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効果のある読書法、作文法(その5) as/781.html
森川林 2010/02/15 18:04 



 前回は、速くわかりやすく書く書き方を説明しました。今回は、美しく書くという方法です。

 美しく書くというときの美しさとは、わかりやすさの発展したものです。わかりやすさとは、平均値に近いことです。

 文章を読むとき、読み手は読んでいる文の先を予測しながら読み進めています。その読み進める予測の方向が平均的であるとき、その文章はわかりやすい文章だと言われます。

 美しさとは、その平均値からある方向性をもってわずかにずれることです。だから、わかりやすく書く実力をつけておくことがまず大事です。平均値がはっきり把握されているからこそ、ずれることもできるのです。

 これは、スポーツにおけるフェイントやフェイクと似ています。正しいドリブルやパスができるからこそ、方向をはずすフェイントやフェイクができます。

 では、それをどのようにして身につけるのでしょうか。その方法が、暗唱法です。

 暗唱というと、普通は、記憶力を育てたり、模倣の練習をしたりすることと思われがちです。しかし、実際に暗唱の練習をしていて感じることは、暗唱によって、発想力が豊かになり言葉のリズム感が育つということです。

 しかし、ここで大事なことは、暗唱には方法があるということです。

 言葉の森が音読の自習を始めたとき、音読をさせるような勉強法は世間一般にはありませんでした。それが次第に、学校でもどこでも音読をするようになってきました。

 しかし、中には、上手に音読できなことを注意するような勉強の仕方も増えています。音読は退屈な勉強なので、勉強の仕方を工夫しないとかえってマイナスになります。

 暗唱の場合は、音読よりも更に勉強の仕方を工夫する必要があります。その理由は、暗唱は、音読よりも更にはっきりとできるできないの差が出るからです。このため、暗唱は、やり方を工夫しないと子供に対する負担の大きい勉強になります。

 では、どのように暗唱をしたらいいのでしょうか。暗唱のコツは、次のとおりです。

1、繰り返すこと

 ほとんどの人は、暗唱の練習というと、覚えようとして読みます。覚えるのは、暗唱の結果であって目的ではありません。
 暗唱は覚えるために読むのではなく、ただ繰り返すために読むのです。

2、声を出して読むこと

 暗唱は、耳から言葉が入ることが大事です。目だけで意味を理解して読もうとすると暗唱がかえってできなくなります。

3、早口で読むこと

 早口で読むことによって、ひとまとまりの文章が丸ごと頭の中に入るようになります。一語ずつ逐語的に意味を理解しながら読むと暗唱は難しくなります。
 息継ぎをしならが上手に読むのではなく、できるだけ一気に読むという読み方をするのが暗唱のコツです。

4、読み方を注意しないこと

 間違った読み方をしても直しません。読んだあとは、ただ褒めるだけです。間違いは、実力がつけば自然に直ります。間違いを指摘することによって暗唱にブレーキがかかるという弊害の方がずっと大きいのです。

 暗唱をうまく生かして作文の勉強をしていってください。



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効果のある読書法、作文法(その4) as/780.html
森川林 2010/02/15 09:05 



 前回までは、作文の中身をよくする方法について説明しました。

 今回は、作文の表現をよくする方法です。まず速くわかりやすく書く方法として音声入力法の説明をします。

 文章というものは、あれこれ推敲を重ねたものよりも一気に書き上げたものの方が読みやすいということがあります。読むスピードは書くスピードの10倍以上あるので、書いているときは、同じ言い回しがあるなど不自然な箇所があってもなかなか気づきません。あとから自分の書いたものを読むと、不自然なところがよくわかります。

 書くことと読むことではスピードに差がありますが、話をすることと話を聞くことは、同じスピードで行われるので、こういう問題は起こりません。音声入力は、読むスピードと同じ速さで書いていくことができます。このために読み手にとってわかりやすく書くことができるのです。

 この音声入力の方法に欠かせないのが構成図です。つまり、音声入力をする前に、考える過程があらかじめできあがっている必要があります。これがもし構成図なしで考えながら音声入力をするのであれば、スピードはそれほど速くなりません。


 ただし、日本語は音声入力には向かない言語です。それは、日本語は他の言語に比べて音素数が少ないために同音異義語が多くなるからです。将来、文脈で理解して漢字を変換する機能が充実すれば、音声入力はもっと使いやすくなると思います。


 言葉の森で現在使っている音声入力のハードとソフトは次のとおりです。

 amivoice(音声を文字に変換する有料ソフト)

 voice-trek(ICレコーダー)

 ヘッドセット(300円程度の安いもの)

 unitemovie(複数の音声ファイルを結合するフリーソフト)


 将来、インターネットで利用できるフリーのソフトがもっと増えてくれば、パソコン1台でだれでも音声入力が利用できるようになると思います。


 音声入力の欠点は、誤変換の編集が必要になることです。同音異義語の編集などをしていると、正しく変換するのに時間がかかるので、パソコンに直接入力するのと時間的にはあまり変わりません。

 では、音声入力は何が利点かというと、急いでいるときにとりあえず10分もあれば1200字程度の文章を書き上げることができるという点です。これは、直接入力であれば、まず不可能な速さです。しかも、文章の流れが自然なので、書いたあと読み返す必要のほとんどない文章ができあがります。


 言葉の森の通学教室では、中学生以上の生徒に音声入力の方法を教えています。

 しかし、これはやり方さえわかればだれでもすぐにできます。


 音声入力ソフトなどを使わずに、ICレコーダーだけを使った簡単な方法は次のとおりです。

1、まず構成図を書きます。これは必須です。構成図を書かずに、考えながら音声入力をしたのでは、音声入力の利点は出てきません。

2、構成図を眺めて、文章に書く順番の見当をつけます。

3、音声入力に慣れないうちは、構成図の中に、接続語、助動詞、段落の有無などを書き込んでもよいでしょう。

4、ICレコーダーに文章を音声で入力していきます。一気に入れることもできますが、迷ったときはいったん停止して考えを整理してから続きを入れます。

5、入力が終わったら、ICレコーダーを再生しながら、文章を書いていきます。誤変換を直す必要がないので、音声入力ソフトを使うよりも速いかもしれません。


 1200字程度の文章を書くのに、構成図が10分以内、音声入力が10分以内でできます。

 勉強に忙しい中学生以上の生徒のみなさんは、ぜひこの音声入力法を試してみてください。


 なお、ICレコーダーがあると、ほかにもいろいろ利用できます。

 暗唱する文章を録音しておき何度も聴くということもできます。ふと思いついたことを録音してメモ代わりにすることもできます。

 枕元に置いておき、面白い夢を見たときに、それを忘れないように録音しておくこともできます。

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