄光と憂い
カエル

「特許」patent…新規で有益な発明について独占権を付与すること。


 なにか新しいものを作り出したとき、発明者が持つ事のできる権利でその特許が認められると無断で同じものを作ったり、その製法は使えなくなる。特許を獲得できるような技術は社会全体に得をもたらすものが多い。その例としては、ノベールの作り出したダイナマイトが挙げられる。ダイナマイトがあることによって、ツルハシだけでは何時間もかかっていた工事が一瞬にして終えることだってできるのだ。このように、特許を獲得できるものには社会的に良い面がたくさんあるのだが、「特許」という縛りがあることで社会的な得になれていないケースもある。その特許を使うためには使用料が必要で、いくら世紀の大発明であっても発明者が生活や地位の「安定」を望むことで社会的な恩恵とはならなかったものもある。日本でだって、鎖国という形で新しい文化や、役に立つであろう製品などを受容し変化することを、畏怖し自らの「安定」のために排除していたこともあった。世の中は、変化よりも安定を求める傾向にある。だから私は、安定を求めすぎる日本の社会には問題があると思う。
 
 まず、第一の原因として今まで日本という国は、戦争や内戦などの混乱が続いてきたため、その反動として「安定」な生活を欲するようになったからだ。日本という国は、歴史の教科書を開けてみると戦国時代という時代があるほど、戦というのはごく身近に当たり前のようにあったのだ。そして、今となっては歴史という言葉で語られるようになっては来たが「戦」がなくなってきたのもここ数十年の間で、百年前はまだ戦時中だったのだ。そんな中で、人々は戦争というものはいかに無益で、悲惨なものか心にしみたのであろう。だから、そんなことを二度と繰り返さないためにも変化よりも「安定」をえらんだのだ。
 
 第二の原因として日本は島国であったために無理に変化をしなくても、生活することが出来たからである。陸続きの大陸では、すぐ隣の国は全く異なる文化だったり宗教だったりした。しかし、陸続きであるために異文化や異民族との交流が行われやすかったのである。その点日本は、海に囲まれているため他国の文化と触れ合う機会がなかったのだ。だから日本は独特な文化や進化の仕方をしてきた。ほかの島国でもそうだ。オーストラリアやガラパゴス諸島といった島国は独自の生態系を保ち、大陸では見られないような生物が見られる。島国というのは、必要以上の変化を必要としないのである。
 
 確かに、ノーベルの開発したダイナマイトは「安定」より社会への貢献を重視し特許を申請しなかった為に工事の為だけでなく戦争に使われてしまいノーベルは苦悩し続けたという話も残っているほどだが、「大切なのは何を使うかではない、どう使うかである」という名言のように、使い方次第で人々に安心を与え社会に貢献するものにもなりえるのである。そのためにも、たくさんの人に知ってもらい人々の生活に変化を与えることが必要なのである。人間というのは変化を恐れ、怖がり、避けて歩く。だがそれではいけない。人は変化を遂げてこそ成長し学ぶのだから。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1栄光と憂いカエル87130058758087
2日本人にはボランティア精神がターミネーター85147959739495
3日本のふつうの書きことば(感)まいう85112853908792
4本当の常識おめか84158657697383
5静と動紫式部83111459929884
6曖昧な人間関係キューピー82106148637495
7朝寝坊したこと(清書)きちう80107751758983
8Visionを広げるピカチュウ7985451757586
9ボランティアの広がり方いへゆ79102253586190
10経験と言葉しんご7580154536189


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森リン(103) 

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12月森リン大賞(中1-中2) as/756.html
森川林 2010/01/28 04:04 


 引き続き、12月の森リン大賞を発表します。
 スペースの関係上、代表作1点しか表示していませんが、上位に入っている作品はどれも力作です。
 得点が同点の場合は、表現点(語彙の多様性)の高い作品の方が上位になっています。


※ 中1の1位の作品は優れていましたが、要約の部分も含まれていたので、代表作品としては掲載しませんでした。
 次回から、清書にする際は、要約は省略するか、自分の言葉に直して説明する形にしておいてください。

12月の森リン大賞(中1の部78人中)

言葉の意味
ハッピー・クローバー

 私は、実態に合わせて言葉を変えていくべきでなく、もとの意味を大切にするべきだと思う。その理由は二つある。

 第一の理由は、一々言葉を変えていたら、混乱が起こり、何だか分からなくなるからだ。最近では、カタカナや英語などで表す言葉が多くなったり、若者がよく使うような言葉が増えた。例えば、女子高生のことを「JK」 と表したり、空気が読めないことを「KY]と表したり、考えていくときりがない。私もよく、女子中学生のことを「JC」といったり、プロフィールのことを「プロフ」と略したりする。周りもみんな、普通の日常生活で使っている。でも母に、そういう言葉を使っていると、「何それ?」といわれることも多々ある。今、私達が普通に使っている言葉でも、相手を混乱させてしまっているかもしれない。

