今月は、「源氏物語」についてお話ししようと思います。「源氏物語」知っていますか? 平安時代に紫式部(むらさきしきぶ)という女の人によって書かれた長編の物語です。
帝(みかど)の子どもとして生まれた男性(光の君(ひかるのきみ)、後に元服(げんぷく)して源氏の姓をもらい、臣下となって光源氏と呼ばれた)の多くの女性との関わり合いを中心に物語はすすみ、政治や文化、そのころの人々の考え方が反映されたとても興味深い作品です。
古典(こてん)というととっつきにくいものですが、昔とはいえ、わたしたちと同じ血が通い、泣き、笑って暮らした人たちの物語だと思えば、読み進めるのは楽しいものです。もちろん、今では想像するのも難しい生活や死生観など、より深く読み込むためには様々な知識が必要になってきますが、ハリーポッターを読むのにイギリス文化を先に学んで時代検証(けんしょう)をすることがないように、「源氏物語」もまず読んでみてはどうでしょうか?中学や高校で古典を学び始めていきなり出会う
「いづれのおほむときにか にょうご かういあまたさぶらひ たまひけるなかに いとやんごとなききはにはあらぬが すぐ れてときめきたまふありけり」
という「桐壺(きりつぼ)」の最初の文。「???」と思うと、古典も「源氏物語」も「わけのわからない勉強」になってしまいますが、今使っている言葉に訳されたものもたくさんあります。
「いつの御代のことであったか、女御更衣たちが数多く御所に あがっていられる中に、さして高貴な身分というではなくて、 帝のご寵愛(ちょうあい)を一身にあつめているひとがあっ た。」 (円地 文子訳「源氏物語」から引用)
手始めに「あさきゆめみし」という漫画で「源氏物語」を知ることもできます。
思いこみや第一印象で嫌いにならない、話の内容をおもしろいと思うことが古典の勉強を苦手にならない大切なポイントです。日本にもおもしろいお話はたくさんあります。近代だけでなく、中世にも、人々は今と同じように食べ、ねむり、泣き、笑い、怒り、悲しみ、恋をして生きていたのです。そんな人々に出会えると思うと読書のジャンルを広げる楽しさにわくわくしませんか?
春になり、新しいことをしたいなという気持ちになります。少しゆとりのある今の時期に今まで手に取ったこともない本を読んで、世界を広げてみましょう。
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枝 6 / 節 19 / ID 10986 作者コード:hutu
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