言葉の森新聞
2007年6月2週号 通算第986号
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森新聞 |
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■夏休み中の授業について |
夏休みは帰省したり塾の夏期講習に行ったりするために、通常の時間に授業を受けられない場合も多いと思います。その場合は次のようにしてください。 (1)通常の電話指導を受けられない分を、他の曜日や時間に振り替えて受講できます。平日午前9時〜午後7時50分、土曜午前9時〜午前11時50分の間に、直接教室にお電話ください。希望の週の課題の説明をします。事前の予約などは必要ありません。 電話0120−22−3987(045−830−1177) (2)山のたよりの送付先や電話の宛先を、自宅以外にすることができます。帰省先や滞在先などで授業を受けることを希望される場合はご連絡ください。ただし曜日や時間を変更する場合は、先生から生徒にはお電話しませんので、生徒から直接教室にお電話をして説明を聞くようにしてください。 (3)8月のみ休会されるという場合でも受講料の返金はしませんので、できるだけほかの曜日や時間に振り替えて授業を受けてくださるようお願いします。ただし、(A)海外にホームステイで出かける場合、(B)病気治療のため入院する場合など、電話連絡のとれない状況での1ヶ月以上の休会は受講料の返金をしますのでご相談ください。 なお、8月13日(月)より8月18日(土)までは、振替などの電話の受付もお休みとなりますのでご了承ください。 |
■ハワイの教室から |
言葉の森の講師のあお先生が、ハワイで作文教室を開いています。 ハワイの生徒たちは、日本語も英語も両方勉強しなければならないので、大変だそうです。でも、みんながんばって楽しく作文を書いています。 ハワイに出かける人は、寄ってみてもいいかもしれませんね。 |
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■多読と精読 |
言語でものを考えることができるのは、人間の特徴です。人間以外の生物も、ものを考えることがありますが、それは言語を通してではなくもっと感覚的な方法で行われています。 言語で考えることができるというのが、人間の創造力の源泉です。 したがって、創造的に生きるためには、幅広い豊かな言語とものごとを深くとらえることのできる言語を持っている必要があります。想像力を三角形の面積のようなものと考えると、言語の幅の広さが底辺で、とらえかたの深さが三角形の高さです。 この幅の広さを身につけるものが多読で、とらえ方の深さを身につけるものが精読です。精読とは、一つのものをゆっくり読むことではなく、同じものを何度もくりかえし読むことです。ですから、精読というよりも復読と言った方がいいかもしれません。 しかし、現代の社会では、多読に比べて精読(復読)の重要さはあまり知られていないようです。言葉の森では、長文音読という形で、この精読を子供たちの勉強の中に取り入れていきたいと思っています。 |
■自作名言の公式(うさぎ/きら先生) |
♪卯の花の匂う垣根に ホトトギスはやも来鳴きて、忍び音もらす 夏は来ぬ 五月の初めといえばこんな季節でしょうか。私の家はちょっとした丘陵地にあるため、朝は「ホーホケキョ」で目覚めることができます。たしか三月になったばかりの頃から、三通りほどの「さえずり」を確認しています。見事に「ホーホケキョ」と鳴くことができる名人鳥くん、「ホーホケッ」の期待の新人鳥くん、「ケキョケキョ」のまだまだ修行鳥くん、そんなメンバーです。 万葉の時代から、卯の花(ウツギ)とホトトギスはひとつの季節、歌のなかに読まれてきたようです。最近の日本の気候は、どこかどげとげしくて人をはねつける様な気がしていましたが、まだまだ風流は残っているのですね。 「鳥は木に隠れるのではなくて、自然に隠れるものだ。」 これは小学校6年生の生徒さんが、4月2週の課題作文で書いてくれた一文です。街の公園には緑がいっぱいなのに、ホトトギスが鳴かないと気がついたそうです。山の鳥は、ここには来ていないのだと思ったとき、すなおに思ったことを文にしたものでしょう。