 先程述べた、プロフィールという言葉も、元々は自己紹介という意味だが、そういう若者の言葉で、一番気になるのが、「リスペクト」という言葉だ。「リスペクト」というのは、尊敬という意味だ。でも、
「尊敬しています。」
と言うのと、
「リスペクトしています。」
というのでは、感じ方が違うのではないだろうか。前者は、敬うっている様子が、とてもよく感じとれる。それに対し、後者は、あまり尊ぶ気持ちや敬っている気持ちが伝わりにくい。それに年配の方など、「リスペクト」という言葉自体分からなければ、混乱や、誤解をも招いてしまうかもしれない。だからやはり、言葉は変えるべきではない。

 第二の理由は、日本の文化や歴史に根づいた言葉は、慣れ親しんでいて、愛着があるからだ。ここ七年ぐらい、市町村の合ぺいが、相次いで、色々なところで行われている。山梨県にある、南アルプス市も、六年前に合ぺいした市だ。でも、この南アルプス市は、今までの市町村の名前と違い、カタカナで表されている部分がある。確かにそのほうが、みんなに覚えてもらうには、覚えやすいかもしれない。だが、元の市町村の名前にだって、色々な文化や歴史がある。昔から住んでいた人には、慣れ親しんできた地名である。それを、覚えやすい、分かりやすいからといって、カタカナの名前にするのは、少し問題があると思う。これと同じで、言葉だって、昔から慣れ親しんできたのに、それを実態に合わせて変えるのはどうかと思う。

 こんなデータがある。外国語の定着度調査における理解度では、例えば「バックアップ」という言葉だと、七十六パーセントだ。でも、「コラボレーション」という言葉では、十八パーセントだ。やはり、元々の慣れ親しんだ言葉でないと、慣れるまでに時間もかかり、混乱も招く。

 確かに、実態と言葉があっていれば分かりやすい。ずっと変わらないままも、おかしい気もする。しかし、「自分の心のうちに持っていないものは、何一つ自分の財産ではない。」という名言もあるように、自分が慣れ親しんだ言葉を使ったほうが、実感がわくし、語源も分かる。私はこれから、若者の言葉でも、元々の意味を考え、大切にしながらつっかていきたいと思う。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1言葉ピプリー91128964808792
2言葉の意味ハッピー・クローバー88125861658193
3“生”と“死”hikari87132759778786
4締め切りで成長なまず大使87120168697586
5人間は締め切りがないと、必死になれない!!フラワ85106558758687
6他人に迷惑をかけない201系85124953678389
7二足歩行ひよこ85111454687596
8平等の上に成り立つ行列きとみ84139059637189



12月の森リン大賞(中2の部80人中)

all for one,one for all
ハーマイオニー

 宇宙飛行士ラッセル・シュワイカートは、宇宙空間で仕事をしているとき、機械の故障のため数分間何もしない時間を持った。そのとき地球を見て、「自分は『私』ではなく、地球の全生命の過去と未来を含めた『我々』なのだ」という意識を持ったという。シュワイカートが宇宙空間で体験したこの個体意識から地球意識への脱皮は、今すべての人々に求められているのではないか。

 確かに、自分の利益を考えることは当然だろう。人間はみな、富や名声、地位に対する欲望がある。自分が認められたい、自分が褒められたい、自分が目立ちたいと考えているものだ。私は長年クラシックバレエを習っていた。体験時、やや大げさに褒められて以来、すっかりバレエに夢中になった。最初の発表会、私は、いきなりセンターで踊らせてもらい、ますます調子に乗った。今思えば井の中の蛙だったが、気分良く熱心に練習したので、実際上達も早かったと思う。振り付けの覚えが速いと感心されたので、いつの間にかそれが自分の役割のように思え、人の振り付けまで覚えるようになっていた。事実、舞台に向けた稽古の中で、私は不在のメンバーに代わって踊り、役立つことができた。しかし、レベルが上がるにつれ、レッスンも厳しくなったし、オーディションに参加するなどして、上には上がいることも知った。ポジション争いも熾烈になった。上手な子には負けず嫌いな気の強い子が多く、おそらく誰もが「私が私が」と考えていたはずだ。だがそのエネルギーは、公演本番に向かって一つにまとまる力ともなった。皆が自分の技術を磨くことによって、全体のレベルアップにも繋がったのだ。このように、一人ひとりが自分のためを考えることによって、全体の利益に繋がるということもある。

