中高生のみなさんの国語や美術の教科書に、『竹取物語』や『伊勢物語』の昔の絵がのっていませんか? もしのっていたら、それは「奈良絵本」とよばれる種類の昔の本かもしれません。
先日私は、この奈良絵本の本物をまぢかで見せてもらってきました。
奈良絵本というのは、室町末期から江戸中期にかけてさかえた「本」です。だいたい今から300〜400年前です。これがじつは、大名や貴族のお姫さまなどのつくられた本。いわば「女子どものあそびもの」なのだそうです。
あそびもの、というわりには、手作りで、とてもごうかです。まだ、印刷技術がなかったので、手作りなのですが、表紙の裏には、金ぱくがはってあります。そして、うすいしっかりした紙に、ていねいにきれいな絵がかいてありますが、そこにも金が入れてあります。色は今でもまるでかいたばかりのように、みずみずしくあざやかでした。黒いえのぐにはうるしがまぜてあるそうで、いっそうつややかになっていました。エメラルドグリーンや、なでしこピンクのようなきれいな色もありました。
日本という国は、紙とえのぐがあったから、こんなふうに、「女子どものあそびもの」としての本がつくられ、しかも思いきくふうがこらされたのだなあと感心しました。
というのも、私の研究しているタイなどでは、「紙」が作られなかったので、大人でさえ昔は本というものがなく、本を読むということもなかったからです。日本人が「本好き」で本やマンガが豊富に売られているのも、こうした伝統のおかげなのです。
さて、7月3週目のニシキギの長文は、虫の幼虫がたくさんの葉を食べて育つ話ということで、体験実例もチョウなどを飼った話がたくさんよせられました。その中で、ロケット君の「クラスでかいこを育てた体験」はちょっと変わっていたので紹介します。
『まゆになる前に先生が、一工夫して、カイコの糸のうちわを作りました。このうちわは、作るのがちょっとむずかしくとなりのクラスの先生は、これをつくって失敗してしまいました。なんと、うちわを作らずに、うちわの上に、まゆをつくってしまいました。ぼくたちのクラスの先生は成功しました。作り方は、まずカイコのよう虫が、まゆを作りそうになったら、ちゅうにぶらさげたほねぐみだけのうちわに、カイコを4ひきから5ひきとまらせて、しばらくまちます。うまくいけば、うちわにカイコの糸がはられていて、今作った、きぬ糸のうちわの上にさなぎがついています。これは、紙で作った三角すいの中にそっといれておいてやれば、うかしてくれます』
カイコといえば絹をつくるものです。絹も日本の伝統的な生産物です。絹は、タイやカンボジアでも昔から作られていたのですよ。
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枝 6 / 節 11 / ID 8390 作者コード:takeko
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