言葉の森新聞 編集用
印刷設定:A4縦用紙 :ブラウザの文字のサイズ:最小 ブラウザのページ設定:ヘッダーなし フッターなし 左余白25 右余白8 上下余白8
  受験作文小論文の予想問題のおさらい
  受験作文小論文、最後の決め手、自作名言(昨年の記事の再掲です)
  受験の心構え(昨年の記事の再掲です)
  漢字の音訓(スピカ/かも先生)
  「音読元年」(はつこ/そうよ先生)
 
言葉の森新聞 2006年1月3週号 通算第919号
文責 中根克明(森川林)

受験作文小論文の予想問題のおさらい
 受験で作文小論文のある人は、次のような身近テーマで何を書くかもう一度考えておきましょう。
 考え方は、これまでに書いた作文の中でよく書けた実例を使います。頭の中で、「最初にあの実例Aを書いて、次にあの実例Bを書いて、結びの意見(反対理解や一般化)はこう書いておこう」と考えます。

●身近なテーマ
「私の夢」「私の趣味」「私の宝物」「私の友達」「私の長所短所」「私の家族」「小(中・高)学校時代の思い出」「志望理由」「感動したこと」

 また、次のような時事的なテーマについてその内容をインターネットなどで調べておきましょう。

●2005年の主な時事問題
 時事問題は、いろいろな立場からの見方が可能です。
 家庭で話し合って、多様な意見を理解しておきましょう。大事なことは解答(のようなもの)を覚えることではありません。いろいろな立場からの意見をふまえて自分なりに考えてみましょう。

■中国の反日デモ
 小泉首相が、これまでの首相が避けてきた靖国神社参拝(さんぱい)を強行したために、「A級戦犯がまつられている靖国神社に参拝するということは、日本が中国侵略を反省していない証拠だ」として、中国の民衆が反日デモを行った。しかし、反日デモが暴徒化し、日本料理店を破壊するなど行き過ぎが生じたために、中国政府は反日デモを鎮静化した。このデモの背後には、中国国民の民主化要求を反日デモに向けることによってガス抜きしようとする中国政府の政治的意図があるとも言われている。

■郵政民営化
 郵便局の、郵便事業・郵便貯金・簡易保険の3事業を、国による運営から民間による運営に移行する政策。小泉首相が、国の行政改革の本丸として推進している。国鉄→JR、電電公社→NTT、専売公社→JT(日本たばこ産業株式会社)に続く改革と位置づけられている。ソ連の崩壊に見られるように、国よりも民間に移行した方が効率のよい経営ができるということで、多くの人の支持を得て、先の衆議院選挙では、民営化を訴えた自民党が圧勝した。しかし、郵政民営化の背後には、300兆円にも上る郵便貯金という国民の財産を、アメリカの国債購入に充て、アメリカの財政赤字をカバーするためのものだという批判もある。

■年金問題
 年金を受け取る高齢者の数が、年金を支払う国民の数よりも少なかった時代には、年金はうまく運用されていた。しかし、今後、高齢者の増加と少子化の進行に伴い、現在の年金システムは破綻することがほぼ確実になっている。老後の安心を国の年金制度任せにするのではなく、日本の昔からの伝統である家族の中で子が親を扶養するという仕組みを見直すことが求められている。

■ハリケーンカトリーナ
 アメリカ国内の今年のハリケーンの多発は、地球温暖化による環境の変化が遠因となったと言われている。そのうちの一つであるカトリーナがアメリカの低所得者層の多く住む地域を直撃し、堤防の決壊などにより多くの死傷者を出した。被害者の多くは、ハリケーンが到来しても、移動する手段(車・資金など)を持たない層だった。テロとの対決で支持を得たブッシュ大統領が、国内の貧富の差などを解決できていないことが明らかになった。

■愛知万博
 「環境との調和」をテーマにして愛知県で行われた「愛・地球博」が終了した。のべ入場者数は、当初の予想を上回り興行的には成功した。しかし、開催地の工事のため、自然環境が破壊されるなど、いくつかの問題を残したとも言われている。

