自分の言葉 |
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吉見 | / | こと | 大3 |
「インタビューという仕事のコツは質問を一つに絞ること」と、ある本の中 |
に書いてあった。その理由は質問に気を取られて対話がスムーズに進みにくく |
なるからだそうだ。素人の考えでは、たくさんの質問を用意した方が無難だし |
、その方が気分的に楽だと思う。しかし実際は、その気持ちの緩みが対話を「 |
上っ面な対話」にしてしまう。質問を一つに絞ることで、自分の気持ちにメリ |
ハリをつけ「生きた対話」を生む。「生きた対話」ができれば、一つの質問か |
ら様々な話題に広げることができる。そこから先はインタビューする人の腕の |
見せ所になる。 |
大学の授業で自分が調べた本を報告する機会があった。私は綿密に本を読み |
、質問されても柔軟に対応できるよう本の内容を細かく要約した。報告は順調 |
に進み無事に終えることができた。しかし後で友人に感想を聞いてみると「ど |
うも淡々としている」と言われてしまった。つまり内容は正確だったが、その |
正確さが「面白味のない報告」になってしまった。本の正確な要約も大切だが |
、それを自分なりにアレンジしなければ「生きた報告」にはならない。 |
飛行機の中で一人の女性の乗客が子供の写真を持って座っていた。これに気 |
付いた添乗員が、二人分のオレンジジュースを女性の所に運んだ。すると女性 |
は涙を流して喜んだ。この女性は子供を亡くしたばかりであった。このような |
内容の記事を読んだことがある。この添乗員の行動はマニュアルに載っている |
ものではない。添乗員の自分の意志から行われたものである。普通のオレンジ |
ジュースも心配り一つで人を喜ばせることができる。 |
インタビュー、報告、接客に関わらず相手の心を動かすには「血のかよった |
モノ」が必要になる。この「血のかよったモノ」が「生きた対話」や「生きた |
報告」を生み出す。「血のかよったモノ」は本やマニュアルには決して載って |
いない。自分の頭の中で考え、それを自分の言葉で表現した時に始めて「血の |
かよったもの」が生まれる。最近、日本人の政治離れが問題になっている。そ |
れは政治家が「生きた政治」をしていないからだ。自分の頭の中で考え、それ |
を自分の言葉で表現できる政治家は何人いるのか。国会議員の条件に、このこ |
とを加えたらどうか。 |