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肉食獣の果たしてきた役割 as/933.html
森川林 2010/06/17 10:02 


 言葉の森の通学教室のある港南台で、ミニチュア・シュナウザーのユメ(メス1歳)という犬を飼っています。生徒が900字の暗唱ができたとき、その賞状を渡すために、ユメが賞状を運んできます。と言いたいところですが、まだあまりうまくいっていません。賞状の入れ物をそのまま別のところに持っていって、中に入っているお菓子を食べようとするからです。▼・ェ・▼/

 ユメはいたずら好きで、普段も、やんちゃな顔をしてスリッパをくわえて、「あそぼうよ」という雰囲気で人を呼びます。

 このユメを見ていて、ふと、犬のような肉食獣がいたから、生物はここまで進化してきたのではないかと思いました。もし、地球が、草食動物のウサギやシカばかりであったら、争いのない平和な星にはなりますが、生き物は今のようには進化していなかったでしょう。犬のような肉食の動物がいたからこそ、外の世界に働きかけるという生物の積極性が出てきたのです。

 手塚治虫は、「ジャングル大帝レオ」の中で、肉食をやめて平和を志向するライオンを描きました。これは手塚治虫のヒューマニズムでしたが、もしアフリカにいるライオンなどの肉食動物が最初からみんな草食であったら、アフリカの草原は、コアラのような動物ばかりで占められていたでしょう。 ▽(・o・)▽


 日本人の多くは、相手の善意を信じる国民性を持っています。しかし、世界の標準は性悪説です。そういう性悪説の人々によって人間の社会は進化してきました。

 アダム・スミスは、個人の利益が全体の利益に通じるという神の手の世界を発見しました。ドーキンスは、愛や自己犠牲の中にも、実は利己的な遺伝子の意図が働いているという説を提唱しました。これらの西欧的な世界観は、日本人には違和感を感じるものです。

 しかし、現実は、エゴイズムに基づいた性悪説が、現代の社会の根底に流れています。

 人類は、たぶんこれからもっと進化して、今の社会を克服していくでしょう。しかし、ミネルバのフクロウという認識は、現実の世界が夕暮れになってからでなければ飛び立ちません。今、大事なことは、性悪説の理論に対して性善説の理論を対置させようとすることではなく、性善説が成り立つような社会を作っていくことだと思います。


 さて、では、肉食獣や性悪説が果たしてきた役割は、どのように考えられるのでしょうか。

 肉食やエゴイズムを否定するのではなく、もちろんそのまま肯定するのでもなく、それらを歴史的な役割として評価していくことが大切です。

 生物も人間も、肉食や争いを通して進化してきました。しかし、それは、肉食や争いが生き物の本質であったり、それらが生き物の目的であったりするのではありません。より大きな目的を実現するための自分たちが向上する手段として、そのような否定的な契機が必要であったということなのです。


 このことを教育にあてはめてみると、次のようなことが言えます。人間の本質として大事なことはあるが、その本質とは往々にして異なる形で、子供の成長にとって必要なことがある、ということです。

 その代表的なものは、一つは強制であり、もう一つは無駄ではないかと思います。(つづく)

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言葉の森の教材はすべてHTML as/932.html
森川林 2010/06/17 02:02 



 ここ1、2日、ホームページの記事が滞っていました。

 7月からの新学期の教材発送をするために、2日間ほど、課題の手直しなどで時間がとれなかったためです。


 そこで、今日は、その教材印刷の話を。


 言葉の森の教材の作り方には、特徴があります。


 一つは、教材をすべてHTMLで作っていることです。これは、クラウドな環境を意識したもので、全世界どこからでも、リアルタイムで生徒の使っている教材とまったく同じものが見られるようになっています。したがって、PDFのようなリアルタイム性のないものは使っていません。