■ライブドアとニッポン放送
 経営規模の大きいフジテレビの株式を経営規模の小さいニッポン放送が取得しているというねじれ現象が長く続いていた。これは、言わば、力のなくなった親が、自分よりもはるかに力の強くなった子供を株式の上で支配しているという構図だった。このねじれに目をつけたライブドアが、ニッポン放送の株式を取得し、フジテレビの経営権を握ることを意図し、株の買い取りを行った。しかし、ニッポン放送・フジテレビ側の反発を受けたために交渉はこじれ、最終的に、ライブドアの取得した株式をニッポン放送・フジテレビ側が高額で買い戻すことで和解した。
 株式を持つものが株式会社を支配するという世界の資本主義のルールからはずれた日本の株式会社の特殊な体質が明らかになるとともに、ネット企業の台頭が強く印象づけられた。

■韓流
 韓国の大衆文化の流行を指すために中国で生まれた言葉。NHKで放送されたドラマ「冬のソナタ」をきっかけに起こった、日本における韓国ブームを指すために使われている。隣国への関心が増すのはよいことだが、単にムード的な友好を進めるだけでは不充分である。教科書問題・靖国問題など、日本と韓国の間には、まだ解決しなければならない問題も多い。

■靖国神社参拝問題
 靖国神社は、明治維新の際に、官軍の死者をまつるために作られた。その後、日清・日露戦争で、国家に殉じた戦没者をまつる神社として発展した。太平洋戦争の戦死者もまつられたが、日本の敗戦により、戦争を開始した責任があるとされたA級戦犯もまつられているため、韓国・中国側からの反発が強い。
 日本の歴代首相は、中国・韓国などの反発を避けるため、靖国神社への公式の参拝を見送ってきた。しかし、小泉首相は首相就任前の公約を実行するとして、靖国神社への参拝を行ったため、中国や韓国との摩擦が拡大した。日本国内では、アメリカ側の一方的な裁判で戦犯とされた過程に対する不満と、国内の問題に他国が干渉することへの反発も強い。

■NHK番組改変
 天皇を戦争犯罪人とする団体が催した企画の放映で、内容に行き過ぎがあると感じたNHKが番組を一部改変した。しかし、朝日新聞が、その改変を政治家からの圧力によるものだと報道したために、大きな社会問題に発展した。真相は、事実の裏づけがないまま見込みで報道した朝日新聞の誤報だったと言われているが、この影響で、NHKの受信料不払い者が拡大した。

■テロリズム
 自分の政治的信条を、言論ではなく暴力によって認めさせようとする行為。強力な政治体制のもとで、ルールを守った言論によっては自分の意見が反映されないと感じる集団が、絶望的なテロリズムに走ることが多い。かつては、皇帝専制時代でのロシアで、現在はアメリカの支配に反発するイスラム文化圏で、また、英国の支配に反抗するアイルランド系住民の間で、また、ロシアの支配に反抗する少数民族の間で、テロリズムによる破壊が続いている。
 テロリズムが問題となるのは、まず恐怖や破壊は憎悪を再生産するだけだということである。もう一つは、科学技術の発達によって、テロリズムの破壊がますます巨大なものになっているということである。

■環境問題
 地球温暖化、オゾン層破壊、環境ホルモンの増加・大気汚染・処理できないゴミの増大・絶滅動物の増加など、地球環境の破壊はますます進んでいる。
 解決の道は、省エネルギー化・省資源化・リサイクル化・植林などの環境保護・新しいクリーンエネルギーの開発など、さまざまに考えられるが、現在の私企業の利益中心の資本主義が、根本的な解決を阻んでいる。例えば、政治的・経済的に最も大きい影響力を持つ米国が、国内からの企業の圧力により、環境保護に消極的な態度を取っていることなどがその典型的な例である。

