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  今週は8月2週号と3週号を一緒にお送りします
  【重要】8月11日(月)〜16日(土)は休み宿題(再掲)
  休み宿題の日は、授業の渚・解説集を参考に(再掲)
  振替授業について(再掲)
  夏休み中は、作文の返却が遅れることがあります(再掲)
  自然の英知
  それでもやっぱり大事な基本(きりこ/こに先生)
  食いしん坊バンザイ! (なら/なら先生)
  思い出の作り方(パタポン/うちわ先生)
 
言葉の森新聞 2008年8月2週号 通算第1042号

https://www.mori7.com/mori/

森新聞
今週は8月2週号と3週号を一緒にお送りします
 8月2週と8月3週は、言葉の森新聞をまとめてお送りします。
【重要】8月11日(月)〜16日(土)は休み宿題(再掲)
 予定表に書いてあるとおり、8月11日(月)〜16日(土)は休み宿題になります。
 先生からの電話はありませんが、自宅でその週の課題を書いて作文を提出してください。
 ほかの日に教室に電話をして、その週の説明を聞いてから書くこともできます。
休み宿題の日は、授業の渚・解説集を参考に(再掲)
 休み宿題のときに、電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/index.php
 「ヒントの池」 http://www.mori7.com/mine/ike.php
振替授業について(再掲)
 振替授業の受付時間は下記の通りです。
 (月〜金) 9時〜19時50分 
 (土)   9時〜11時50分
 振替授業の予約はできません。作文が書けるときに直接教室にお電話ください。なお、夏休み中は、混みあうことがあるため、20分くらいお待たせすることがあります。
 8月13日(月)〜18日(土)は、教室が夏休みのため、振替授業もありません。
夏休み中は、作文の返却が遅れることがあります(再掲)
 夏休み中は、教室が休みになる週と担当の先生が休みをとる週があるため、作文の返却が一時的に遅れる場合があります。ご了承ください。
自然の英知
 「葉隠」という本に出てくる話です(ちなみに、この本を岩波文庫で読もうとすると、あまりにも読みにくいので、ほとんどの人は途中で挫折します。角川文庫の現代語訳が読みやすかったのですが、絶版なので、アマゾンの古本でないと手に入りません)。
 ある兵法では、免許皆伝のときに、それまでに学んだことをすべて捨てさせるそうです。学ぶ途中の過程は、技術的なアドバイスや理論的な説明などがたくさんあったはずですが、本物になるためには、それらの人工的な獲得物をいったん全部捨てなければならないというのです。
 これは、名人になる道には、すべて共通していることのように思います。講演などでも、プロになると、簡単なメモだけを用意して、あとは聴衆の反応を見ながら円転滑脱、自由に話を進めるようです。インタビューの秘訣も同じです。聞きたいことをしっかりメモにして、一つずつ質問していったのでは、生きたインタビューはできません。その場の丁々発止のやりとりの中で、思いもよらなかった真実が取材できるのだそうです。
 
 二宮尊徳は、薪(たきぎ)を背負って本を読んでいる像で有名ですが、その尊徳が後年、「音もなく、香もなく常に、天地(あめつち)は、書かざる経を、繰り返しつつ」という歌を詠んでいます。主人の目を盗んでまで書物を読んで学ぼうとした尊徳が、年をとってから、大事なのは書物ではなく天地の自然から学ぶことだと言っているのです。

 ここから、ふと、自然の英知ということを考えました。人工的な努力というものは、確かに大切です。しかし、それらは土台を作るために大切なのであって、ある段階から上に行くためには、その人工的、つまり人為的なものから離れる必要があります。世の中の仕組みは、人為的なものから離れたときに初めて、それまで隠れていた自然の大いなる英知が姿を現すということになっているのです。

 さて、人工的な努力から、自然の英知を生かすということを、教育の場に当てはめて考えてみました。
 医療の分野では、自然治癒力というものがあります。生き物は、自然の生命力を持っています。同じように、人間には生まれつき自然の学習意欲があるというのが、教育の根本的な考え方です。
 現代の社会は、テストや褒美によって、本来は嫌な勉強を無理に子供たちにさせようとしているようですが、本当の教育は、そういうものではありません。子供たちが、本来は勉強をしたがっている存在だと気づくことが教育の根本にあるべきなのです。
 その方法は、具体的には次のようなやり方になります。
 勉強を、嫌なものだが義務としてするものだと考える立場からは、次のような言い方が出てきます。「勉強しないと、○○になれないよ」「勉強したら、○○してあげるよ」。いずれも、賞や罰によって苦痛を緩和させようとする発想です。
 この人工的な勉強のさせ方に対して、自然の英知を生かした勉強のさせ方は、次のような言い方になります。「勉強することは、楽しいんだよ」「学んで成長することが自分らしい人生を送ることなんだよ」。
 子供たちは、この自然の学習力に依拠した言い方に敏感に反応する感受性を持っています。賞と罰がなければ動かないと考えて子供を見ていれば、子供はますますそういう存在になっていきます。本来学ぶ意欲を持っている存在だと考えれば、子供たちは同じようにそういう本来の姿に目覚めていきます。

