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より良い人間になるためには
エンジュの谷の広場
エガ/てせ中2
私の心に少年の気持ちがふっと目覚めた。私はじっとしていられず、走ったり、しのび寄ったり、待ちぶせしたりして、ついに日に当たって温か
なおくびょうなトカゲを両手に捕らえた。私はその光沢のある、小さな宝石のような眼をのぞきこみ、少年のころの狩りの楽しみの余韻を味わいな
がら、そのしなやかで力強いからだと固い足が私の指のあいだで抵抗し、突っ張るのを感じた。だがそれからよろこびは消えてしまった。捕まえた
動物をどうしたらよいのかまったく分からなくなった。
私も、そのようなことはある。私もよく、トカゲなどを捕まえていたが、今になっては探そうとは思わない。捕まえたところで別に意味がないか
らだ。探すだけ無駄な時間をくってしまう。別に、トカゲを捕まえることはつまらないとは思わない。しかし、楽しいと思わなくなってきたのだ。
私だっていつまでも子供でいたい。しかし、いつまでも子供でいるだけでは、大人にはなれない。人間とは自立することで進化していくのである。
今の文で、自立することは大切と言った。なら、はじめから自立してはどうかと考えるであろう。こうすれば、一人で生きていくのはあたり前の
ことだとおもい、大人から子供へ進化する痛みというか、悲しみというか、それがなくなる。つまり最初から大人でいればいいのではないかという
ことだ。いや、そんなことはない。というか、はっきり言って、最初から自立することは、感情を知らない、冷たい人間になってしまうだけで、い
いことなんて何もない。そんな人になったら、何も楽しむものがなく、つまらない人生を送ることになってしまう。こんな人になりたい物好きなん
では、どうすればいいのか。そんなことは簡単だ。両方を取り入れればいい。感情をもった、進化した人になればいい。赤ん坊のころは、親に甘
やかされ、大切に育ち、一人で生きられるようになったら第二の人生を歩めばいい。人間とは、とても弱い動物だ。一人で生きられるといっても、
生きていける人間なんていやしない。人に支えられ、常に進化し続けつということが必要なのだ。
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