■プロ野球
 プロサッカーの人気の上昇に比べて、プロ野球の人気の凋落は激しい。これは、プロ野球界が、これまでの繁栄に甘んじ、新しい改革を怠ってきたからである。経営優先の立場から、チームの合併を決めた近鉄とオリックスは、野球ファンと選手からの猛烈な反発を受けた。この中で、新たに球団経営にネット産業が名乗りを上げ、ライブドア、楽天の競争の結果、楽天が東北楽天ゴールデンイーグルスを設立した。
 ただし、プロ野球は経営的には黒字化が難しいと言われており、これまでプロ野球の主なオーナーだったダイエー・阪急・西部などが産業の衰退とともに、新たに台頭したネット産業に取って代わられるという現象が置きつつある。
受験作文小論文、最後の決め手、自作名言(昨年の記事の再掲です)
 受験で作文小論文を書く人は、結びに自作名言を入れる練習をしていきましょう。
 これは、小学生の場合は子供の力ではなかなかできないので、お父さんやお母さんが手助けをしてあげてください。教室で先生が指導してしまうと、複数の生徒が同じ表現を使う可能性が出てくるので、教室では大きな方向だけを説明します。
 自作名言とは、「○○とはAでなく、Bである。」という形の文です。Aの部分は世間の常識、Bの部分は逆説の真理という位置づけになります。
 例えば、「私の家族」という題名の作文でしたら、主題となる家族という言葉について、「家族とは、子供たちを社会の荒波から守る場所ではなく、子供たちがその中で社会の荒波に備えて練習をする場である。」というような名言が作れます。
 「戦争」という題名でしたら、「戦争は、問題を解決する手段ではなく、問題の解決を遅らせる原因になっている。」というような自作名言が作れます。
 「自然」でしたら、「自然とは、保護するものではなく、人間がその中で暮らす家なのである。」というような自作名言が作れます。
 こういう自作名言を、これまでに書いた作文のそれぞれについて、結びの5行に入れられるようにしておきましょう。その名言を全部覚え、1.3週の言葉の森新聞で説明した二つの体験実例をいつでも書けるようにして、試験に臨みましょう。
 これまでの経験では、作文の結びの5行に名言が一つ入ると、印象点が2割近くアップします。ボーダーラインに並んだ場合は、名言の有無が決定的な役割を果たします。
 作った自作名言が効果的なものかどうかわかりにくいという場合は、教室までお電話でご相談ください。(0120-22-3987午前9:00〜午後8:00)
受験の心構え(昨年の記事の再掲です)
(1)これまでの作文をファイルしておきましょう。
(2)上手に書けていると思ったところに赤ペンで線を引いておきましょう。
(3)線を引いたところを何度も繰り返し読んで、覚えましょう。
(4)これまでに書いた作文の中で、自分らしい体験実例が書かれているところを二つ選び、その実例をいつでも書けるようにしておきましょう。
(5)試験の始まる直前まで、作文のファイルを読みましょう。
(6)課題が出されたら、頭の中にあるこれまでのいい実例、いい表現であてはまりそうなものを思い出して、問題用紙の横などにメモしましょう。
(7)全体の構成は、第一段落「説明と意見」、第二段落「理由・方法・実例」、第三段落「理由2・方法2・実例2」、第四段落「第一段落と同じ意見」という形を基本にしましょう。それぞれの段落の長さは150字ぐらいが目安です。
(8)構成メモを考えたら、字数配分で8割ぐらいまでのところは、できるだけ速く書き、最後の2割はじっくり書くようにしましょう。
(9)結びの第四段落には、できるだけ「確かに……」という言葉で反対意見に対する理解を入れましょう。
(10)書き出しと結びの意見は必ず対応させましょう。
(11)課題文の中にあるキーワードは、できるだけ結びの5行の中に入れましょう。
(12)習った漢字は全部使いましょう。書こうとする漢字に自信がないときは、別の表現の仕方を考えましょう。
漢字の音訓(スピカ/かも先生)
今回は、「かなづかい」「送りがな」に続いて、やさしい国語シリーズ第3弾です。(笑)
 「漢字」について何回かに分けてお話ししようと思うのですが、まずは「漢字の音訓」についてです。