 この、人工から自然へという大きな流れは、教育以外のさまざまな分野でいま起きつつあることなのです。
それでもやっぱり大事な基本(きりこ/こに先生)
 春から夏にかけて、中学入試報告会・研究会というようなイベントに積極的に参加してきました。
「どうしたら、志望校に合格できるのか。」という点に加え、「学校はどういう子供が欲しいのか。」という点に特に重点をおいて、入試問題の分析もしました。

 そこで、たどりついた結論はただ1つ。「99%の基本と1%の余裕」これが必要だということがわかりました。中学入試の問題は、この99%の基本と1%の余裕で解くことができます。確かに、最難関の学校の入試問題は、応用問題が多数出題されていますが、答えを導き出す過程に必要な力は、やはり99%が基本だと感じます。さらに、あきらめない強い精神力というものが根底に必要でしょう。

 要するに、努力することを99%楽しめる子。どんな時でも1%の余裕を持てる子。そういう子が学校は欲しいのではないかと感じたのです。

 それでは、そのための対策。

 まず、努力するということは、学習面で言うととことん繰り返すということになるかと思います。

 国語に関しては、難易度の高い文章を繰り返し音読することが基本だと言われています。このことは、言葉の森のHPに詳しく書かれていますので、再度読んでみてください。【国語力をつけるには】というコーナーがあります。同じ文章を最低4回は繰り返し読んでほしい。これは、国語だけでなく、他の教科でも言えることです。テキストを繰り返し音読する。問題集は、4回繰り返して解く。これが勉強の基本です。

 そして、1%の余裕の部分というのが、私たち大人の担う部分だと思います。余裕のある子というのは、自分自身の生に自信を持っています。自分の存在を認めてもらっているという安心感、この気持ちが余裕を持たせるのでしょう。私たち大人にできることは、認めてあげることです。
「今日も頑張ったね。」 夏休み、片目をつぶりながらでかまいません。この一言を子供たちにかけてあげてください。わたしも頑張ります。
                                   
 
食いしん坊バンザイ! (なら/なら先生)
 新聞の投書欄に「カタクチイワシが店に並ばない。どうしたものか。」という内容のものが載りました。イワシ漁は大漁期と不漁期が20年くらいの周期でやってくるそうで、今は不漁期のピークとのこと。店に並ばないし、並んでも高級魚といわれるくらいの高値がつきます。私もここしばらくずっとイワシを探して、近くのスーパーや魚屋さんをチェックしていました。なぜならば、アンチョビの塩漬けを自作しようと目論んでいたからなのです。
 アンチョビとはカタクチイワシのことです。日本では、塩漬けにして発酵させたものを指すことが多いですね。カタクチイワシの塩辛と考えるとわかりやすいと思います。パスタやゆでたジャガイモに絡めたり、ピザのトッピングにしたり、ドレッシングの味付けに使ったりします。アンチョビという名前は知らなくても、家やお店で知らぬうちに食べていたということも、あるかもしれませんね。
 アンチョビ塩漬けの作り方は簡単。イワシの頭と内臓を取り除き、重量20パーセントの塩をまぶします。発酵したら、身と身から出た水分とを分け、身をオリーブオイルに漬けまず。これだけです。難しいことは何もないのですが、小さなイワシをさばく手間はかかります。それと、発酵するまでの時間が長い……。ひたすら日が過ぎるのを待つのみです。
 やっと見つけたカタクチイワシ。1パックに20尾ほど入っているものを、店に並んでいるだけ買い占めました。10パックくらいだったでしょうか。店の人は私のことを飲食店関係者だと思ったかもしれません。帰ってから、すぐさま下ごしらえに入ります。下ごしらえの間じゅう、飼い猫がそわそわしていました。家じゅうに、魚のにおいが充満していたことでしょう。私が住む東京練馬の夏の暑さは、有名です。夏を越すまでは、冷蔵庫の野菜室で眠ってもらい、秋からは常温保存で発酵を進める予定です。おいしくできるといいなぁ。
 ネットで「カタクチイワシ」を検索してみました。スローフードジャパンが、長崎県で作られるカタクチイワシの塩辛を、「味の箱舟」として2005年11月に認定していることがわかりました。イタリアでスローフード運動が始まった背景は、「食の画一化・安全性の軽視・スピード重視」にあるとされています。それに対する危機感や不安感、意識の高まりによって、運動が広がり具体化したとのこと。スローフードジャパンでは、「食の源となる種の多様性を守る・生産者と消費者を結ぶ・味覚の教育」を、自らの使命として掲げています。
 最近、食品偽装のニュースが連日のように報じられています。7月に入ってから報道されたニュースでは、偽装をした食肉会社の社長が「この業界は大なり小なり(みんな偽装を)やっている」と言い放っていました。私を含めて一般の消費者は、業者に対し不信感を持ちながらも、食べるには買うしか方法がない場合が多いです。消費者自身の問題として、見た目がよいもの・安価なもの・手軽なものに気持ちが向くという傾向も、否定できないでしょう。生産者と消費者の間の信頼関係は崩れ、食の基盤が大きく揺らいでいる今、改めてスローフードの意図するところを考えてみる機会かもしれません。
 食であれ、教育であれ、社会であれ、画一化されスピード重視されてしまっては、豊かなものは生まれないのでしょう。手間と時間を惜しまないこと、そして、もう一つ重要なことは信頼関係だと思います。食を通していろいろなことが見えてくる、それは、人にとって食は不可欠だからということなのでしょうね。