 しかし、全体を見通し、その利益を考えることも必要だ。昔話の「桃太郎」でも、桃太郎が鬼退治に行ったのは、何も自分がヒーローになりたかったわけではなく、村全体の平和を考えたからにちがいない。犬や猿や雉もきび団子一つ貰いたいためだけに命をかけた戦いに向かって行きはしなかっただろう。私も桃太郎やシュワイカートのような崇高な気持ちとは言えないが、最近の体験で、自分のことは二の次で全体の成功を考えたことがある。今年の体育祭のメイポールだ。これは、「私が目立つ!」などと思っていてはとても出来るものではない。個の意識は抑え、一つのリボンの正確な頂点となり、声を出しながら周囲と歩調を合わせて動いていく。それはクラスのためでもあり、学年全体のためでもあり、また学校の伝統のためでもあった。(私の中から「学校の伝統のため」などという言葉が出てくること自体、自分でも驚きである。)本番で成功したときには、全員で歓喜に酔いしれた。人類みな兄弟といった気分だった。私はまさに、過去も未来も含めた「私たち」だったのだ。この経験によって、私個人の考え方や物事の捉え方も深まったように思う。つまり、みんなのために、とやったことは結局自分のプラスにもなると言えるのではないか。

 このように、自分の利益を考えることも全体の利益を考えることも大切だ。しかし、「私たちの幸福が、ほかの人々の不幸に支えられているのであってはならない」という名言がある。最も大切なことは、自分の利益の追求が他の人々の利益にも結び付くような社会を作ることではないだろうか。「one for all」の「one」になるのは、意外に心地よい経験だった。「all for one」と「one for all」は、反対の意味ではなく、一つの真実の表と裏なのかもしれない。

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1all for one,one for allハーマイオニー91148164788989
2人生の司おむふ901554787410086
3言葉の行動かはふ84124554577686
4全体の利益ショウ83106254687987
5言葉の大切さファラオ83118952647990
6悪いのは使い方コーギー83123649627890
7人間にとって必要なのは音楽大好き少年83113252546895
8並んだだけの価値嵐ちゃん82142757789886
9行動はsnow boy82132253546484
10自己暗示の効果サニー81134051869590



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森リン(103) 

記事 755番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
12月の森リン大賞(小1-小6) as/755.html
森川林 2010/01/27 07:00 


 12月の森リン大賞を発表します。
 これは、言葉の森の生徒が書いた12月の清書のうち、森リンで上位の点数をとった作品です。
 小1から小4までは、他の人の作品を見て参考にするよりも、自分なりに楽しく書いていくことが大事なので、上位の作品は表示していません。しかし、いずれも楽しく個性に満ちた作品ばかりでした。
 なお、得点が同点の場合は、表現点(語彙の多様性)の高い作品の方が上位になっています。


12月の森リン大賞と上位入賞者(小1の部61人中)
順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1おにごっこきちね6024042435381
2ビックリドッキリマウンテンクリーム6042639495287
3ゆめのケーキパンダ6040342435286
4スパリゾートハワイアンズにいったことアリス6052237435096
5元気よく手をふってくれたサンタダイバーとらたいがくん6041838444996
6クリスマスかいおはなちゃん5966239435481
7たのしいたのしいクリスマスかいきとめ5931438435280
8ロボットきょうしつトム5936841435081



12月の森リン大賞と上位入賞者(小2の部95人中)

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1鉄道博物館タカ7479038918987
2チャレンジ走のれんしゅうきそお6538639466283
3学校でのクリスマス会きそひ6549237445890
4危ない。火事になるところだったあかりんご6551038455890
5「あはみ」たんけんたいはーちゃん6467938445887
6ひいおばあちゃんのおそうしきパルキア6439837455887
7来年がんばりたいことゆまちゃん6434844455890



12月の森リン大賞と上位入賞者(小3の部131人中)
順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1ぼくとマイケル・フェルプスの集中力ダイヤモンド7154647567589
2キャ~!すいそばくだんだ~!メゾピアノ70102047477481
3大好き!美由貴ちゃんねいろ7083141516786
4かんさつしてこつがつかめたしゅわきち7049752526786
5私ととても仲のいい友だちスヌーピー7066742476586
6秘密話MANCHESTER U70115043586483
7ムシャムシャ海太郎6960339516884
8虫めがねでこがす色画用紙さやか6987739486683
9ひみつのモルモットなるちゃん6971238496289