 しかし、HTMLは仕様がアバウトなので、ブラウザによって印刷画面がかなり違います。

 いちばん困るのは日本語の縦書き表示のできないブラウザがあることで、マックのサファリ、ファイアーフォックス、オペラ、グーグルクロムなどは今でもだめですが、今後も改善される見通しはありません。日本人の参加の度合いが少ないのだと思います。

 いちばんいいのは、日本人が日本語のブラウザを開発することですが、それがまだできない現在では当面、マイクロソフトのインターネットエクスプローラが基準のブラウザになります。IE8であれば、縦書き表示に対応しているので、世界中どこからでも、言葉の森の教材が印刷できます。


 もう一つの特徴は、この教材を生徒別にプリンタで出力して教材を作っていることです。生徒の学年と進度によって課題の組み合わせが微妙に違うので、人間の手作業は行わず、すべてデータベースでコントロールしています。

 1人約30ページの教材を、個人ごとにプリンタで出力してそれを製本するようにしています。全生徒の分約3万ページを京セラのプリンタでがんがん印刷します。


 今回は、3台半のプリンタで、15日の午後1時から印刷を始め、夕方の8時ごろまで印刷しました。その後、いったん休憩して、翌朝午前1時ごろから印刷再開。途中でプリンタの予備のトナーがなくなるなどのハプニングがあったために、最終的に全部の印刷が完了したのは、朝の9時ごろでした。

 3台半のプリンタが、のべ16時間フル回転なので、印刷しているところはまるで熱帯のジャングルのようでした。(エアコンを入れていなかったので^^;)

 16日の午前10時ごろから、教材の封入を開始して、ようやくその日の午後2時ごろに、ヤマトによるメール便の発送に間に合いました。

 生徒のみなさんの手元には、早ければ17日に、7月からの教材が届くと思います。

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暗唱用長文を課題の長文にも拡大(生徒父母向け記事) as/931.html
森川林 2010/06/14 09:03 



 現在、7月からの新学期の教材を作っています。7月からは、暗唱用の長文を毎週の課題の長文にも拡大します。具体的には、毎週の課題の長文に100字ごとの区切りを入れています。

 これまでのような形で暗唱用の3つの長文を選択してもいいですし、課題の長文12週分の中から選択してもかまいません。

 ただし、課題の長文は、説明文の文章が多いため、暗唱が難しくなると思います。

 そこで、暗唱のコツを再度説明します。

 暗唱は、覚えることを目的としません。繰り返し音読する結果として覚えることになるということです。


 第一のコツは、暗唱用紙を使うことです。このやり方が、いちばんわかりやすいと思います。暗唱用紙を横に1回ずつ山折りするときに縦に谷折リをしておくと、形が固定するので、回数を数えやすくなります。


 第二に読み方です。100字の暗唱は、ほぼノンストップで、句読点であまり区切らずに、早口で一息に、自分の耳に聞こえるぐらいの声を出して読みます。しかし、最初の数回はゆっくり読んでもいいので、できるだけ一文字も間違えないように読みます。最初に読み間違えると、その間違いが定着してしまうからです。


 第三は、100字と次の100字の間のつなぎです。100字の文章は一息に歌のように読めるので、途中で詰まることはありませんが、次の100字の文章に移るときの出だしが思いつきにくいのです。事実文であれば、自然にストーリーがつながりますが、説明文はストーリーにはなりません。そこで、出だしの言葉をイメージ記憶で覚えて、自分でストーリー化します。このときに、ダジャレの感覚が必要になります。


 以上のようなやり方ですっかり暗唱できるようになったら、早口ではなく普通の読み方で、イメージも使わずに読んでいくようにします。

 1日10分の暗唱で、頭脳が活性化します。頭のラジオ体操のようなつもりでやっていくといいと思います。


 よく、「数回で覚えてしまうので、そうしたら、もうそれ以上読まなくていいですか」という質問があります。

 このように、覚えることが目的のようになってしまうと、文章が難しくなって覚えにくくなったときに、逆に暗唱ができなくなってしまいます。

 この場合は、次のいずれかの方法で対応していってください。

(1)覚えられたかどうかに関わらず、決めた回数だけ読むようにする。
(2)当面は覚えたらよいとするが、文章が難しくなって覚えられなくなったときは、回数を決めた読み方に戻る。
(3)回数を少なくして決めなおす。