 漢字の読み方には、音読み(おんよみ)と訓読み(くんよみ)とがあります。

◎音読み……中国から伝えられた発音をもとにした読み方
◎訓読み……漢字の意味と同じ意味を持っている日本の言葉をあてはめて読んだ読み方

例)山: 音・サン 訓・やま  川: 音・セン 訓・かわ  木: 音・モク 訓・ソウ

 このくらいなら「なんだ簡単」と思うでしょうね。^.^

 二つの漢字が組み合わさって出来た熟語(じゅくご)の読み方は、どうでしょう。これには4つの種類があります。

1、音読み(音・音読み)……健康・人間・読書・栄養
2、訓読み(訓・訓読み)……指輪・手紙・野原・青空
3、重箱(じゅうばこ)読み(音・訓読み)……台所・新型・役目
4、湯桶(ゆとう)読み(訓・音読み)……場所・合図・雨具

 例に挙げた熟語については大丈夫かな。
 多くの場合、音読みは、発音を聞いただけでは意味がはっきりしません。これに対して、訓読みは、発音を聞くとたいてい意味がわかります。もともと日本語ですから。送りがながつくのは、もちろん訓読みですね。
 ただ、発音を聞いただけでは、音読みか訓読みかよくわからないものもあります。まちがえやすいものには、次のような漢字があります。

<訓読みとまちがえやすい音読み>
 愛(アイ)・胃(イ)・絵(エ)・駅(エキ)・王(オウ)・気(キ)・客(キャク)・詩(シ)・席(セキ)・線(セン)・茶(チャ)・肉(ニク)・熱(ネツ)・服(フク)など

<音読みとまちがえやすい訓読み>
 相(あい)・市(いち)・貝(かい)・黄(き)・粉(こ)・路(じ)・巣(す)・荷(に)・音(ね)・野(の)・場(ば)・間(ま)・屋(や)・家(や)・世(よ)・夜(よ)など

 では問題です。(こればっかり^^;)
次の熟語の読みを、音読みの部分はカタカナで、訓読みの部分はひらがなで書きましょう。
(1)駅前 (2)番組 (3)肉屋 (4)役場 (5)合図 (6)陸地

答えは、(1)エキまえ、(2)バンぐみ、(3)ニクや、(4)ヤクば、(5)あいズ(6)リクチ、です。できたかな?
「音読元年」(はつこ/そうよ先生)
 「脳」が流行っていますね。本屋さんにいくと「脳」とつくタイトルが目につきませんか?『自分の脳を自分で育てる』『脳力UP!』などなど。先日、子供が通う小学校で講演会がありました。川島隆太先生の講演会、そうです、これら脳ブームの権威ともいえる先生です。本物見たさの野次馬根性でいってきました。
 講演会の内容は、
「脳の中の前頭前野を鍛えましょう。鍛えるためには読み、書き、計算が大切です。」
と、著書で繰り返されているものでしたが、「言葉の森」に入会している保護者の方と共有したい知識を得たので、ひとつだけお知らせしておきます。
 「子供の脳はどんなときに活発に働いているか?」
調べてみると、親と一緒に調理をしたり、親に学校での出来事を話しているときなど、親と関わりをもつときなのだそうです。親子にコミュニケーションが生まれるとき、子供の脳は活発になる。コミュニケーションの重要性を子供の脳を育てるという点から説いておられました。
 みなさんは、子供が長文音読をしているときは、どうされていますか?
「読みなさい。」
と言って長文集を子供に手渡し、子供が読み始めると安心して家事を続ける、という具合でしょうか?それとも家事をストップして、耳を傾けるほうでしょうか?

 川島先生は脳を鍛えるための音読では、「家事の手を止めてきちんと聞くように」と、注文をされました。親は、
「ああ、また同じものよんでるな。」
と家事をしながら子供の音読を聞き流さないように、と注意されました。子供の声に耳を澄まして、きちんと向き合って聞いてあげる。音読をとおして親子でコミュニケーションを図るように、ということでした。
「たった5分です!」

 来月から長文を読んでいるかのチェックを行います。「言葉の森」での長文音読の励行は、国語力をあげることにありますが、それが脳のトレーニングにもなるなら言うことありませんね。そしてこの音読トレーニングをきちんと親が支えてあげると、より効果があがるというら試さない手はありませんね。

 読ませっぱなしにせずに、是非家事の手をとめて聞いてあげてください。長文音読は親子の共同作業です。そして読んだときには思い切りほめてあげましょう。
 さあ、2006年は音読元年ですよ!
 
ホーム 言葉の森新聞