12月の森リン大賞と上位入賞者(小4の部130人中)


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1ゴルフクラブでもらったカニーなぞのたびびと7675942627590
2ぼくがしているスポーツトレジャーハンター7679943637193
3努力の意味ビクトリア76121451576784
4大切な物ルイス7568748558290
5私の古い宝物枕草子7572142648273
6僕が大切にしているものコーカサウルス7586758506581
7ぼくの母さんは黄色いタオルネッシー7476448507883
8がんばる!水泳まーりん74100143497789
9三つぶの豆のゆくえリラックマ7497446507487



12月の森リン大賞と上位入賞者(小5の部142人中)

ハロウィンパーティー
ひろみ

 教室がまるで夢の国のようになっていた。魔法使いがいると思えば占い師もいるし、おばけみたいなのもいる。テーブルにはケーキがならんでいる。それらに変身しているのは五年三組の生徒達だった。私達はその日、ハロウィンパーティーをしていた。「仮装コンクール」をしたりケーキを作ったりするのだ。私は朝からケーキ作りを楽しみにしていた。

 完成したケーキを思いうかべながら、まず卵をわった。次に牛乳とさとうを入れてかきまぜる。そして、ホットケーキミックスという粉を入れる。この粉を入れるとどんなケーキでも簡単にできてしまうという魔法の粉なのだ。私は家でこれを使って、バナナケーキやチョコチップケーキやチーズ風ケーキを作ってみたことがあるがどれもはずれがなかった。さらにドライフルーツと手作りのかぼちゃを入れるのだ。最後に焼けば出来上がりだ。

 でも焼くのには時間がかかるので、その間に一限授業を受けなければならなかった。その授業の時はこころなしかみんな集中できていないような気がした。たった四十五分のことなのにゆっくりゆっくり時間が流れていくのだ。時間がとまっているかのようだった。

 「キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン」
 長かった授業もやっと終わった。私は急いで家庭科室へむかった。家庭科室に入るとケーキのこうばしいにおいがつうんと鼻をさした。気持ちがたかぶってきていた。そこに生クリームをそえて食べてみると顔が思わずほころんだ。みんな口をそろえて言った「おいしい」と。

 学校で食べるからひときわ美味しいのだと思う。ふだんとちがう点はもう一つあるのではないか。それは仮装をしている点だ。どことなく楽しいふいん気になるからではないだろうか。給食台の近くに行列ができていたので、何事かとのぞいてみたら・・・。その光景にはびっくりしてしまった。いくら生クリームが好きといっても・・・。私は、ボールについている生クリームを指ですくってなめるのは、遠慮しておこうと思った。

 やっぱり料理を食べる時には楽しいふいんきが必要だと思った。少しばかり口にあわないものでもそれさえあれば美味しくなる。ふいんきは調味料だ。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1ハロウィンパーティーひろみ8090443698786
2日本とアメリカの文化のちがいピロシ79115353638290
3すっぱい食感降参します……まかじろう781203437510387
4ぼくの好き嫌いかえるのぴょん7790141548286
5お弁当とお給食クローバー77106538567180
6おいしさのひみつゆうと7794346526686
7心がこもった手紙とはみいちゃん7794144576686
8イメージによってけん7691642567579


※ 小6の1位と2位の作品はそれぞれ優れていましたが、要約の部分も含まれていたので、代表作品としては掲載しませんでした。
 次回から、清書にする際は、要約は省略するか、自分の言葉に直して説明する形にしておいてください。

12月の森リン大賞と上位入賞者(小6の部147人中)

夢中になる程、好きなもの
マーブルチョコレート

 私が今、夢中になっているものは「読書」と「小説を書くこと」である。なぜなら、私の将来の夢が小説家で誰もが楽しめるような物語を書けたらいいなと思っているからである。私の場合だと、もしかしたら資源の鉱脈を発見できたのかもしれない。

 読書も、物語を書くのも、私は小さい頃から好きだった。年が増えていくごとに、私の趣味に対する夢中度も上がっていった。これらなら、食わず寝ずで二十四時間ずっと行い続けることが、出来そうな気がしてくる。みんなから、とても人気のある小説家さんや作家さんたちには、人をひきつけるような素敵な文章力がある。まだ、小六の私だが、自分だけの文章が書けるようになりたいと思っている。また、読書なら誰にも負けないと言い切れる自信がある。どんなに周りが騒がしくてうるさいとき

