| 自己新記録 |
| アジサイ | の | 泉 | の広場 |
| ミッキー | / | けく | 小5 |
| 真っ青な空、その真下に私たちはいる。みんな。はらはら、ドキドキしなが |
| ら、自分の出番を待っている。いままでの練習の成果はあらわれるのか…。 |
| 八月二十六日。区の大会当日。 水着にすばやくきがえた私は、友達といし |
| ょに外へ行った。 |
| 「ここって、ちゃんと、見ている席があるんだね。」 |
| 自分たちの学校とは、ずいぶん違う風景におどろかされた。そして、そうし |
| ているうちに、時間がどんどん過ぎ、第一種目「クロール」が始まってしまっ |
| た。他の小学校のおうえんは、すごかった。耳にがんがん |
| 響く。けれど西柴小の応援も負けなかった……。 |
| 「平泳ぎ五十メートル女子、準備をしてください。」 |
| とうとう私の順番がまわってきた。私は、同じ種目を泳ぐ友達といっしょに |
| いった。もう、「ビリ」になる |
| 覚悟はついていた。なぜって、四人中二人は六年生。そして、あとの二人は |
| 、私と友達。とても勝てる自身はない。 |
| 「よーい、ドン。」 |
| そのかけ声とともに前の人がスタートした。私は、プールにはいり、身体を |
| 慣らした。 |
| 「あ~、きんちょうするよ。でも、がんばらないと。」 |
| 私は、サイドにあがり、番を待った。 |
| 「よーい、」 |
| (がんらないと。ビリ欠にはなりたくない。よし、やるぞ!) |
| 「ドン」 |
| 「バチャーン。」 |
| 四人いっせいに飛びこんだ。 (あわてなくていいから、思いっきり「か |
| き」「けり」するんだ。) |
| 「がんばれ~、がんばれ~。」 |
| 声援が聞こえる。が、私にきている声援ではないような気がする。でも私は |
| 席で応援してくれる、 |
| もう少しでとどく、先生、友達の声だと思った。そして、せいいっぱい泳い |
| だ。けれど、やはり、六年生 |
| にはぬかされた。でも私は、その六年生をめがけて泳いだ。 |
| 「ピチャ」 |
| プーサイドにタッチをし、泳ぎきった私は友達といっしょに、みんなのいる |
| 席へ帰った。 |
| 数週間後 |
| 学校が始まり、また、ふだんどうりに私は、学校に通っていた。すると、先 |
| 生が賞状をくれたのだ。 |
| 区の水泳にでた、参加のしるしの賞状を。私は、それに書かれているタイム |
| をみておどろいた。 |
| 「五十六秒四」 |
| 自己新記録だ。とても、とてもうれしかった。宝くじが当たったときのよう |
| に。 |
| 私は、人は、がんばれば何でもできることがわかった。そして、私は、水泳 |
| を続けていきたい。 |
| その賞状は、今も私の部屋にかざられている。 |