週に1回、大学の授業を受けに行っています。新しい生きた情報を仕入れるために・・・。
でも、今期一番よかったことは、私を入れて、たった4人しか学生さんのいない授業なんですが、この若い学生さんのよく勉強していること! 本もよく読んでいるし、語るべきいこともあるし、さわやか好青年だし、こんな学生さんがいるというのがわかったことです。日本の未来も明るいなぁと感動しました。
どうして学生さんが少ないかというと、自分の研究発表を毎回やって、話し合わなければならないという厳しい授業だからのようです。そんな中、1人の学生さんの研究テーマはこんなものでした。
「サハラさばくは海のようなものである」
どういうことかというと、サハラさばくって、砂だけでなにもないというイメージですが、実はオアシスがあり、そこを旅する商人たちがいる。ということは、海の上を船で旅して、ときどき島や陸地にあがる商人たちと同じことではないか? だから、さばくを「何もない」ところとしてではなく、「人々の交通路」としてとらえてみたいというものでした。
そこで私のした質問は、「そういうところでは、『おはなし』も商品といっしょに伝播(でんぱ・伝わりひろまること)していってるのかな?」
「うーん、お話については考えたことなかったです。昔話の研究をする人もその土地だけのものとして研究しているようだし、伝わるということについては、考えていなかったですね」
「たぶん、そんな旅ではひまだから、きっと夜なんかお話したと思うよ。インドの昔話はヨーロッパや日本にまで伝わっていることはもう研究されているから、アフリカはどうか現地に行って、研究する生活になったらついでに調べたら? だって、昔の人が何を考えていたかわかるのは、昔話からでしょう。そして、交易(こうえき・交流して商売をすること)は人間が交流してやること。そのひとたちが何を考えている人たちだったか知っておくこともかかせないと思うよ」
彼もこれからアフリカに行って調査研究するでしょう。そして私はどんな学問をするについても、人間について考えるなら、昔話や教科書や子どもの本についても目を通して人間を知って理解してほしいと思うのです。みなさんは、作文の勉強をとおして今そのことを身につけている最中。それこそが、「国語力をあげる」ということ以上に、一生たいせつなことになってくると思います。
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枝 6 / 節 12 / ID 9823 作者コード:takeko
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