よく、病気の多くは生活習慣から生まれると言われています。だから、健康法も、たまに健康によいことをどっさりするのではなく、毎日の生活習慣の中で自然にできるようにしていくことが大事だと言われているのです。
同じことが、勉強についても言えます。
勉強は、成績という結果が表に出るので、特に多くの人の関心を引きます。
そして、自分の子供がよその子供よりも遅れているように見えると、親はついその差をすぐに埋めようとします。しかし、それは長年の生活習慣の中でついてきた差なので、生活習慣を変えることが第一なのです。
そういう生活習慣の中で、最も重要なものが、読書と対話です。
学力のある子は、よく本を読み、よく親といろいろなことを話しています。それが、勉強全体の成績に生きてきます。
ところが、成績だけを見ると、その差は勉強をすれば埋められるように思いがちです。そして、確かに、問題集を解かせるような勉強を繰り返せばその教科の成績は上がります。しかし、もともとの学力が伴っていないと、その成績を維持することは難しいのです。
言葉の森がすすめている家庭学習は、毎日の読書(高学年は50ページ以上)、親子の対話(週に1回は家族全員で)、毎日の音読(3分)、できれば毎日の暗唱(10分)、そして算数の問題集を1冊繰り返し解くこと(15~30分)、中学生の場合は英語の教科書の暗唱(10分)です。
全部やるのが大変だったら、読書と音読と対話だけでもかまいません。それも無理なら読書だけでもいいのです。その読書も最低限10ページ以上とすればいいのです。
こういうことを毎日続けて半年もたつと、いつの間にかいろいろなことができるようになって、作文も上手に書けるようになっていたとなるのです。
成績を直接上げようとするのではなく、生活習慣の中で学力をつけて、いつの間にか自然に成績が上がるようにしていくのです。
しかし、この毎日続けるということが大変です。どの学習も結果がすぐ出るものではありませんから、子供も張り合いがありません。
特に、今は塾でも通信教育でも、子供の関心を引くために目新しい教材を次々と提供しますから、そういう勉強に慣れた子は、同じことを淡々と続けることがなかなかできません。
だから、同じ勉強を毎日続けるためには、子供の自覚ではなく、親による習慣化が必要です。
よく、「親が毎日言わなければやらない」と愚痴のようなことを言う人がいますが、親が毎日言うのは当然です。一度言っただけで、それを黙々とやり続けるような子であったら、かえって問題です。
そして、どんなに習慣化したように見えても、ちょっと風邪で休む日があったり、旅行に出かけたりという例外が入ると、習慣はすぐに崩れます。
そのときに、再び習慣を立て直すのも、子供が自分でできるわけがありませんから、親の役割なのです。
成績は勉強をすれば上がります。しかし、学年が上がると、勉強をするだけでは成績が上がらなくなってきます。それは、学力の差があるからです。
塾に行かせて勉強させれば成績が上がると考える人は多いのですが、勉強をさせて成績が上がるのは最初のうちだけです。学力がなければ、その成績もまたじきに下がってきます。
成績を継続的に上げられる子は、塾に行っても行かなくても上げることができます。それが学力の差です。
学力をつけるのは、毎日の生活習慣です。そして、その習慣をつけるのが、親の仕事です。
ただし、それを親の責任だけに押し付けてしまうと、ほとんどの場合、何も改善しません。
生活習慣を新たに作るというのは、実はとても難しいことなのです。
例えば、夜更かしの子に早寝早起きの習慣をつけるというのは、口で言うのは簡単そうに見えても、実行するのはほぼ不可能なほど難しいと思います。
毎日の音読の習慣をつけるなどというのも同じです。習慣化するというのは、それぐらい難しいという親の自覚がまず大切です。
そして、言葉の森では、この家庭学習の習慣作りの支援とアドバイスができるように、寺子屋オンエアというオプション講座を行っています。
この講座は、勉強を教える講座ではありません。教わる勉強は、学校や塾でやっていれば十分です。その教わったことを定着させ、毎日の学力の生活習慣を作るための講座です。
今後、この寺子屋オンエアで、子供の勉強を見るだけでなく、保護者との連携を充実させていきたいと思っています。
よく、子供の成績が悪いと、塾に行かせれば何とかなのではないかと考える人がいますが、塾に行かせて何とかなる子は、もともと学校の勉強だけでも何とかなっていたはずなのです。
大事なことは、勉強をさせることではなく、その土台となる家庭での学力の生活習慣をつけることです。
その上で、新しい勉強をするために塾に行くというならいいのです。