昔話もう一度読んでみよう・知ってみよう
イギリスのオックスフォードに留学した経験ももち、英語で論文も書いている若いお医者さまに、「作文教室で、『昔話実例』という課題がある」ということを言ったら、たちどころにこんなメールが返ってきました。
「昔話実例ですか。今昔物語かなにかで強欲国司が登場する話がありますよね。彼は危険な谷に転落するのですが、皆が生死を案じて谷に籠を下ろすと、自分より先に山菜をどっさり乗せて籠を上げさせたそうです。そういう人間に僕はなりたい(わけないですよ)。」
私はすっかり驚きました! 医者という理系の世界の人であり、しかも英語をあやつる人がこんな「和」の昔話にも通じていて、すぐさま書いてくるなんて。本当にはば広い教養のある人だなあと感じ入りました。(しかも私、今昔物語の中のこの話は知らなかったのですよね)
いくつかの課題長文にもでてきますが、「昔話」というのは世界中どこにでもあり、しかもそれは人間の心が感じる基本的な気持ちの動きや、どんな人間にもおこる基本的な苦労に対するちえがこめられています。だから、世界のどこにでもある「にている昔話」というのはとても多いのです。昔話を読むということは自然に、「物語や人間世界のことについて」の基本を学べるということですし、文化を知るということでもあります。
電話できいてみても、けっこう小さいころ聞いていたはずの昔話を忘れている人が多いようなので、子ども向けのものや、フォア文庫などの本で昔話集を見つけたら、ぜひ読み返して見てください。「ウサギとカメ」「ありとキリギリス」のように世界的に常識になっている話もたくさんありますしね。
『日本昔話集』『イソップ物語』『グリム童話』『ギリシア神話』『古事記』『今昔物語』などをやさしく書いてあるものは今からぜひ読んでみてくださいね。
(みなさんはこの絵の昔話をいくつ知っていますか?)
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枝 6 / 節 16 / ID 9392 作者コード:takeko
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