 でも、集中して読書をすることができる。なぜなら、私は読書に限らず集中しているときだと、勝手に耳が周りの声をシャットダウンしてくれているらしいからだ。こういうときには便利だが、それが反対の結果を示すときもある。学校があるときの朝には、いつも「読書の時間」というのがある。読書好きにはたまらない至福の時間のため、私は一ページでも多く読もうと集中して読書をしている読書の時間が終わり、

「読書をするのをやめてください。」

と先生に言われても、私の耳はシャットダウンしていてその声は聞こえない。だから、いつも友達に注意されてやっと気付くのである。

 ここ最近、CDの人気曲ナンバーワンを連続でとっているあの有名な歌手マイケル・ジャクソン。謎の死をとげたマイケル・ジャクソンは、ムーンウォークで世界中から天才だと誉めたたえられていた。しかし、本当はマイケル・ジャクソンは裏で必死にダンスや歌の練習をしていたらしい。なんと、その時間は十時間以上!そんな長い時間を費やして練習していたマイケル・ジャクソンはそれほど、ダンスや歌が好きで好きでたまらなかったのだろう。私はほんのお遊びでならダンスも歌も好きだが、マイケル・ジャクソンと同じように十時間以上もやっていると、体も頭も変になってしまうだろう。そんなマイケル・ジャクソンはやはり天才で、あんなに夢中になれるなんてすごいと思う。

 人にとって、夢中になれるものがあるということは、人生がもっと楽しくなるということである。小さいときから夢中になれるものを、ずっと続けていれば、それはかならず実をむすぶことになる。誰だって持っている「夢中になれるもの」。これを見つけて、人生に少し余裕を持って生きていけたらいいと思った。好きこそものの上手なれ、ということわざのように、みんなも好きなものがあるから、それを大切にしていけたらいいと思う。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1性格と資質バービー85144452768186
2勉強とは?きちこ85107057748080
3夢中になる程、好きなものマーブルチョコレート84113151727487
4勉強の在り方ことのは84156559606889
5好きなもの、嫌いなものサッカー少年83111756567483
6自分だけのものsha hui83114949617089
7やればやるほど勉強は好きになるきらり82117554566783
8コーンスターチこんぺいとう8087746728487
9朝ねぼう麻衣8095143648083


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森リン(103) 

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日本の未来は尊敬される老大国 as/754.html
森川林 2010/01/26 04:32 


 老大国とは、老人大国ではありません。確かに老人の数は多いでしょうが、単に量的なことではなく、質的に高度に洗練された老文化を頂点として社会のあらゆる文化、経済、政治が統合されている国ということです。

 老文化とは、老によって支えられている文化です。そこで描かれるイメージは、老人が深い知識と経験と哲学を持って多くの人から尊敬され、自ずから社会の精神的なリーダーとなって存在している姿です。

 国際社会における日本の未来像を考える場合、大事なことは日本に現在あり余っているものを活用し、日本に不足しているものを避けるという発想することです。足りないもの求め、余っているものを無駄に使うという発想をするべきではありません。日本に余っているものは、日本語、老人、歴史と文化などです。日本に足りないものは、若年人口とハングリー精神です。

 足りないもの求めることはわかりやすいので、多くの人がそこに未来を求めようとします。しかし、それは、大量の移民を受け入れたり、競争を激化させて活力を生む方向に日本の未来を持っていくことになります。

 未来は、単純な過去の延長にはありません。かつて日本が高度成長でなしとげたような工業の時代は歴史的に終わりつつあります。工業社会の代表である自動車産業も、すでに自動車が日常商品化する中で、かつてのような成長力を持つ分野ではなくなっています。それは、古い公共事業のように、すでに形成されている固定化した産業の裾野を潤すだけで、新たな乗数効果を生み出さないのです。

 しかし、工業の時代が終わったあとに来るのが金融の時代だというのではありません。金融の時代は、文化の蓄積のない社会が、あり余っているマネーに目を奪われて作り出した虚構の時代です。

 工業の時代のあとに来るのは、新しい創造のマーケットによって支えられる文化の時代です。それは、江戸時代に生まれたマーケットに似ています。お茶やお花の文化、和歌の文化、その他江戸時代に生まれた多くの洗練された文化は、実は老人、熟練者、ベテラン、年季の入った人々によって担われていた文化でした。

 日本が高齢化するのと同様に、アジアも急速に高齢化が進んでいます。日本はアジアより一足先に尊敬される老大国になればよいというのが日本の社会の大きな未来図なのです。


 経済の面から比較してみましょう。

 若者が、10時間働いて1万円の収入を得て、2万円の工業製品を作る社会があったとします。その若者が5人集まれば、10万円の工業製品ができます。しかし、この仕組みは、資本さえあれば誰でもできる仕組みであるため、常に激しい競争に置かれています。その工業製品によって生まれた裾野が広がりますが、その裾野もやはりコストと性能の面で常に競争に置かれています。