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構成図とツイッターの共通点 as/930.html
森川林 2010/06/13 09:46 



 構成メモを書いてから作文を書くという方法があります。しかし、構成メモを先に書かせるやり方は、作文を書くよりも時間がかかることが多く、しかも、作文を書くことにあまり役立っていません。

 構成を先に考えさせるということは、小学校低中学年では無理があり、小学校低学年では、構成メモを書かせるよりも、直接作文を書かせた方がずっと楽にいい作文を書きます。


 マインドマップを作文に生かすという方法があります。導入した当初は、マインドマップを面白がって書いていたと思います。普通に作文を書くよりも、長く書けることが多いので、それなりに効果があると思われています。

 しかし、そのうち、マインドマップを書くことに時間がかかりすぎると感じるようになってきます。時間をかけるほどに、作文にそれほどの効果が出ていないのではないかという感じになってくるのです。


 言葉の森の構成図も、子供によっては、構成図を書くよりも直接作文を書いた方がいいという子がときどきいます。それは、構成図を発想のためのツールとして使っていないからです。

 構成図を、構成メモやマインドマップのように、作文の下書きのような感覚で使うと、下書きを書くよりも直接書いた方が早いということになります。

 構成図をどのように使うかというと、例えば、作文が苦手でなかなか書けない子がいた場合、親や先生がその子とお喋りをしながら構成図の枠を埋めていきます。10分もかからずに全部埋まるので、それを子供に見せると、見違えるほど楽々と作文を書いてきます。

 こういうやり方を何度か繰り返すと、やがて自分の力で構成図を書くことができるようになります。

 これは、作文が得意な子でも同様です。構成図を、発想を広げるために使うと、書くことがこれまで以上に楽になってきます。

 そのためには、構成図には思いついたことは何を書いてもいい、作文に書くテーマからはずれたことでもいい、むしろ、脱線するぐらいのつもりで書くといい、ということをはっきりさせておくことが必要です。


 ツイッターがはやっていますが、なぜツイッターが盛んかというと、改まって文章を書くという構えたところがないので、書きやすいからというのが理由です。

 構成図も、ツイッターと同じです。作文よりも、ずっと気楽に書けるのです。しかも、ツイッターが時系列でつぶやきを展開するのに対して、構成図は視覚的、空間的な広がりを持って発想を展開していきます。


 構成図を使うと作文を書きやすくなるということを、いつか実演で説明していきたいと思っています。

●構成図の書き方

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構成図(25) 

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清書を発表展示会の形式にすることを計画中(生徒父母向け記事) as/929.html
森川林 2010/06/11 11:30 



 以下の企画は、まだはっきりした日程としては決まっていませんが、今後の大きな方向として計画中のものです。


 毎月、第4週に、小学1年生以上の生徒は、読解問題と清書を行っています。この清書は、コンクールに応募したり、テキスト化して森リンで採点するような形で使っています。

 しかし、手書きの清書は、これまであまり活用できていなかったので、今後、手書きの人は清書を講師に送ってもらい、それをサーバーに蓄積しておくようにしたいと思います。

 その際、その清書を利用して、ウェブ上で発表展示会を行い、生徒や父母どうしの交流もできるようにしていきたいと思っています。


 作文の勉強の意義は、作文力をつける、読解力をつける、国語力をつける、などですが、更に根本的な目的として、創造性を育てるというものがあります。

 創造と発見のある作文となると、大人でも難しくなりますが、自分らしい個性のある作文ということであれば、だれでも自分なりに努力することができます。

 自分らしい個性とは、自分らしい体験や実例、自分らしい表現(たとえ、自作名言など)、自分らしい感想や意見がある、ということです。


 個性や創造性は、将来、子供たちが成長したときに、最も大切になるものです。

 親や先生が、この個性や創造性という観点から作文を見ていけば、子供たちも同じような方向で作文の勉強に努力をしていきます。上手下手や、優劣という観点からではなく、その子の個性というところから作文を見ていくことが大事なのです。


