ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 819番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
問題集読書の四行詩の書き方 as/819.html
森川林 2010/03/10 04:33 


 問題集読書のあと、四行詩で感想を書きます。

 次の文章を読んだものとして、四行詩の書き方を説明していきます。(この文章は、小学4年生の7.3週の感想文課題になっているものです)


 母屋はもうひっそり寝しずまっていた。牛小屋もしずかだった。しずかだといって、牛は眠っているかめざめているかわかったもんじゃない。牛は起きていても寝ていてもしずかなものだから。もっとも牛が眼をさましていたって、火をつけるにはいっこうさしつかえないわけだけれども。
 巳之助はマッチのかわりに、マッチがまだなかったじぶん使われていた火打ちの道具を持ってきた。家を出るとき、かまどのあたりでマッチを探したが、どうしたわけかなかなか見つからないので、手にあたったのをさいわい、火打ちの道具を持ってきたのだった。
 巳之助は火打ちで火を切りはじめた。火花は飛んだが、火口(ほくち)がしめっているのか、ちっとも燃えあがらないのであった。巳之助は、火打ちというものは、あまり便利なものではないと思った。火が出ないくせにカチカチと大きな音ばかりして、これでは寝ている人が眼をさましてしまうのである。
 「ちぇッ」と巳之助は舌打ちしていった。「マッチを持ってくりゃよかった。こげな火打ちみてえな古くせえもなア、いざというとき間にあわねえだなア。」
 そういってしまって巳之助は、ふと自分の言葉をききとがめた。
「古くせえもなア、いざというとき間にあわねえ、……古くせえもなア間にあわねえ……」
 ちょうど月が出て空が明るくなるように、巳之助の頭がこの言葉をきっかけにして明るく晴れてきた。
 巳之助は、今になって、自分のまちがっていたことがはっきりとわかった。――ランプはもはや古い道具になったのである。電灯という新しいいっそう便利な道具の世の中になったのである。それだけ世の中がひらけたのである。文明開化が進んだのである。巳之助もまた日本のお国の人間なら、日本がこれだけ進んだことを喜んでいいはずなのだ。古い自分のしょうばいがうしなわれるからとて、世の中の進むのにじゃましようとしたり、なんのうらみもない人をうらんで火をつけようとしたのは、男としてなんという見苦しいざまであったことか。世の中が進んで、古いしょうばいがいらなくなれば、男らしく、すっぱりそのしょうばいは棄(す)てて、世の中のためになる新しいしょうばいにかわろうじゃないか。
 巳之助はすぐ家へとってかえした。

(新美南吉著 「おじいさんのランプ」より)


 まず、文章を読みながら、自分で、いいと思ったところ(よくわかったところ、面白かったところ)に傍線を引きます。借りた本などの場合は、傍線を引くのではなく付箋を貼っておきます。

 読み終えたあと、傍線や付箋の箇所を参考にしながら四行詩を書きます。

【1】四行で書く

 四行詩の基準は、四行で書くことだけです。ひとつの行は「。」が来るまで書く必要はなく、文の途中で改行してかまいません。また、1行の長さは、長くても短くてもかまいませんが、20字以内にまとめる方が読みやすいでしょう。

【2】引用でも感想でもよい

 文章を読んでの四行詩は、その文章の引用でも、その文章に対する感想でも、引用と感想を組み合わせたものでもかまいません。

【3】リズミカルに

 口に出して読んでみたときに、心地よく言えるようなリズムで書きましょう。リズム感は人によって違います。自分の好きなリズムで書いてください。
 次の例にある四行詩の「マッチを・忘れた・巳之助は」という行は、「4・4・5」のリズムがあります。「自分の・古い・商売を・見た」という行は、「4・3・5・2」又は、「7・7」のリズムがあります。どのリズムがよいというのではなく、自分が口に出して感じがよいと思うリズムで書いてください。

【4】あらすじや要約を書く例

 マッチを忘れた巳之助は、
 火打ち石を使おうとして、
 使えない火打ち石の中に、
 自分の古い商売を見た。

【5】たとえを使う例

 「古くせえもなア間にあわねえ」
 月が出て空が明るくなるように、
 巳之助の頭は、
 明るく晴れてきた。

【6】「ではなく」を使う例(「ではなく」は高校生の自作名言の練習で使う書き方です)

 自分の商売を守るために
 世の中の進歩を妨げるのではなく、
 世の中の進歩を助けるために
 新しい商売にかわるのだ。

【7】押韻を使う例(同じような音の言葉を組み合わせます)

 ランプは古い道具だった。
 電灯は新しい道具だった。
 世の中の進むのをじゃまする人もいるし、
 世の中の進歩を喜ぶひともいる。

 火打ち石は古い。
 ランプも古い。
 巳之助の頭も、
 古かった。

 なぜ四行詩で書くかというと、四行で作品としてのひとつのまとまりができるからです。

 四行詩は、作文を書くときにも使えます。いい着想がわいたが文章として長く書く時間がとれないというときは、四行詩で書いておくことができます。作文を書こうとすると30分や1時間はすぐたってしまいますが、四行詩であれば数分で書き上げられます。
 そして、あとから時間のあるときに、その四行詩のテーマをもとにして長い文章を書くこともできます。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
問題集読書(33) 四行詩(13) 

記事 818番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
作文力をつけるために国語力をつけるという勉強 as/818.html
森川林 2010/03/09 08:35 



