私の趣味は登山です。今年は秋に高いお山に登ろうかと思っていますが、ここ数年は南アルプスを中心として3000M級の山に挑戦しました。さて、突然ですが問題です。日本で一番高い山は富士山…ですが、二番目に高い山は?と聞かれて、即答できればかなりの「通」です。答えは、「北岳」で、3193Mです。富士山は3776Mですから、約600Mの差があります。今回は、なかなか知られていない北岳のお話です。
私が山歩きのたくさんの楽しみの中の一つとして挙げるのは、野鳥との出会いです。特に、特別天然記念物のライチョウに会うことをとても楽しみにしています。ライチョウは、2500M以上の高地にしか生息していません。現在は北・南アルプスと、新潟にある山にしかいません。富士山でも繁殖の実験が行なわれましたが、自然環境が合わず、繁殖できませんでした。ライチョウはハイマツや、高山植物を食べて暮らしています。一度だけ、ライチョウにめぐり逢う機会がありました。3年前、南アルプス・仙丈ケ岳で、です。母鳥とヒナが仲良く高山植物をついばんでいました。警戒心が少なく(元来天敵が少ないため)、人間が傍にいてもマイペースで食べ続けていました。
北岳にもライチョウが繁殖できる環境が整っていて、20年前までは少なくとも数十羽生息していました。が、去年の秋、北岳のライチョウが絶滅したというショッキングなニュースが流れました。どんなことがあっても熟睡できるこの私が、このニュースで眠れなくなりました。嘆き、哀しみました。温暖化の影響によりサルや鹿、キツネが高山帯で暮らすようになったのが原因の一つと言われています。彼らが高山植物を食べてしまい、ライチョウのヒナまでも襲うようになったらしいのです。おまけに北岳は登山客が多い山で、人間が平気でゴミを落としていきます。そのゴミを目当てにサルやキツネが集るようになってしまいました。結果、ライチョウの棲家がなくなってしまったのです。
7月28日付のニュースで、北岳のライチョウが数羽、確認されたとの朗報が私の目に飛び込んできました。絶滅のニュースを見た時も号泣しましたが、生息していたというニュースを見ても号泣しました。心からホッとしましたが、まだまだ絶滅の心配は消えません。「環境問題」と日々目にしない日はないくらいですが、我々の身近なところだけでなく、人間の手に負えない高山だからこそ環境問題を考えなければなりません。それには、人間の手が入っていない環境がどのようなものであり、どんな動植物がひっそりと生きているのかについて目を向けなければならないと思います。ライチョウはどんな鳥なのか、これを機会にどうぞ調べてみて下さい。
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枝 6 / 節 11 / ID 12790 作者コード:watumi
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