言葉の森新聞
2006年8月1週号 通算第945号
文責 中根克明(森川林) |
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■読書感想文の書き方 |
読書感想文の書き方は8.2週の言葉の森新聞に掲載します。 http://www.mori7.com/kansou.php |
■8月12日(土)〜18日(金)は休み宿題 |
予定表に書いてあるとおり、8月12日(土)〜18日(金)は休み宿題になります。 先生からの電話はありませんが、自宅でその週の課題を書いて作文を提出してください。 ほかの日に教室に来るか教室に電話をして、その週の説明を聞いてから書くこともできます。 |
■休み宿題の日は、解説集を参考に |
休み宿題のときに、電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、課題フォルダの「解説集」かホームページの「ヒントの池」を参考にしてください。 |
■夏休み中は、作文の返却が遅れることがあります |
夏休み中は、教室が休みになる週と担当の先生が休みをとる週があるため、作文の返却が一時的に遅れる場合があります。ご了承ください。 |
■作文をなかなか書き出せない子の指導 |
作文というものは、きわめてメンタルな勉強なので、心理的なブレーキがあるために書き出せないという子がときどきいます。 いちばん多いのが、せっかく自分がいいと思って書いた作文を批判されて傷ついたという例です。 小学校低中学年の子供は、長く書くことがいいことだと思っているので、先生に褒めてもらうために無理をして長く書くことがあります。 ところが、先生がそういう子供の心理を知らずに、いい批評をしてあげるのつもりで、「長く書くよりも中心を決めて書くことが大事なのよ」などとアドバイスをすると、それから作文が書けなくなるということがあります。そういう些細なことが原因になって作文嫌いになる子がかなりいます。 次に多いのが、書く意欲がないときに書かせようとすることです。 例えば、学校で作文を書いて、同じ日に言葉の森の勉強でも同じ題名で作文を書くというケースでは、書く意欲がわきません。 ときどき、休んだ分を取り戻すために一日に二つの作文を書かせようとするお母さんがいます。自分で書いてみるとわかりますが、それは書く当人にとってみれば、とても苦しいことなのです。 言葉の森では、本人が「今日は二つ書きます」と言ってきても、「一つでいいよ」と言うようにしています。本人の最初の気持ちとしては二つ書くつもりでも、一つ書いたあとはもう書く意欲がなくなるのが普通です。 これに似ているのが、叱りながら書かせることです。その題名が「楽しかった思い出」などという場合、子供の心は分裂します。叱られて泣きながら「楽しかった思い出」など書けるはずがありません。ここが、英語や数学の勉強と作文の勉強が違うところです。 書く前にたくさん喋ると書けなくなるということもよくあります。書く意欲というものは、一種の圧力をかけないと出てきません。子供の書く内容を引き出そうとしていろいろなことを聞きすぎると、子供は喋って伝えたことに満足して、逆に作文が書けなくなります。内容を引き出すのもほどほどにということです。 (これは、言葉の森のホームページの記事です) |
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■人と人との信頼(しまりす/きらら先生) |
