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              厳しい父
アジサイの広場
小林ねき中1
 「父」というのは、社会のルールを教えるのが仕事だ。しかし、そんな父が
いなくなってきている。父が父でなくなってきているのである。父でなくなっ
た父の典型が「友達のような父親」である。そんな父親が家族を統合しようと
し、理念を掲げても、家族から無視されるだけである。そういうことは、上下
関係があり、威厳をもっていて初めて出来る。しかし対等の関係では、文化を
伝える事も、生活規則、社会規範を教える事も出来ない。「物分かりの良い父
親」は父の役割を果たす事の出来なくなった父と言うべきである。
 
 私の父は特に厳しいという事はない。門限なんてないし、テストの点が悪く
ても怒らない。むろん、ちゃぶ台返しなんてした事もない。まぁ、自分はその
父のもとで育ってきたから、どういうことが厳しくて、どういう事が甘いのか
、よく分からない。しかし、上下関係はない事だけは分かる。敬語を使う事も
なく、普通に会話している。もともと私は、あまり敬語を多用しないからかも
しれないが、とにかく、父は偉い、という印象はない。父は尊敬の対象になら
ないのだ。
 
 では、厳しい父親とはどんな父親なのか。私は、そんな父親の話を現実では
見た事はない。ただ、聞いた事ならある。オリックス・ブルーウェーブの鈴木一
郎(通称イチロー)。彼の父親は、とてつもない野球狂だったらしい。そして
、自分の息子(つまりイチロー)には、絶対に甲子園に行って、さらにプロに
なってもらおう、という野望(?)をいだき、息子にとてつもない練習をさせ
ていたと聞く。その結果、息子は野球界のスターとも言うべき存在にまで成長
した。また、モーツァルトの父親は、モーツァルトを縄でピアノに縛りつけて
までピアノをやらせたと聞く。さらに、温故知新の信念にもとづいて、昔はや
った漫画「巨人の星」を思い出してみよう。あれは、飛雄馬の親父、一徹が、
息子を試練の道へと誘った。そして飛雄馬は、その試練を乗り越えて、その後
立派に活躍していった。しかも、主題歌の歌詞がすごい。「♪思い込んだら♪
試練の道を〜〜〜〜♪」まさに「試練の道」、という感じである。
 
 「かわいい子には旅をさせよ」という言葉を知っているだろうか。かわいい
=優れている、旅=試練という風に取ると分かりやすい。つまり、何かしよう
と子どもがしたら、まずルールを教えるのである。この時、ルールは、旅のた
めの地図と考えると良いだろう。そして、手段を与えた上で、試練を与えるの
である。しかし、それだけではだめである。やはり最終的には、個人のやる気
が必要なのである。どんな逆行にあっても、それにめげないやる気と根性が必
要なのである。親は、それまでのお膳立てをするのである。たしかに、何かに
つけて怒って、子どもを縛りつけるのは悪い。しかし、叱らなければ何が正し
いのか分からない、ということになってしまう。父は威厳を持ち、自分の地図
を信用してもらわなければならない。そんな意味で、努力が必要なのだ。