新学期が始まりました。新しい学年になり、クラスのお友達も新しくなった人もいるかもしれませんね。このスズラン学級も4月から新しいメンバーが加わり、新学期をスタートしました。今学期も元気で楽しくやっていきましょう。
新しい先生やお友達になった新学期は、いろいろ心配をすることや、緊張(きんちょう)することや、楽しいことなどあるかと思いますが、そんなとき、皆さんは自分の気持ちをどんなふうに表していますか。
「決まっているでしょ。言葉で伝えますよ。」と言っている声が聞こえてきそうですが、どんなときでも自分の思っていることをはっきりと伝えることができていますか。
じつは、この「言葉で伝える」ということは、なかなか難しいことのように感じます。でも、言葉で伝えなくては、相手に分かってもらえないですよね。
赤ちゃんは、誰におしえられなくても、お腹がすいたとき、眠いとき、おむつが濡(ぬ)れたとき、痛いとき、どんな場合も泣くということで自分の気持ちを表し、嬉しいときは笑顔で答えてくれますね。お母さんは「この泣き方は……」と気持ちをちゃんと受け止めてくれますし、赤ちゃんとの会話が成り立っています。少し大きくなって、言葉を覚え始めると、周りの人の言葉を聞きながらどんどん言葉を話すようになりますね。あとは知らず知らず言葉が多く蓄積(ちくせき)されていきます。きっと皆さんは沢山の言葉を知っているから不自由しないと思っていることでしょう。私もそう思っているのですが、思っていることを伝えることはやっぱり難しいですね。
そこで、問題になるのが、自分の思いが正確に伝わるように話したり、書いたりしているのかということになりそうです。
近頃、自分の気持ちを伝えられずに力で相手を傷つけてしまったという事件が案外多いように思います。言葉で解決できないときに思わず暴力(ぼうりょく)を使ってしまうことになるのでしょう。言葉で自分の気持ちをはっきりと伝えることができ、相手にも分かってもらえればお互いに理解しあえるわけです。
では、言葉で自分の気持ちを伝えるためにどうすればいいのでしょうか。
それは、ただ言葉を沢山知っているということではなく、ものごとに対して自分がどう思ったのか、これを伝えるためにはどういう言葉を使えばいいのかという練習をしてみるといいと思います。
お母さんとの会話のなかに、たとえば、食事のとき、子どもが「みず」と言っただけで、お母さんはさっとコップの水を差し出す光景が目に浮かびませんか。私は子どもがそう言ったときには「お水がどうしたの?」と尋ねていました。何回かそんなやりとりのうちに「お母さん、お水がほしい。」とつながってきました。ほんの小さな例ですが、小さいときから、何も言わなくても分かってくれるということはないのだということを子どもは学んだと思います。親は子どもがしてほしそうなことはすぐ分かるのですが、そこをぐっとおさえて子どもの言葉を待ちましょう。そして、子どもが要領(ようりょう)よく話せなくても、「ゆっくり聞いてあげる」という姿勢がほしいと思います。
また、会話と同じぐらい大切なのは、本を沢山読む(読んであげる)ことでしょう。本から(主に物語)こんなときにはどんな言葉をつかえばいいのかを多く学ぶでしょう。
私たちは、普段の家の中での会話、本に接する、言葉の森で毎週作文を書くために出来事を思い出す、こういう日常の積み重ねから自分の気持ちを上手に伝えることができるようになり、話す、書くという基本力を高めていけるのではないかと思います。
新学期、新しいお友達や先生へ自分の気持ちを伝えられるように、頭の中で伝えたい文を言葉で組み立ててみましょう。その言葉にはたくさんの気持ちがこもっているはずです。きっと、思いが伝わるでしょう。
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枝 6 / 節 16 / ID 7836 作者コード:oda
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