毎日あついですね・・・。しかもこの湿気! 自分のまわりにある空気が重たいような気がします。(ほんとかな?) 少し前の話なのですが、娘の小学校で運動会がありました。運動会といえば、「組み体操」。我が家の娘はまだ出ないのですが、私は毎年これを見るのを楽しみにしています。今年は、人と人との信頼というものを考えさせられました。 演技も終盤に入り、バックミュージックも盛り上がってきます。演技の内容も次第に複雑になり、最後は「人間ピラミッド」。下の人に上の人が乗り、だんだん高くなっていきます。そして頂上に一人の子が立つ・・・。その演技を見ているだけでも感動なのですが(毎年何人かの親が泣いているのを見かけます)、私は「一番上に立つ人は下の人を100%信用しないと立つことができないなあ」と感じて心を動かされました。合わせて4カ所に作られたピラミッドを見てみると、どれも一番上まできちんと成功しています。そして、どの子もきらきらと目を輝かせているのです。少しでもこわいと感じたら、きっと立ち上がることはできないでしょう。下で顔を真っ赤にして支えている友だちを信じて、ぴんと横に手をのばして立っている姿を見たら、私まで目頭が熱くなってしまいました・・・。 今は「知っている人でもあまり信じちゃいけません」などという時代。けれど、友だちを信頼してひとつのものをつくりあげる美しさを忘れてはいけないと、改めて気づかされたのでした。 |
■読書感想文コンクール課題図書について(スピカ/かも先生) |
夏ですね! みなさんが、この学級新聞を目にするころには、夏休みに入っているでしょうか。どうぞ楽しんで、充実した休みにしてくださいね。 さて、夏休みといえば……。読書感想文!(笑)この宿題に、毎年悩(なや)まされる人も多いと思います。多くの学校で、『青少年読書感想文コンクール』というものに応募しているのではないでしょうか。今年は第52回だそうなので、ものすごい歴史ですね。 このコンクールに応募するかしないか、あるいは、それがいいか悪いかなどということを言いたいのではありません。というか、私がここで何を言っても、みなさんの宿題の負担(ふたん)が減るわけではありません。(笑)しかし、私も、今年の課題図書は何かなぁ、というくらいの興味はあります。やはり、いい本が多いと思うので。と、いうわけで、今回は、『第52回青少年読書感想文コンクール』の課題図書(の一部)について、独断(どくだん)と偏見(へんけん)の感想を。 小学校低学年の部は、「どんなかんじかなあ」「ビーズのてんとうむし」「とくべつないちにち」「あかちゃんてね」だそうです。 実はこの学級新聞を書くために、書店で見てみました。(読むというよりは見るというのがふさわしい感じでした)どれも、いい本だと思います。ただ、1年生はともかく、2年生でこれらの本はどうでしょう。きっと、言葉の森で勉強しているみなさんには、物足りないのではないでしょうか。でもまあ、すぐに読めるので、読んでみるのはいいと思います。ちなみに、私が一番好きだったのは「とくべつないちにち」でした。単なる好みです。^^; 中学年の部は、「わたしたちの帽子」「ダニエルのふしぎな絵」「ロボママ」「イシガメの里」だそうです。「わたしたちの帽子」は、好きです。おすすめです。特に、やはり女の子が気に入りそうかな、と思います。「ダニエルのふしぎな絵」は、見た目よりむずかしい本かもしれません。私は、親としてハッとさせられるところがあり、とても感動しました。「ロボママ」も、楽しく読める現代的な本です。2年生くらいから読めるかな。「イシガメの里」は、写真がすばらしいです。興味のある人には宝物にしたいような本でしょう。興味のない人も、こういう機会に手にとってみるといいのでしょうね。 高学年の部は、「紅玉」「うそつき大ちゃん」「こんにちはアグネス先生:アラスカの小さな学校で」「ライト兄弟はなぜ飛べたのか:紙飛行機で知る成功のひみつ」です。これは、はっきり言って不満です。いえ、どれもいい本だと思いますよ。でも、私がみなさんにすすめるとしたら、どれも、「4年生くらいの人にピッタリ」と言うでしょう。高学年の課題図書については、実は毎年そう思っています。(高学年で読んで悪いということはないのですよ。より深く理解するためには、やはり少しでも成長してからの方が、ということももちろんあります)5・6年のみなさんは、「自由読書」のほうがいいかもしれませんね。(笑) 中学校の部。「空色の地図」「少年は戦場へ旅立った」「走れ!やすほ にっぽん縦断地雷教室」です。「少年は戦場へ旅立った」は、ごめんなさい、読んでません。(だんだん立ち読みではカバーできなくなってきた^^;)が、おそらくこれも合わせて、しつこいようですが、これこそ私に言わせれば高学年向きです。