私がいま夢中になっているのは、草木ぞめです。私たちの身の回りには化学薬品で色をつけたものが多いですが、昔の人は草や木の実などの植物で服をそめたりしていました。白いガーゼハンカチなど「ちょっとださいかな」と思うアイテムでも、草木ぞめで色をつけると、なんともかわいいハンカチに変身するのですよ!
やり方はかんたん。まず、なべに水と草花をいれてグツグツ煮出します。植物の色が出たら、草花をとり出し、そめたい布やガーゼを入れて、さらにグツグツ煮るだけです。洗たくをしたときに色落ちしないように、塩か酢を少々入れるのも忘れずに。しぼって、かわかして完成です(=^v^=)/。玉ねぎの皮でそめると、しぶいオレンジ色。ぶどうの皮でそめると、うすいむらさき色にそまります。
草木ぞめのおもしろいポイントは、植物の見た目そのものの色とはちがう色にそまることがある点です。緑色をしたカモミールの葉でそめたのに、できあがりは黄色になったり、玉ねぎの皮といっしょにさびたクギをいれてそめると、深い緑色になったり。まるで「自然のマジック」みたいです。
とくに、サクラの木がすごい! 2月か3月、サクラが咲く直前の枝を切ってそめると、枝は茶色なのに、なんとピンク色にそまるのです。枝の中に、サクラ色をいっぱいたくわえて、花開くそのときをじっと待っているのですね。
昔の生活を想像すると、季節の移り変わりをいまよりも強く感じながら生活していたのではないかと思います。ただ「暑い」「寒い」だけでなく、雲の形や空の高さ、月の満ち欠け、植物の生え変わりなどと向き合いながら、自然の呼吸に合わせて生きていたのでしょう。しかし私たち現代人は、カレンダーをめくることで、ただなんとなく四季をやりすごしている気がします。せっかく四季のある日本に生まれたのに、なんだかもったいない。人間も自然の一部なのですから、もっと自然によりそって生きていきたいものです。
四季おりおりの草花で布をそめ、季節感に包まれて生活をする。なんとも幸せだなぁと思っていたのですが・・・。わが家の夕食時の会話。
私「ホウレンソウをゆでた汁でガーゼをそめたら、こんなかわいい緑になったよ」
夫「ふーん。それで、そのホウレンソウは料理に出ないの?」
私「あっ、草木ぞめに気をとられて、おひたし作るの忘れた」
息子「じゃあ、ガーゼを食べればいいんだ」
うーむ。わが家にも、食欲の秋がやってきました(^w^)。
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枝 6 / 節 13 / ID 12904 作者コード:harako
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