 この発表展示会を、できればウェブ上でコメントなどもつけられるようなものにして、交流の場としても活用していきたいと思っています。

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毎日の付箋読書、問題集読書、四行詩の自習 as/928.html
森川林 2010/06/10 11:55 


 6月2週から、通学教室で読書指導のルールを決め直しました。

 中学生は、高校入試問題集を購入し、28ページごとの分冊にして自宅で読むようにします。この分冊を毎日4ページ読んで、1週間で四行詩を6つ書きます。

 小学5、6年生は、7月に中学入試問題集が発売されるので、それから問題集読書の分冊を作る予定です。それまでは、教室にあるものを使って毎日6ページ読むようにします。小学5、6年生は、問題集読書ではなく、普通の本を毎日10ページ以上読むということでもかまいません。読んだあと、小学5年生は四行詩を5つ、小学6年生は6つ書くようにします。

 小学校1年生から4年生までは、毎日、普通の読書を10ページ以上行い、四行詩を、小1は1つ、小2は2つ、小3は3つ、小4は4つ書くようにします。

 家で読むときには、できるだけ付箋を貼って読むようにします。そうすると、教室に来たときに、その付箋の箇所を見て、すぐに四行詩を書くことができます。もちろん、家で書いてきてもかまいませんが、読書をしている間は読書に熱中してしまうことが多いので、それを無理に中断して四行詩を書く必要はないということです。

 教室には、毎週、読みかけの本を持ってくるようにします。持ってこない場合は、作文の勉強を始める前に、教室にある本を読んで四行詩を書くようにします。

 読書指導に力を入れるのは、家で本をあまり読まない子が多いからです。小学生は、学校で読書指導があるので、本を読む機会はそれなりにあります。しかし、そのためにかえって、家では本を読まなくていいと勘違いしている子も多いのです。

 学力の高い子は、これまでほぼ例外なく読書をよくしている子でした。

 しかし、一部に学力は高いはずのに成績がぱっとしないという子もいます。それは、学力と成績は、少し違うものだからです。

 成績は勉強の量に比例するので、学力の高い子でも勉強をしない子は成績がふるわないということがあります。しかし、学力のある子は、勉強の仕組みさえ作れば、成績はすぐに(といっても数ヶ月かかりますが)上げることができます。

 読書は、毎日が原則です。読書を、何かの習い事のような感じで、週に何日か読んでいればいいと考える人もいます。しかし、読書は、食事と同じように、毎日の生活の中に習慣として位置づけていくことが大切です。

 通学教室での読書指導の仕組みが整ったら、通信教室でも読書指導をしていきたいと思います。そして、生徒どうしが自分のおすすめの本を紹介し合うような仕組みを作っていきたいと思っています。

 ときどき、どんな本を読んだらいいのかと質問を受けることがありますが、絵のスペースの方が字のスペースよりも多い、漫画、学習漫画、絵本、図鑑、雑誌のようなものでなければ、どんな本でもかまいません。もちろん、漫画や絵本なども楽しく読んでいいのですが、それらを読書とは考えないということです。

 子供の読んでいる本が、親から見てやさしすぎるように思えても、読書には、長い間読んでいるうちに量から質に転化していく面があります。やさしい本でたっぷり力をつけて、将来難しい本を読む力を育てているのだと気長に見ていくといいと思います。

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作文の目標は自分らしさ as/927.html
森川林 2010/06/09 12:14 