いい本だと思います。高学年のみなさんへ。読んでみてね。でも、これで応募しない方がいいかもしれない。(笑) 高等学校の部。「その日のまえに」「オリーブの海」「オシムの言葉:フィールドの向こうに人生が見える」の3冊。これは……、やはり中学生であれば読める本です。重松清さんの「その日の前に」は、中学入試問題にもなっていました。あまり小学生に背伸びをさせるのもどうかと思いますが……。「オリーブの海」は、ごめんなさい。読んでません。「オシム」はもちろん、あの新しく代表監督に就任したオシム氏です。私は実は今年になってからのにわかオシムファンですが、彼は、本当にフィロソファー(哲学者)ですね! サッカー少年のみなさんにとっては、「何を今さら」かもしれませんが、彼の言葉一つ一つが、本当に耳を傾ける価値のあるものばかりで感動しています。このコンクールの課題図書は、こんなにトレンドをもとらえているのですね。^.^ 以上、あくまでも独断と偏見なので、あんまりまじめに反論しないでね。^^; (うそです。反論でも感想でも大歓迎(かんげい)ですよ〜) |
■感じ方はいろいろ(しろくま/いのこ先生) |
毎日蒸し暑い日が続いています。30度を超えるような日はまだほとんどないのに、湿度のせいで、気温以上に暑さを感じる毎日です。みなさんは、暑さに強い方ですか? 「しろくま」というペンネームの通り、私は暑さが苦手です。できることなら、アラスカか北海道に移住したいぐらいです。寒いときには何枚も重ね着をすれば何とかなりますが、暑いときには薄着になるにも限界があります。かといって、エアコンの効いた部屋にずっといるのも体にはよくありませんね。本当に、蒸し暑い夏は辛い辛い季節です。 そのようなわけで、夏になるとだんだん元気も気力も失せてくる私ですが、そんな私とは正反対の人の話を聞きました。その人は、もう70才をとうに過ぎている女性です。おばあさんと呼ぶには失礼なほど、おしゃれで元気なかっこいい女性で、四季を問わず、午後になるとお買い物をしながら夕方まで歩いています。そのせいで、肌はいつも小麦色。(初めてお目にかかったときは、テニスの達人なのかと思いました。)私よりも、はるかに元気な方なのです。 その方に、蒸し暑いのは平気なのかと聞いてみました。すると、「湿度は気持ちいい。」という信じられないような答えが返ってきました。乾燥している冬には、すべてがパリパリとしてくるような気がするので嫌いだけれど、湿度たっぷりの日本の夏は、すべてが潤(うるお)うようで気持ちがいいのだそうです。そして、湿度たっぷりの日には、空気中の水分を感じるために庭に出るのだとか。肌に感じる湿り気を浴びるようにして、庭でしばらく過ごすと言うのです。 いやはや驚きました。蒸し暑さをうらめしく思っている私にとっては、正に驚くべき話です。この話を聞くまでは、誰もが蒸し暑さを嫌っているのだと思っていましたが、世の中にはそうでない人もいることがわかりました。この蒸し暑さの話だけではありません。みんなの顔が一人一人違うように、いろいろな感じ方があるのです。それぞれに違う意見や考え方を持っているからこそ、誰かと話をすることがおもしろいのですね。 毎週の電話指導では、テーマに沿ったいろいろな話をみなさんにしています。その中からも、自分とはちがう感じ方や意見を見つけることができるはずです。自分自身の考えをしっかり持つことはもちろん大事ですが、いろいろな人の話に耳を傾けることも大事です。 夏休みに、お父さんやお母さんの田舎に行く人もいると思います。ふだんあまり話す機会のないおじいちゃんやおばあちゃん、親戚の人たちといろいろなお話をしてみましょう。新しい世界を知る一歩になるかもしれませんよ。 |
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■花沢さん、すごいなあ〜(うるっち/かん先生) |
