ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1092番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/20
読解力の本質とは何か(その4) as/1092.html
森川林 2010/12/06 10:36 



 言葉の豊富さと、比喩の足の豊富さは、どのようにして育つのでしょうか。

 言葉自体は、主に、その言葉を経験することによって身につきます。例えば、ヘレン・ケラーが水を触って「水」という言葉を経験したような学び方です。

 しかし、経験と直接には結びつかない抽象的な言葉や、言葉の持つ比喩の足は、主にその言葉が含まれる文章によって身につきます。例えば、「水清ければ魚棲まず」「水は方円の器に従う」「君子の交わりは水の如し」などというときの水は、水そのものの経験よりも主に文章の中で与えられた意味によって把握される水です。

 ある言葉から連想する比喩の足は、その言葉を単に実生活で経験するだけではなく、その言葉を文章の中で経験することによって身につきます。ところが、その文章の中での経験の仕方は、単に一回読んだり聞いたりして理解するだけでは十分ではなく、同じ言葉を同じ状況で同じように繰り返し読んだり聞いたりする中で育っていきます。

 したがって、幼児期の学習の中心は、親が面白い昔話などを同じように何度も繰り返し楽しく語り聞かせてあげるようなことになります。この同じ文章の語り聞かせや読み聞かせによって、子供の言葉感覚が育っていきます。この時期の言葉の感覚を絶対語感と言ってもいいと思います。

 しかし、ここで大事なことは、幼児に対する語り聞かせや読み聞かせを、テレビやCDなどの機械的なもので行わないということです。幼児がその機械を自分でつけたり消したりできるのでない限り、機械による朗読には問題があります。

 親が子供に語り聞かせをする場合、子供がその話に飽きてくれば、その飽きた感覚が親にも伝わり、親も自然に語り聞かせに飽きてきます。人間には、感情に同調できる感覚があるからです。

 ところが、機械は、子供がどう思おうとかまわずに機械的に朗読を続けます。そのために、子供は、言葉を身につけると同時に、言葉というものを無感情に受け入れるという感覚も身につけてしまいます。人間の絶対感覚を身につける幼児期は、できるだけ人間的に接することが大事なのです。

 幼児期の言語学習が語り聞かせや読み聞かせだとすると、小学校低学年のころは、読み聞かせや読書になります。子供が興味を持てるもので、その子にとって新しい語彙がある程度含まれていて、文章ができるだけ構造的になっている本を繰り返し黙読したり暗唱したりするということが言語力をつける方法となります。

 小学校高学年から中学生、高校生にかけては、抽象度の高い言葉自体を増やす必要があります。これは問題集読書の復読によって身につけることができます。

 いずれの場合も大事なことは、同じ言葉を同じ文章の中で繰り返し読んだり聞いたりするということです。(おわり)



 言葉の豊富さと、比喩の足の豊富さは、どのようにして育つのでしょうか。

 言葉自体は、主に、その言葉を経験することによって身につきます。例えば、ヘレン・ケラーが水を触って「水」という言葉を経験したような学び方です。

 しかし、経験と直接には結びつかない抽象的な言葉や、言葉の持つ比喩の足は、主にその言葉が含まれる文章によって身につきます。例えば、「水清ければ魚棲まず」「水は方円の器に従う」「君子の交わりは水の如し」などというときの水は、水そのものの経験よりも主に文章の中で与えられた意味によって把握される水です。

 ある言葉から連想する比喩の足は、その言葉を単に実生活で経験するだけではなく、その言葉を文章の中で経験することによって身につきます。ところが、その文章の中での経験の仕方は、単に一回読んだり聞いたりして理解するだけでは十分ではなく、同じ言葉を同じ状況で同じように繰り返し読んだり聞いたりする中で育っていきます。

 したがって、幼児期の学習の中心は、親が面白い昔話などを同じように何度も繰り返し楽しく語り聞かせてあげるようなことになります。この同じ文章の語り聞かせや読み聞かせによって、子供の言葉感覚が育っていきます。この時期の言葉の感覚を絶対語感と言ってもいいと思います。