しかし、名言だと思いませんか? 私は感動しました。自然とはどのようなものか、感覚として気づかせてくれます。そして、この一文が深みのある言葉になるのには、もうひとつ理由があります。そのかたちです。 「○○とは△△ではなく、□□なものである。」 これは「名言」をつくる公式のようなものです。たとえば、名言集にもある 「家とは、外から見るためのものではなく、中で住むためのものである。」 のようなものです。このとき、○○には、話題にしていることのキーワードを入れます。△△には、世間一般にふつうに考えられているようなことを入れます。そうして□□には、自分なりにひねりをきかせた意見を入れてみます。すると、名言ができるというわけです。じつは、これは高校生のみなさんの課題の項目に「自作名言」として登場しています。この春からワタスゲの級に進んだ人たちは、果敢に挑戦中です。みごとな名言がぞくぞく誕生しています。 この「自作名言」がすらすらできるようになるための準備として、「たとえの表現」があり、さらに「ことわざの引用」「名言の引用」があります。いきなり最終目標にジャンプしたのでは、文章の中味がついていけません。ホップ ステップ ジャンプで、すばらしい小論文のくくりができるように進んでいくのです。 ですから、小学生のみなさんは作文を書くときに、ひとつでも「まるで・・・のような」を見つけていきましょう。最初はむずかしいと感じるかもしれません。そんなときは、お父さんお母さんとできごとを思い出すときに、「まるで」をつかうゲームのようなことをしてみるのもいいと思います。たとえること、言い換えをする力が、豊かな文章の底流になっているように思います。 いま、高校生に進級された生徒さんも、小学校の頃の作文があったなあと思い返すにつけても、徐々に形成されていく表現力のあることを実感しています。今の課題にていねいに取り組んで、ひとつひとつ積み上げていきましょう。 きら |
■会話の大切さ(かな/やす先生) |
今月の学級新聞は、お父さんお母さん向けに書いてみました。ゴールデンウイーク、みなさんいかがお過ごしでしたか? 私は甥に招待されて、灘中学校の文化祭に行って来ました。アカデミックな研究発表、荘重なクラシック演奏会もあれば、女装やコスプレ、バンドやダンスなど楽しい出し物も目白押し。自由な校風を肌で感じた一日でした。 その日、ひとつ気がついたことがあります。それは、灘校生の接客のうまさでした。全員が全員というわけではないのですが、大人としっかり会話ができる子が多いんです。ふつう思春期の男の子にとって、中年のおばさんなんていうものは面倒くさい存在です。ましてや、つまらない質問などされたら、「うざい」の一言につきるでしょう。しかし彼らは、丁寧に、にこやかに、臨機応変に説明してくれました。そのボキャブラリーの豊富さ、正確な敬語の使い方もさることながら、いやな顔ひとつ見せずに愛想良く接する姿に感心しました。IQも高いのでしょうが、精神年齢も高い。そのへんの新入社員より、ずっと大人の態度に見えました。 この「精神年齢の高さ」が彼らを難関校の頂点に導いたのだな、と思いました。学力、特に国語の能力は精神年齢が左右すると言われています。漢字や語彙の問題ならともかく、心情やテーマを読みとる能力、物を考えそれを文章にする能力は、まるきり「お子さま」では難しいのです。ですから、国語の成績をあげるのは大変とよく言われているのですね。しかし大変ではありますが、方法がないわけではありません。言葉の森でやっているような、「読んでは書き、読んでは書き」を気長に続けること。そして、もうひとつ、ご家庭だけしかできない大切なことがあるように思います。 それは、「子供としっかり会話すること」です。精神年齢をあげるためには、これはかなり有効な手段です。話題のニュース、映画や本、自然体験。そう言った題材を親子で楽しみ、親子で話しあう。 どうせ子供だから、と手を抜かず、きっちり向き合ってあげる。そんなことが大切なように思います。もちろん、相手は小中学生ですから「きみは、相対性理論についてどう思うかね?」なんて会話は無理ですよ(笑)でも、「なんで、給食費を払わない人がふえてるんだろうね」とか、「あの大臣は、ほんとうに500万円水を飲んでたと思う?」くらいの疑問は投げかけてあげていいと思います。最初は、「さあ」とか「知らない」という答えしか返ってこないかもしれません。でもそういう時は、「もっと真面目に考えなさいよ!」などと怒らず、親自身の考えを述べて聞かせればいいのです。そのうちに慣れて、会話のキャッチボールがきちんとできるようになれば、作文は必ず上手になりますし、国語全体の成績もアップすることでしょう。読書、作文、そして会話。この三本柱で、子どもさんを少しづつ大人にしていきましょう。(えらそうなことを言っておりますが、わたしも子育てがんばります) |