 それに対して、次のような社会もあります。老人が、1時間働いて、5万円の収入を得て10万円の茶碗を作るというような経済を持つ社会です。この仕組みは、老人の個性と熟練に依拠しているため、他の人は真似をすることができません。したがって、そこから広がる裾野もやはり個性と人的なつながりでできたもので、他人では代替することができません。

 もし、ある国の若者が10時間働いて1万円もらって2万円の工業製品を作るような世界で、ほかの国の裕福な若者が、5時間働いて2万円もらおうと思うような形で作る工業製品は、当然競争に負けていきます。かくして、裕福な国では機械化が進みますが、機械化は雇用を増やしません。だから、日本の若者は、工業製品で人件費の安い国に立ち向かうよりも、老文化の裾野を形成するような方向で働いていくべきなのです。

 その条件は、実は少子化です。少子化により日本には真の英才教育が可能になる社会が生まれています。そして、このような形で成長した若者は、いずれ年をとって新たな老文化の山頂を形成するでしょう。


 では、その老文化とは、現代にお茶やお花を復活させることなのでしょうか。そうではありません。21世紀にふさわしい老文化を創造的に作ることなのです。

 その文化は、叡智の文化というような言葉でも言い表せるものです。ドラッカーは、90代でなお未来の提言を行いました。貝原益軒もやはり80代で人間に関する深い洞察に満ちた書物を著しました。このような老人の叡智に若者は追いつくことができません。それが、知識産業の時代の特徴です。つまり、知恵と経験と知識の統合こそが老大国の文化となるのです。

 老人は自分の専門を深く究めていくことで新しい文化を創造します。そこには、手工芸の分野もあるでしょう。演劇の分野もあるでしょう。小説や絵画や音楽や彫刻や書道や剣道や弓道や動植物の飼育や、新しい感覚に訴える芸術の創造や、詩や短歌や漫画などの分野もあるでしょう。今はまだ生まれていないような新しい分野も含めて、百花繚乱の文化が咲き誇る尊敬される老大国が日本の将来の姿です。

 日本文化の特徴は、これらの多様な老文化がすべて道化(みちか)され哲学化され思想化されていくところにあります。つまり、単なる職人芸を究めるのではなく、その職人芸が一つの道として成り立つような文化となるのです。この道化(みちか)ということの中に日本文化の神髄があります。

 日本文化は、シンプルで、宇宙の叡智につながり、自然と共存し、無私の精神を持つという方向に進む傾向があります。これが、利害や得失や勝敗や強弱という現実的なところに収斂しがちな他国の文化との違いです。

 だから、日本文化を守るとは、守るような実体を持たない日本文化を探して固定化することではなく、日本文化を作ることなのです。日本文化とは、日本刀でも浮世絵でも和服でも日本料理でもありません。それらの実体を通してより高い境地を目指そうとする志です。

 日本文化とは、博物館のように物として守られるものではなく、志を生きることなのです。志を生きることとは、免状を手に入れることではなく、同じ志を生きる人の間にあって生きることです。だから、日本におけるリーダーは、単に最高点にいる人ではなく、最高点で志に生きている人でなければなりません。そこに老大国の尊敬の源泉があります。

 熟練し、かつ志に生きる老人がさまざまな文化の山頂を形成し、その裾野を英才教育によって育てられた優れた少子化の若者が支えていくというのが日本の社会の未来の姿になると思います。

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ハワイの「あお」先生の教室新聞と作品展の動画 as/753.html
森川林 2010/01/25 10:05 
 ハワイで作文教室を開いているあお先生から、教室新聞が届きました。

 そのあお先生がハワイで開いたイラストの作品展がyoutubeで見られます。
(最後の方の画面で頭にレイをつけて登場するのがあお先生です)





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言葉の森と他の作文教室等の違い(その2) as/752.html
森川林 2010/01/24 20:07 


■独自の教材

 言葉の森の特徴は、独自の教材を開発していることです。ですから、公立中高一貫校の受験作文の課題などについても、すぐにその傾向に合わせた問題を準備することができます。

 大学入試でも、以前はかなり特殊な小論文対策の要望がありました。写真や建築や絵画や音楽の分野で出されるような小論文の問題を作ってほしいというものです。さすがに、今は手間がかかるのでよほどのことがないかぎりそういう要望はお断りしていますが、当時作った教材が受験作文小論文のページに多数残っています。

