近くにある物 |
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最近、料理を趣味とする人が増えたが、初心者とプロとで一つ大きく違って |
いるところがある。初心者は、初めに何を作るかを決めてそれから材料を買い |
に行く。でも、プロはまず市場をのぞきに行きその時入荷した材料の中から良 |
くて豊富な旬のものを見つけ、それを中心にして活かす料理を作るのだ。確か |
に料理をする時は、初めに「何を作ろうか」と考えてしまう。多分料理をする |
人の多くが私と一緒で初心者の料理をしていると思う。材料、いや資源から料 |
理を発想することができるのは長年料理をしていて、技術のある人ができるの |
かもしれない。 |
資源からの発想が可能なためには、レパートリーが広く、しかも自由にそれ |
を応用しかねる能力が必要である。これまでの近代産業技術は、つねに技術か |
らの発想だったといえる。その結果、石油やウランなど地域的に偏在のはげし |
い資源への過度の依存が起こり、一国の経済基盤が揺り動かされるようになっ |
た。今では、有力な代替資源が見当たらないまま、石油資源の枯 は目に見え |
始めているとまで言われている。本当に資源はないのだろうか?エネルギー資 |
源にせよ、鉱物資源にせよ、最近騒がしく言われる水資源にせよ、良く考えて |
みると我々の身の回りにはかなり豊富にあり、ないのはそれを活用する技術で |
ある。そして、何よりもそこに目をむける資源からの発想であった。人々は、 |
探し物をしていても遠くを探しすぎなのだ。探している物はすぐ近くにあるの |
である。物などを抜かして愛や友情、言葉、気持ち、たくさんのものが近くに |
ある。その近くにあるものを活用すれば、あまり時間をかけずに技術からでは |
なく、資源からの発想になるのである。 |