 前回、小学校4、5年生で上手な作文を書く子の話を書きました。

 上手に書きたいという気持ちは、だれでも自然に持っています。しかし、上手さを目標にすると、他人がどう感じるかはわからないので、努力が空回りしがちです。

 また、他人の目を意識しすぎると、作文が文字どおり「作る文」になってしまいます。

 だから、目標にするのは、上手さではなく、自分らしい実例や表現や感想を書くということです。自分にしか書けないものを書くということの発展したものが、創造姓です。書いたものに価値があるのは、そこに、新しい創造や発見があるからです。

 そう考えると、努力の方向がはっきりしてきます。上手に書くという目標では基準がはっきりしませんが、自分らしいものがどこかに一つでもあるように書くということであれば、子供も努力のしがいがあります。

 したがって、大人の評価の仕方も、上手下手という感覚的なものではなく、「ここがいいね」「自分らしいね」「おもしろいね」というような言葉にしていく必要があります。

 確かに、受験の作文で上手に書く技術というものもあります。しかし、大事なのは、他人から評価される上手さではなく、自分なりの発見や創造があるということなのです。

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上手に書ける子が、更に上手に書くことを目指すときの指導 as/926.html
森川林 2010/06/08 13:08 



 前回、よく書けているが盛り上がりのない作文を書く男の子の話を書きました。

 今回は逆に、上手に書けている子が、更に上手に書きたいという話です。今度は、小学校中学年と高学年の二人の女の子です。

 二人とも、作文を書くことに慣れていて自信もあり、ある程度上手に書けます。特に、身近な生活作文の場合は、リズミカルでそつなく書けます。書き出しの工夫も、たとえも、家族に取材した話も、結びの感想も、普通によく書けていて、直したり注意したりするところはありません。

 ところが、その二人の子と、それぞれのお母さんの要望は、もっと上手に書くにはどうしたらよいか、というものでした。

 上手な子が、もっと上手に書くためには、質的な変化が必要になります。例えば、書き出しの工夫も、通り一遍の会話の書き出しではなく、そのときの情景描写から書き出すような工夫も必要になってきます。すると、そこで語彙力の問題が出てきます。語彙力は、読書の蓄積の中で少しずつ育つものなので、形だけうまく書くというわけにはいきません。

 また、実例の部分も、だれにでもあるような自分の体験だけでなく、個性、挑戦、共感、感動のある体験を書くことが必要になります。しかし、そうアドバイスをしても、努力によってすぐに個性的な体験が書けるようになるわけではありません。

 また、家族に取材する場合でも、一般に、お母さんに取材するよりもお父さんに取材した方が話題が広がることが多いものですが、毎回お父さんに作文に関連した似た例を取材するのは、そういう家庭生活のスタイルがなければなかなかできません。

 また、作文に書く感想の部分も、深い感想を書けるようになるためには、両親や祖父母など自分よりも年長の人と日常的に対話をする機会が必要になります。

 こう考えると、上手に書くというのは、テクニックですぐにできることではなく、実例や表現の足腰を鍛えるための地道な練習が必要になってくることがわかります。

 ですから、小学校4、5年生で、もっと上手に書きたいという心構えは大切ですが、親がそれを子供に要求し、子供もそれを目標にしてしまうと、逆に成果が見えないために行き詰まってしまうことがあるのです。

 例えば、上手に書くことを、森リンの点数を上げることと考えると、その困難さがわかると思います。いったん書いて点数の出た作文を、赤ペンによる添削で上手に直して点数を上げるということはほとんどできません。

 では、既に上手に書ける子は、何を目標にして勉強をしていったらよいのでしょうか。

 第一は、毎週の課題の項目と字数ができるように書いていくことです。第二は、その項目をできるだけ自分らしく書こうと心がけることです。そして、第三は、毎日の暗唱や読書によって読む力をつけていくことです。

 小学校中高学年で上手に書けるようになることを目標にするのではなく、高校生になったときに上手に書けるようになるために、今は地道に練習を積み重ねていく時期なのです。

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