「ああ、明日は学校かあ……。」 そんな思いが頭をよぎる日曜日の夜。みなさんはどんなふうに過ごしていますか? 私の家では、ちびまる子ちゃんとサザエさんを見るのが定番の過ごし方になっています。さくら家も磯野家も、どちらもほのぼのとした楽しい家族でとても素敵ですよね。家族という存在のありがたさを感じさせてくれます。 私がいつも感心するのは、サザエさん一家のあの陽気さ。失敗をしても、ちょっと落ちこんでしまうようなことが起きても、そんなこともあるわと笑って立ち直る強さ。自分のことが好きだし、ダメな自分をも認めているからこその強さだと感じるのです。またそこが多くの人に愛される理由ではないでしょうか。とりわけ私がお気に入りなのが、カツオのクラスメートである花沢さん。お世辞にもかわいいとは言えないルックスなのですが、彼女のポジティブさには勇気づけられます。何よりもありのままの自分を受け入れ認めている姿に好感が持てます。自信にあふれた発言が飛び出すたびに 「花沢さん、すごいなあ〜。」 と、思わず口にしてしまうくらいなのです。あんなふうに自分を好きになれたらどんなにいいでしょう。実は私も、ひそかに花沢さんを目指しているところです。(笑) 日本の子どもたちは、概して自己肯定感が希薄なのだそうです。自己肯定感、なにやら難しい言葉ですね。つまり、僕(私)は今のままの僕(私)でいいんだ、と思う気持ちのことですね。この気持ちが希薄だということは、自分には価値がないし大切だとも思えないということ。そんな子どもたちが増えていると耳にしたことがあります。その証拠としてこんな話もあるそうですよ。ほとんどの子供たちは自分の短所はいくつでもあげることができるんですって。でも、長所は全く出てこないそう。ちょっと寂しい事実ですね。 比較的時間のある夏休みは自分と向き合うよい機会だと思います。日ごろ塾や習い事で忙しいみなさんも、少し足を止めてみましょう。みなさんにはすばらしい長所がたくさんあるのです。まるで宝探しのようにそれを探してみてもよいかもしれません。完璧な人なんていません。少しぐらいダメなところがあってもご愛嬌。長所も短所もひっくるめて自分のことが大好きだと思える人でありたいですね。 |
■くわしく書く(みのり/まこ先生) |
「もう少しくわしく書けるといいね」なんてかんたんに言うけれど、くわしく書くってむずかしい。どうすればいいのかなあ。考えてみた。 まず、順番に思い出したことを全部書くという方法。これは思い出したことが多ければ多いほど字数がかせげる。とにかくたくさん書きたいときにいいかも。これが楽しい間はどんどん思い出して書いていこう。 なんでもかんでも書くのはめんどうだ。だけど短すぎるのも困る。というちょっとぜいたくな悩みをお持ちの人は、話をしぼらないといけない。たとえば遠足の日のできごとを朝から夕方まで順番に書くのはたいへんだという場合。こういうときは「一番」を決める。なんの一番でもよい。一番はじめに思い出せること、一番おもしろかったこと、一番書きやすそうなこと、一番心に残ったこと、何でもいい。それからいきなり書く。 ところが「大きなすべり台をしたことが一番楽しかった。」で終わってしまってはまずい。しぼった話をくわしくするにはどうすればいいか。 ポイントは五感を手がかりに使うこと。五感とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚です。視覚では、すべり台がどれぐらい大きかったか、どんな形でどんな色をしていたか、友だちのようすはどんなだったか、見たことを思い出してみる。聴覚では、すべっているときの音、友だちと話したこと、さけんだことなど、耳にしたことを思い出してみる。嗅覚はにおい、味覚は味のことだね。触覚はすべったときのおしりの感じ、はだに感じた風や空気の感じを思い出してみる。どうですか? イメージがだんだんふくらんできませんか? 作文をつくっていることばは、毎日の体験から生まれてきます。頭の中で考えているだけでは生まれてこない。だからからだが体験してきたことをまずは細かく思い出す練習をしてみるといい。とはいえ、これがなかなかむずかしい。わたしはきのうのお天気や服装も思い出せないなんてことはしょっちゅうです……。ここは一つ、探偵にでもなった気分で記憶のなぞをといてみてはいかがでしょうか。 |