ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 924番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
上手だが盛り上がりに欠ける作文を書く子の指導 as/924.html
森川林 2010/06/05 10:31 



 上手に書けているが、作文が盛り上がりに欠けるという子がいました。一人は小学校低学年で、もう一人は小学校高学年で、いずれも男の子です。

 二人とも学力はかなり優秀で、同じ学年の子がまず書けないような語彙を自然に使って文章を書くことができます。

 しかし、低学年の子は、運動会の話を、「次は……をして……」「次は……をして……」と長く書く作文でした。それぞれの話はそれなりに面白いのですが、読み終えた印象は、次々と出来事を羅列しているような感じです。

 こういう作文を読むと、ほとんどの大人はこう言います。「長く書いたのはえらいけど、まとまりがない」。

 次は、高学年の子です。「ぼくの友達」というようなテーマで、自分がこれまでに遊んだいろいろな友達の話を書いていました。ひとりひとりの話をおもしろおかしく書いているので、それぞれのエピソードには、表現力もユーモアも感じられますが、全体を読み終えたあとの印象はやはり、事実を並べただけで盛り上がりに欠けるという感じです。

 このように、「上手に書けていて」「国語力や他の学力もかなりあるが」「しかし、事実を次々を並べるような書き方で」「盛り上がりに欠ける」という作文を書く子をどう指導したらいいのでしょうか。


 実は、こういう子は、このままでいいのです。

 小学校のときこそ、書き方が平板だという注意を受けることがあるかもしれませんが、こういう子が中学生や高校生になると、とてもいい意見文を書くようになります。

 小学校の生活作文は、小説のような作文がよいという暗黙の前提をもとに評価されています。そのため、作文に、小説のような盛り上がりがあることが重視されるのです。

 しかし、これが、記録文や紀行文であれば、評価は自ずから違ってきます。

 一般に、男の子の作文は、データ重視の文章になることが多く、名前や数字などの事実をしっかり記録することに喜びを感じて作文を書く傾向があります。これに対して、女の子の作文は、会話やそのときの印象を書くというような体験と実感を重視した作文になる傾向があります。

 このため、小学校のころの作文の上手下手は、高校生の小論文になると逆転してくることも多いのです。


 とは言っても、小学校の段階で上手に書く方法ももちろんあります。

 第一は、小説を読む機会を増やし、小説の面白さを感じる中で、描写力をつけることです。

 第二は、自分のしたこと、特に、個性、挑戦、感動、共感の感じられる体験を作文に盛り込むようにすることです。

 第三は、両親に似た話を取材して、作文の話題を立体的にすることです。

 第四は、伝記実例など、読書の中から得た実例を入れて話題を豊かにしていくことです。


 しかし、いちばん大事なのは、小学校の段階で上手に書くことを目的にするのではなく、高校生になったときに上手に書く力をつけることを目的にすることです。だから、欠点を直そうとするよりも、その欠点と見られることの中にその子の可能性が隠れているのではないかという目で見ていく必要があるのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文の書き方(108) 

記事 923番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
言葉の森新聞6.2週号の一部訂正 as/923.html
森川林 2010/06/04 17:10 
 言葉の森新聞6月2週号の記事で、一部誤りがありましたので訂正します。<(_ _)>

▲高校生の用の「全国大学入試問題正解国語 国公立大編 2010年受験用」(5355http://tinyurl.com/2fk86en )が発売されています。
 ↓
○高校生の用の「全国大学入試問題正解国語 私立大編 2011年受験用」(5460http://tinyurl.com/283268r )が発売されています。

▲小学生用の「中学入学試験問題集 国語編 2010年度受験用」(3500円程度)は、7月ごろ発売の予定です。
 ↓
○小学生用の「中学入学試験問題集 国語編 2011年度受験用」(3500円程度)は、7月ごろ発売の予定です。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
生徒父母連絡(78) 
コメント11~20件
……前のコメント
総合学力クラス 森川林
子供は、暇そうにしているのがいちばんです。 年がら年中がん 6/22
記事 5107番
さまざまな勉強 森川林
勉強は、作文と読書と算数数学と歴史を中心にやることです。 6/21
記事 5106番
作文力がこれか 森川林
作文力をつけるために必要なのは読書と対話。 出力の前に入力 6/19
記事 5105番
作文を書くとき 森川林
 接続語と助動詞は、実は重要です。  中学生や高校生で、文 6/18
記事 5104番
国語は、読む力 森川林
国語の力をつけるための音読は、1冊の問題集を繰り返し読むのが 6/16
記事 5103番
国語力は、テク 森川林
国語力をテクニックで身につけようという考えそのものがあさはか 6/14
記事 5100番
本当の勉強は、 森川林
子供は、自然に成長していれば、みんな時期が来ればそれぞれにが 6/12
記事 5098番
これから大学生 森川林
MMさん、ありがとうございます。 これは、10年以上前の記 6/12
記事 820番
これから大学生 MM
先生の書かれていることは今読んでもそのまま通じます。 10 6/11
記事 820番
毎週作文を書く 森川林
作文の勉強というのは、負担の大きい勉強です。 だからこそ、 6/11
記事 5097番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習