 参考:スローフードジャパン公式ウェブサイト
 
思い出の作り方(パタポン/うちわ先生)


 「年をとったら、思い出がたくさんある方が豊かに生きられる。お母さん方は今のうち、子どもとの思い出をたくさん作ってくださいね」
 先週、ある学校説明会で校長先生がこんな話をされました。
 確かに、子どもの成長はあっという間ですから、子どもと過ごす時間はとても大切なもの。でも、いざ思い出を作るとなると「どうやって作るの?」という疑問もわいてきます。

 子どもが赤ちゃんだった頃のことをふと思い出すことがあります。やわらかいぽちゃぽちゃした肌や、小さくすっぽり両腕に収まった身体。「もうあの頃にはもどれないんだなあ」と思うとちょっとさびしくなったり。毎日毎日繰り返しだっこしていたことも、寝るまであやしていたことも、今にしてみればほんの一瞬のできごとだったなと。
特に印象に残っていることといえば、やはり冷やっとさせられたことです。りんごをのどにつまらせたことや、階段から落ちたことは今でも思い出しても緊張が走るほどです。
本当に、わが子が小さい時は、毎日が真剣勝負で必死だったんだなあと思います。作ろうとしてできた「思い出」はないけれど、自分がその時一生懸命に生きた証として、その日々が心にしっかりと刻まれているように感じます。

 「思い出」は生徒さんの作文の中にもたくさんつまっています。特に、春休みの後やゴールデンウィーク明けは心に残ったことがたくさんあるようで、すらすらと書いてきてくれます。しかし、旅行やいわゆる「イベント」に限らず、下校途中に小さな発見をしたこと、学校でのできごと、お母さんとの会話、お父さんと遊んだことなどの中にこそ、実は大切な思い出になるようなできごとがちりばめられているとも思います。

自分の子供のころを振り返っても、自転車でたんぼに突っ込んだとか、暑い夜に寝付かれずにいたら、祖母がうちわで風を送ってくれたというような、日常のできごとばかりしきりに思い出されます。きっととっさの緊張感や、安らぎといった「感動」によって、脳に焼き付いたのかもしれません。言葉の森の課題で「下校途中の道」について書くものありましたが、「毎日繰り返されるできごと」も思い出に残りやすいようです。

身近なできごとを上手に作文にする生徒さんを見ていますと、思い出というのは、「珍しいできごと」を体験したからできるというものではなく、肝心なのは、自分の心のアンテナの張り具合によるものらしい、ということがわかります。
 「来週は、作文に何を書こうかな?」
 こんなふうに、日ごろから題材さがしをする習慣がつくと、アンテナも自然とみがかれてくるのだと思います。作文が上達すると、何気ないできごとの中にも楽しいことはいくらでも見つかるようになってきます。
 
 長く暑い夏休みがもうすぐ始まります。楽しい計画がいっぱいでしょう。「それどころじやないよー。夏期講習づけだよー」という生徒さんもいるかもしれませんが(笑)
でも、それも集中してとりくめばきっとよい「思い出」になるものです。「思い出作り」とは結局「今を一生懸命生きる」ということではないでしょうか。
 みなさん、体に注意して元気な夏休みをおすごしくださいね。
 
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