 言葉の森が30年前にスタートするとき、作文指導の分野ではそれまではっきりした評価や進歩の基準がなかったため、言葉の森では最初に指導のカリキュラムを作ることから始めました。まず、作文というものの構造を、構成、題材、表現、主題、表記の5つの分野に分けました。そのそれぞれの分野について、小1から高3までどういう指導をしていくかという流れを作ったのです。

 こういう根本的な仕組みができているので、作文指導については、どのような要望にも即座に対応できる体制ができています。


■小1から高3までの指導

 言葉の森では、小1から高3までの一貫した指導を行っています。

 普通、小学生の作文指導は、小学校の間だけを目標としたものになりがちで、その先の中学生でどのような作文力が必要になるかということまで考えられていません。そのため、小学校の作文は、出来事中心の作文でいかに上手に書くかというものになってしまうことが多いのです。

 小学生のころに出来事中心の作文で上手に書けた子が、そのまま中学や高校でも上手に書けるかというと、そういうことはありません。逆に、小学生のころは特に注目されなかったような平凡な文章を書いていた子が、中学、高校と学年が上がるにつれて読み応えのある小論文を書いていくようになることがあります。

 文章のジャンルが違えば、当然そこに必要とされる語彙や表現や考え方や構成の仕方も違ってきます。言葉の森では、そういうジャンルの違いも含めて、一貫した作文指導を行っているのです。

 そのため、小学生の間に、時に難しすぎる課題を出す場合もあります。例えば、小学3年生で感想文指導を始めることや、小学5年生から難度の高い説明文を読ませて感想文を書かせるような指導をすることです。

 普通の通信指導では、このような難しい課題を出せば、ほとんどの子はお手上げ状態になります。しかし、言葉の森には電話指導があるので、その生徒の担当の講師が、生徒の電話での反応を見ながらわかるレベルまで噛み砕いて説明します。また、電話指導でもわからなかった場合は、事務局に電話をかければすぐに追加の説明を聞くことができます。

 言葉の森の学年別指導は、電話指導と組み合わせる形でスムーズに進めていけるのです。


■長期的な展望で読む力をつける指導

 言葉の森の作文指導の目標は、単にその学年で上手な作文を書けるようにすることではありません。また、受験に合格する作文を書く力は、結果として生まれるものであって、決して合格するための作文が書けるようになればいいというのではありません。

 作文について近視眼的な見方をする人の中には、合格できる作文を書くためには上手なウソを書いてもいいのだと教える人もいるようです。(^^ゞ 言葉の森での指導は正反対です。コンクールに出す作文を指導する場合も、受験に書く作文を指導する場合も、「本当のことを書く」が鉄則です。ウソを書いて合格するぐらいなら、本当のことを書いて不合格になった方がずっといいのです。

 長い人生では、最初のボタンの掛け方が大事です。最初に、正しい道を歩くようにすれば、時間はかかっても正しい道を歩き続けられます。最初に、ごまかす道を歩いたことがあれば、長い人生でまた困難な選択に遭遇したときに同じ道を歩こうとしてしまいます。

 作文の上手な子は、大体頭のいい子です。そういう子ほど、正しい道を歩くよりもうまくやる道が先に見えてしまうのです。だから、親や先生は、あらかじめ折に触れて、「本当のことを書く」ということの大切さを教える必要があるのです。

 作文の目的は、創造性、思考力、感受性を育てることです。それは、より大きく言えば、人間の生きる目的である幸福、向上、創造、貢献を実現するための一つの方法でもあるのです。

 作文指導が単に書くためのテクニックの指導にならないように、言葉の森では、読む力をつける指導に重点を置いています。それが、暗唱や読書の指導です。読む力の土台の上に、初めて書く力を大きく育てていくことができるのです。

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おはろ母 20100125  
「本当のことを書く」が鉄則という点について教えてください。
息子(小4)は自分の体験について書き始めて、後半に関連する作り話を付けておもしろい作文にしようとすることがあります。もし作り話を書きたいのであれば、実体験にもとづいて自分が思ったり想像したこと、として分けて書くの方が一番ウソがないですよね。どう声をかけたらよいでしょうか。

森川林 20100125  
 小学校4、5、6年生のころのウソは、大人のウソとちょっと違います。
 ほとんどすべての子が、作文を面白くしようとして脚色します。
 文章力があれば、ウソにはならないような脚色ができるのですが、まだそれほどの表現力がないのでウソになってしまうのです。
 想像力と一種のサービス精神の表れからのウソですから、深く追及する必要はありませんが、ひとこと、「面白くていいけど、本当のことを書いて面白くするのがいちばん価値があるんだよ」とウソがマイナスであることを言ってあげるといいです。


