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ドッキドッキのオーディション カモメの広場
れもんふれ小4

 
 

 
 

 「語り手希望の人はならんでください。」
 

 さあ、運命のしゅんかんです。
 

 「むかし、むかし、ずっとむかし・・」
 

 せりふを無事に言い終わりました。
 

 私の学校では、この前、聖劇のオーディションがありました。オーディションは劇に出たい人が受けるだけで、出たくない人はオーディションを
受けないで、本番では、劇をやっている後ろで歌を歌っています。  

 私は、劇はあまり好きではありませんが、せっかくなので、受けてみることにしました。受ける役は語り手です。
 

 私は劇のオーディションなどになるとすぐに緊張してしまい、体がカチコチに固まって、まるで銅像のようになってしまいます。今から考えると
、なんであんなところで緊張したのだろうと思うほど、つまらないところできんちょうしてしまいます。そんな私にとって、語り手がオーディショ ンの最後だということは幸いとしか言いようがありません。  

 「はい。ではつぎは語り手を希望している人、前に順番にならんでください。」
 

 私は語り手を希望している人の中の五人中三番目です。 「むかし、むかし・・。」 最初の人がしゃべりはじめました。(なんで、みんなこん
なに上手なの。)私は少し心配になりました。なぜなら、みんながわたしよりとても上手に思えたからです。(どうしよう。)そう思っているうち に、二番目の人が終わってしまいました。(とにかくがんばろう。)そう思ってオーディションを受けました。  

 「語り手を受けます。」 それを言ったところまでは覚えていました。けれど、それから語り手のせりふを言い終わるまでは頭が真っ白になり、
何も覚えていません。自分では失敗しないで言えたと信じていましたが、実際に失敗しないで言えたのかはわかりません。あっという間にオーディ ションは終わり、あとは結果を待つだけとなりました。 「結果が出るのは明日です。」  

 さあ次の日、ドキドキしながら登校して自分の教室に入ると、なにやら人が集まっています。なんだろうと思いのぞいてみると、「結果発表」と
書いてある紙が黒板にはってあったのです。出席番号一番の人から順番にみていきました。そして私の結果を見る前に深呼吸をしました。 「ヤッ ター。」 私の名前の横には「語り手」と書いてあったのです。(よかった。)ひと安心しました。  

 でも、まだ劇が成功して終わったわけではありません。 (どうか劇が成功して無事に終わりますように。) 
 

     
                             
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