■メール活用法(ふじのみや/ふじ先生) |
みなさんはメールを使っていますか? パソコンで、携帯で。さまざまな場面で利用されるメール。私も最近は、電話をすることよりメールですませることのほうが多くなりました。電話のように、相手の状況を考えなくてもよい点が便利ですね。ただ、文字や絵文字だけで意思を伝えるのですから、誤解がないように、言葉を選ぶ必要があります。見直さずに送ったメールで、気まずい思いをしたことのある人、いないかな〜? さて、メールを利用することには、7つのご利益があるそうです。 ◆1 「時間」を生み出す ◆2 「友人」と出会う ◆3 「家族」の絆が深まる ◆4 「ライフワーク」が見つかる ◆5 「信条」が深まる ◆6 「お金」が得られる ◆7 「健康」を保つ まだ関係のない項目もありますね。でも、ちょっと意識しておくと、役に立ちそうです。 ◆1 「時間」を生み出す 日々の連絡や報告は、メールを使っていつでもどこでもできる。さらに、知り合った多くの人に、一度にお礼の挨拶を送ることもできます。 ◆2 「友人」と出会う メールなんて文字だけのつながり? ではありません。見た目や年齢による印象に左右されないメールなら、口下手な人でも、ごく自然に打ち解けて、仲良くなることもできるのです。 ◆3 「家族」の絆が深まる いつもいっしょにいると、それに慣れてしまったり、事情を配慮しすぎて、深く話し合うことは意外に難しいのですが、メールならひとことだけでも、不器用な言葉であっても、不思議にうれしいものです。 ※ちなみに、親しさが増せば増すほど、メールは短くなると思いませんか? ◆4 「ライフワーク」が見つかる これは、まだ先の話ですね。でも、相手に対する遠慮抜きで、ほんとうに自分が思っていることを伝えることができます。それを読んだ人が、立場の違いを乗り越えて、本音で共感してくれたら、自分がこれからどのように社会に役立っていけるかのヒントとなります。 ◆5 「信条」が深まる 現代は、情報の量と質が力の差となる時代だと言われています。たくさんの情報を持っていればいるほど、トクをするのですね。でも、「情報は出せば出すほど返ってくる」のです。自分が持つ知恵や情報を惜しみなく発信することで、いつか思いがけず助けが得られる。Give&Give&Givenなのだといいます。さらに、同じ信条の人と心をひとつに活動する楽しさがその先に待っているのです。 ◆6 「お金」が得られる これは、さらに先の話ですね。よい子のみなさんは、お金よりも友達や仲間との、よいつながり方を考えながらメールを利用しましょうね。 ◆7 「健康」を保つ メールは使い方を誤ると、メール漬けになって不健康になる可能性があります。即、返事をしないと相手に悪いなど、強迫観念にかられて、四六時中、メールをチェック。うまくつながらない場合は、かえって孤独感に苛まれてしまいます。 しかし、工夫すれば、時間に余裕が生まれます。そのためには、一日の中でメールに触れない時間を作ること。休日の自宅では使いすぎないようにすること。どこにでも持っていかないこと。など、自分で自分に歯止めをかけることも大切です。これができるようになると、時間と距離をコントロールでき、健康を保つことができます。 どうでしょう。メールって、奥が深いでしょう! 本を読めるようになったころに、すでに「当たり前のもの」として、メールやデジタル機器に触れてきたみなさん。これからずっと、それらと親しみながら生活をしていくでしょう。機械の使い方や、友達とのメール交換に夢中になる前に、この便利な道具とどうつきあっていくといいのか考えておくと、長い目で見て役立つことと思います。 引用・参考/『メール道』 久米信行 NTT出版 |