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科学技術の発展と文化
アジサイの広場
吉見こと大3
 1543年、種子島に漂流したポルトガル人が伝えた鉄砲(火縄銃)は翌年には
種子島、根来、堺、近江国友で製造され十年前後で実践に用いられるようにな
った。織田信長は、この火縄銃を最大限に生かし1575年の「長篠の戦」で三千
挺もの火縄銃を使用し戦術に大転換をもたらした。以後、数々の戦の中で使用
されることとなったが江戸時代に入るとパッタリ使用されなくなってしまった
。戦が存在しなかったから、という理由もあるが一番の理由は「火縄銃は日本
人の体質に合わなかったから」ではないか。日本には昔から「真剣勝負」「一
刀両断」「切腹」というような言葉があり、そのどれもが「正々堂々としたイ
メージ」を持っている。一方の火縄銃すなわち飛び道具は「卑怯なイメージ」
が強い。当時の頑固な日本人(多分)は火縄銃の持つ「卑怯なイメージ」は好
まなかったのだろう。科学技術の発展の下地には必ず文化が存在する。日本の
文化には火縄銃を発展させる下地が無かったのだ。
 
 よく他の大学と合同でイベントをすることがある。だが殆どの場合ギクシャ
クして上手くいかないものだ。その理由も文化にある。この場合の文化は大学
の歴史、校風、学生の気質だ。明るい雰囲気の大学もあれば硬い雰囲気の大学
もあるし、お嬢様風の大学もある。各大学の文化の違いが違和感を形成するの
である。
 
 コンビニが最初に日本に登場した当時、多くの知識人は「コンビニはアメリ
カでは成功していても日本では成功しない」と言っていた。当時の日本人とア
メリカ人との生活スタイルは全くの別物だったので多くの知識人は、そのよう
に言ったのだろう。しかし現在では3分歩けば必ずコンビニを見つけることが
できるほどコンビニは日本人の生活スタイルに合致するようになった。言い換
えれば日本の生活スタイルつまり文化がアメリカ化したのである。
 
 よく日本は外国人から「模倣国家」と言われることがある。日本の高度経済
成長の一要因は「先進国の模倣」であった。だが日本が先進国となり経済大国
になると当然「模倣する相手」がいなくなる。その結果が今日における平成不
況の原因ではないか。「不良債権」「政治不信」も原因かもしれないが模倣で
はない革新的な新しいアイディアが生まれないのが一番の原因だ。今日のアメ
リカの異常な好景気の原因は「革新的なアイディアが生まれる土壌つまり文化
の存在」にある。日本も「革新的なアイディアが生まれる文化」を形成する必
要がある。科学技術の発展の下地には必ず文化が存在するのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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