受験勉強の鉄則は、早めに過去問をやることです。
ところが、「受験直前まで過去問はやらないように」という塾があるのです。
その理由は、受験直前に生徒にいろいろな学校の過去問をやらせて、合格しそうなところを受けさせるからです。
こういう勉強法は、最もロスの多い勉強法です。
大学入試を前にした高校生でも、ときどきこのような勉強の仕方をしている人がいます。
受験勉強なのに、どこでも受けることができるような全方位的な勉強をして、受験直前に自分の合格可能性を確かめるために過去問をやるという勉強の仕方です。
勉強には、実力をつけるための勉強と、勝負に勝つための勉強の二種類があります。
普段の勉強は、もちろん実力をつけるための勉強です。だから、全方位的な勉強をすることが大事で、試験に出ないようなところまで掘り下げて勉強することも大事なのです。
しかし、受験勉強の半年か1年間は、勝つための勉強に切り換えなければなりません。
勝つための勉強とは、相手の傾向を知り、自分の弱点を知ることによって、焦点を絞った範囲を集中して取り組む勉強です。
そのためには、過去問を早めにやることが欠かせないのです。
もちろん、塾からは、「それでは合格の可能性がわからない」と言われるかもしれません。
しかし、合格の可能性は、親や本人が、過去問をもとにして同じ傾向の問題で7割ぐらいの得点ができるかどうかを見積もることによって判断するものなのです。
日本には、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。
受験の場合、敵というのは、もちろん過去問です。ほかの受験生ではありません。
己というのは、過去問の得点力です。塾の成績順位や模試の得点ではありません。
こういう自分の判断に基づいた勉強をすることが、勉強以外の生活の中にも生きてくるのです。
大事なことは、勝負に勝つための勉強などは必要悪みたいなものだから、できるだけ能率的にやろうということです。
本当の勉強は、能率に関係なく、自分の好きなことを心ゆくまでやることだからです。