HOT FASHION -流行過多- |
ウグイス | の | 滝 | の広場 |
ペー吉 | / | うき | 中3 |
現代技術は、人間にとって有用でない資源を抽出し、加工して有用な物に変 |
化させる事をその中心としている。ところが、この命題は、人工物充填率の限 |
界、資源エネルギーの限界、廃棄物処理能力の限界などの問題に行き当たって |
いる。そこで、私達にはある視点ができつつある。それは、本来の目的を製品 |
の機能の享受におき、製品の所はをそのための手段という見方だ。この見方で |
は、製品所有は必然的なものでなく、レンタルなどの機能の売買がより本質的 |
なものなのである。 |
製品に囲まれて暮らすというのは、けして効率の良いものではないと思う。 |
確かに我々の製品所有の目的は機能の享受であり、それが受けられればスペー |
スをとるだけの製品などいらないのである。だが、私は、効率が悪かろうが、 |
「所有する」ということはいいことだと思う。例えば「コレクター」。ある製 |
品に惚れ込み、それをとことん収集する。彼らは機能を欲するのではなく、純 |
粋に製品を欲しがるのだ。私の友人に、『Magic The |
Gathering』というカードゲームのカードをコレクションしている人間がいる |
。カード一枚の効果が、実際のゲーム中でそれほど効果が高くないものでも、 |
彼は自分が持っていないカードならば大金をはたく。自宅は本棚がカードで埋 |
まり、地震がおきればカードに埋まって死ねるそうだ。このような姿には、ど |
こにも「機能の享受」という目的は伺えない。だが、彼らは彼らで満足してい |
何かを持ちたい、あれが欲しいというのは、人間共通の欲求である。そうす |
ることによって自分を高めたいというのもあるし、それによって他人から羨望 |
の眼差しで見られたいということもあるだろう。そこから発達してきたのが、 |
ファッションである。本来衣服の機能とは「体感温度を調節する」「裸身が見 |
えぬよう体を覆う」のはずだ。にもかかわらず、ファッションという業界があ |
る。機能でなく製品を欲しているのだ。歴史的なものでは、フランスのルイ十 |
四世の建てたベルサイユ宮殿など、まさに見栄の頂点である。 |
確かに、機能のみを重視し、無駄な資源を使わない方が効率がいいという見 |
方もあるだろう。しかし、私はコレクションや見栄という考え方を否定するこ |
とはできない。孔雀は羽を美しく見せる。カササギは光物を集める。発達しつ |
づけた現代文明の中において、人間が欲する物は、動物のそれよりもはるかに |
多い。「自然に帰れ」という言葉がある。我々は、文明に調和して存在する、 |
“欲しい”という自然を、忘れてはいけないのではないだろうか。もちろん、 |
廃棄物などの問題もある。だが、自分がいらなくなったのなら、それが必要な |
他人に渡せばよい。そう、中古販売である。通常の価格よりも当然安い。我々 |
は、貸し主にいつか返さねばならないレンタルでなく、「所有」を転々と変え |
ていく「中古品」を重視するべきではないだろうか。 |