 しかし、ここで大事なことは、幼児に対する語り聞かせや読み聞かせを、テレビやCDなどの機械的なもので行わないということです。幼児がその機械を自分でつけたり消したりできるのでない限り、機械による朗読には問題があります。

 親が子供に語り聞かせをする場合、子供がその話に飽きてくれば、その飽きた感覚が親にも伝わり、親も自然に語り聞かせに飽きてきます。人間には、感情に同調できる感覚があるからです。

 ところが、機械は、子供がどう思おうとかまわずに機械的に朗読を続けます。そのために、子供は、言葉を身につけると同時に、言葉というものを無感情に受け入れるという感覚も身につけてしまいます。人間の絶対感覚を身につける幼児期は、できるだけ人間的に接することが大事なのです。

 幼児期の言語学習が語り聞かせや読み聞かせだとすると、小学校低学年のころは、読み聞かせや読書になります。子供が興味を持てるもので、その子にとって新しい語彙がある程度含まれていて、文章ができるだけ構造的になっている本を繰り返し黙読したり暗唱したりするということが言語力をつける方法となります。

 小学校高学年から中学生、高校生にかけては、抽象度の高い言葉自体を増やす必要があります。これは問題集読書の復読によって身につけることができます。

 いずれの場合も大事なことは、同じ言葉を同じ文章の中で繰り返し読んだり聞いたりするということです。(おわり)


 対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

コメント欄

コメントフォーム
読解力の本質とは何か(その4) 森川林 20101206 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
らりるれ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「らりるれ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 
コメント31~40件
……前のコメント
作文力の土台は 森川林
齋藤孝さんは、「齋藤孝先生が選ぶ 高校生からの読書大全」など 2/4
言葉の森は、オ 森川林
今、小123年生対象の基礎学力クラスと、小456年生対象の総 2/4
言葉の森の作文 森川林
私は、人を批判するのは好きではありません。 大事なことは、 2/3
自習室の利用を 森川林
ごめん、ごめん。 うっかりブレークアウトルームの設定を忘れ 1/29
自習室の利用を aeka
ブレークアウトルームが表示されないです^^;確認お願いします 1/28
自習室の利用を 森川林
 自習室は、ほぼ24時間開いています。  ブレークアウトル 1/24
自習室の利用を aeka
自習室はどんどんと進化していきますね!!助かります。ありがと 1/24
塾が忙しくなる 森川林
子供たちの成長の過程で、最後に残る自信は、忙しくても続けたも 1/24
自習室が利用し aeka
ありがとうございます! 1/19
自習室が利用し 森川林
あえかわさん、ありがとうございます。 これから、みんなにも 1/19
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
未来の歴史の教 森川林
未来の歴史の教科書には、 「この時代の子供たちは、みんな、 5/18
言葉の森のYo 森川林
言葉の森のYouTubeチャンネルの登録者数が、1000人を 5/17
通学が普通、通 森川林
通学が普通、通信はおまけ、 オンラインは特殊な例外(笑)と 5/15
ブンブンドリム 森川林
 ブンブンドリムが、「31年の実績」と書いていたので、   5/15
基礎学力、総合 森川林
 勉強は、家庭学習で十分。  しかし、勉強の進捗状況をチェ 5/13
Re: 読解検 森川林
 ご質問ありがとうございます。  こういう質問ができる 5/10
男は、というか 森川林
男は、というか、自分は、あれこれ説明はしない。 聞かれれば 5/10
大事なのは理念 森川林
大事なのは理念だ。 損得や利害ではない。 遠くの星を目指 5/10
読解検定4月中 あうせれ
問3のAが×だと思いました。←「小学校低学年らしい男の子」と 5/8
マスクしない、 森川林
マスクしない、ワクチン打たない、消毒しない。 人類は、何十 5/7

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習