 言葉の森が小学生の作文指導を始めたころ、作文教室というものは世の中にはまだありませんでした。最初の生徒は、小学1年生が1人、小学6年生が1人の合計2人でした。

 しかし、言葉の森は、国語の問題や漢字の書き取りなどの勉強はせずに、作文の勉強だけを続けてきました。漢字の書き取りや国語の問題は、学校でも当然やっていますし、市販の問題集も豊富なので、自分ひとりでも十分にできるからです。

 ひとりでもできる国語の勉強に対して、作文は、ほかの人からの評価がないと、自分で自分の作文を評価することができません。また、ひとりで文章を書き続けるというのは、非常に継続しにくいものです。作文というのは、きわめて独学のしにくい勉強なのです。また、作文指導という分野は、方法論というものが確立されていず、どう教えたらどう上手になるかということがわかっていませんでした。

 だから、言葉の森は、長年作文指導だけを続けてきたのです。この基本路線はこれからも変わりません。ただし、作文力の土台として読む力が必要なので、読解力と表現力の土台を作るために、音読、暗唱、問題集読書などに力を入れています。

 よく、作文の勉強だけで大丈夫なのか、もっと幅広く国語全体の勉強をした方がいいのではないか、と言う人もいます。

 しかし、先に述べたように、国語の勉強は、自分ひとりでもできるものです。他の人から教えてもらう利点はあまりありません。また、国語とは、読む力をつけることが勉強の中心ですから、もともと教えてもらって力がつくという性質のものではないのです。

 一方、作文の勉強をしていると、作文の勉強がきっかけになって、国語全体の成績が上がることがあります。

 先日、中学3年生の生徒の保護者から電話がありました。高校生になると、どういう勉強になるのか教えてほしい、という質問でした。高校生の課題は、中学生の課題よりも難しくなり、それに応じて項目も難しくなるというだけで、基本的なやり方は全く変わりません。そのお母さんの話では、「作文を習っていて本当によかった」「これまで習った習い事の中でいちばんよかった」「書くことが得意になった」「本人も暗唱を毎日やっている」「これからも続けていきたい」ということでした。

 作文の学習を始めて、作文だけでなく国語全体の成績が急に上昇する子がいます。そういう子に共通するのは、もともと読む力の土台があったということです。その読む力が、作文を書く練習をすることで引き出されるようになったのです。

 作文というものは、国語力の集大成という面があるので、そういうことがよくあります。しかし、同時に、読む力がない場合、作文の勉強だけで読む力を伸ばすことはできません。同様に、漢字の書き取りが苦手な子を、作文の勉強だけで漢字を書けるようにすることはできません。読解力や漢字力は、独自の学習が必要だからです。読解力の場合は、暗唱、音読、読書、問題集読書などによって力がつきます。漢字力は、書き取りの練習をしていくしかありません。

 しかし、このような土台ができた子は、作文の勉強を始めると、国語力、作文力が急につくようになるという面があります。

 世間では、作文力は、国語力の一部のように考えられています。それは、学校で、国語の勉強は毎日のようにあるが、作文の勉強はたまにしかないからです。だから、一見、国語の勉強をしっかりやっていれば、作文の勉強は特にしなくても済むように思われがちです。

 しかし、そうではありません。作文力は、国語力の集大成であり、国語力の広い裾野の上に作文力という頂上があるのです。だから、作文力を見れば、その子の国語力がわかります。しかし、国語のテストの成績を見ても、その子の作文力はわかりません。

 中心になるのは作文力で、作文がしっかり書けるようになることが勉強の目標です。その目標を達成するために、土台としての国語力が必要になるという関係にあるのです。

 作文が得意な子は、国語も得意です。しかし、作文の勉強をしていれば自然に国語の勉強もできるようになるのではありません。逆に、作文の力をつけるために、国語の力をつける必要があります。

 その国語の力をつけるための勉強の基本は読書です。しかし、読書だけでは国語力をつけるのに時間がかかるので、言葉の森では、読書の中の国語的な面を抽出した学習として、暗唱や問題集読書に力を入れているのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文教育(134) 言葉の森の特徴(83) 
コメント11~20件
……前のコメント
総合学力クラス 森川林
子供は、暇そうにしているのがいちばんです。 年がら年中がん 6/22
記事 5107番
さまざまな勉強 森川林
勉強は、作文と読書と算数数学と歴史を中心にやることです。 6/21
記事 5106番
作文力がこれか 森川林
作文力をつけるために必要なのは読書と対話。 出力の前に入力 6/19
記事 5105番
作文を書くとき 森川林
 接続語と助動詞は、実は重要です。  中学生や高校生で、文 6/18
記事 5104番
国語は、読む力 森川林
国語の力をつけるための音読は、1冊の問題集を繰り返し読むのが 6/16
記事 5103番
国語力は、テク 森川林
国語力をテクニックで身につけようという考えそのものがあさはか 6/14
記事 5100番
本当の勉強は、 森川林
子供は、自然に成長していれば、みんな時期が来ればそれぞれにが 6/12
記事 5098番
これから大学生 森川林
MMさん、ありがとうございます。 これは、10年以上前の記 6/12
記事 820番
これから大学生 MM
先生の書かれていることは今読んでもそのまま通じます。 10 6/11
記事 820番
毎週作文を書く 森川林
作文の勉強というのは、負担の大きい勉強です。 だからこそ、 6/11
記事 5097番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習