同じく小4男子の母 20100126  
本当のことを書いて面白くした具体例と、面白くしようとした脚色の具体例をいただければありがたいです。

森川林 20100126  
 それは……具体例というほどのことはないです。
 普通に面白く書けばいいのです。
 みなさんで、いろいろ考えてみてください。

おはろ母 20100127  
例えばスキーの作文で、転んだときにストックが飛んでいった程度の体験を、ストックが飛んで雪の中に埋もれてみえなくなったと、脚色して面白くする場合があります。これは許容できるように思います。
一方旅行の作文で、景色がきれいだったです、とか、おもしろかったです、また行きたいです、という表現は好ましく思いません。なんだか借り物の表現でウソっぽさを感じてしまいます。森川林先生のコメントの後半にあることとつながりますが、自分の感受性や思考を表現することを目的にした作文が好ましいと思います。

森川林 20100127  
 おはろ母さん、ありがとうございます。

 「スキーで転んでストックが飛んでいった」という話で、「ころんで一回転した」とか「ストックがビューンと飛んでいった」とかついオーバーに書いてしまうことは子供ならだれでもよくあります。

 「一回転するかと思うぐらいの勢いで転んだ」とか「ビューンと音とたてるように飛んでいった」と書けば正確ですが、ある程度文章力がないとこういう配慮はなかなかできないと思います。

同じく小4男子の母 20100127  
なるほど、納得しました。
森川林先生、おはろ母さま、有難うございます。


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暗唱は作文とセットで as/751.html
森川林 2010/01/23 18:48 


 暗唱という勉強の仕方に効果があることがわかってきました。しかし、今心配しているのは、この暗唱の学習が学校などでも取り入れられるようになり、勉強のスタイルとして常態化してしまうことです。

 暗唱は、親や先生が子供のころにやっていない勉強法なので、ついその効果だけに目を奪われてしまいがちです。すると、暗唱の自習が、人よりもいかに速くいかに多く暗唱できるかという競争になることも考えられます。競争によって、暗唱に力を入れるというのは最初のうちは効果がありますが、やがて弊害がでてきます。それは、じっくり考えるとか自分で考えを作り出すとかいう要素なしに、覚えることだけが目的になってしまうからです。

 江戸時代にも、素読という暗唱の勉強法はありました。そのころに暗唱のしすぎという弊害がなかったのは、子供たちが日常の遊びや仕事の中で、自分で考え判断し作り出す経験が豊富にあったからです。

 現在は、そうではありません。勉強以外の時間の多くを、非創造的なテレビやゲームやテレビやインターネットに費やしている子も多いのです。。

 自分で作り出すものがない中で、覚え込むことだけに力を入れると、人間の成長は歪んできます。

 吸収する勉強は、発表する勉強とセットにすることで初めてバランスよく力のつくものになるのです。これをわかりやすく比喩的に説明すると、次のようになります。

 まず、食べるだけで運動しないという生活をしていれば、次第に体が太ってきて、ますます運動が苦手になります。その一方で、食べることだけは得意になります。これを勉強にあてはめると、覚えることだけが得意になるという状態です。

 もう一つは、食べずに運動するという生活の仕方です。食べないので力が出ません。そこで、自分の無理のない最小限の範囲で運動をするようになります。勉強に当てはめると、本を読まないので、作文も細々としか書けないという状態です。食べずに運動するというのは、やがて食べないし運動もしないということと同じになります。

 最後に、食べて運動するという生活です。食べたものが運動によって血や肉となるので、どんどん力がついてきます。食べることと運動をすることが相互作用で発展していくので、どちらも楽しくなります。勉強に当てはめると、読書も作文もどちらも進んでいくという状態です。勉強と遊びとの対比で言えば、「よく学びよく遊べ」の状態と言ってもいいでしょう。

 運動というのは、国語の場合は作文ですが、数学や英語の場合は、問題を自分で考えることや文章を自分で作ることになります。それも、既にある答えを再現するような記憶力に依拠した問題や文章ではなく、自由に自分で考える問題や文章です。

 言葉の森の暗唱は、作文指導を充実させるために始めました。作文とセットでない暗唱は、暗唱のための暗唱になります。このような暗唱も最初のうちは効果がありますが、やがてやり過ぎによる弊害も出てくるでしょう。そうならないために、暗唱は作文という創造的な勉強とセットで行う必要があるのだと思います。

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