自然科学の本が面白いのは、そこに書かれていることが真実だからです。
どのように不思議に見えることでも、それが実際に存在するのであれば、そこに必ず合理的な説明が成り立ちます。
この世界が合理的な真実でできているという確信を持てることが、自然科学を学ぶことのいちばんの利点です。
文学の世界でも、人間の真実を描くことはできますが、そこにはどうしても作者の人生観や世界観や思い込みの癖などが入ります。
だから、文学の世界では、面白く読めるが、不自然なパターン化に流されるということもまた多いのです。
さて、ところが、自然科学の良書というのは書店には意外と少なく、児童図書の多くはフィクションが中心となっています。
今回、思考発表クラブで理科実験工作を取り上げようと思ったのは、子供たちの知的生活が、机上の勉強と架空の文学に多くを占められているような気がしたからです。
もちろんどちらも大切です。特に文学の世界は、架空ではあってもその中で人間に対する共感のようなものが育ちます。
しかし、現実の世界の中にある合理的な真実に感動することもまた、子供たちの成長には必要です。
自然科学というリアルな世界で、親子の対話ができると面白いと思います。
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賢い子を育てる、お母さんの科学的関心
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子供が、最初に接するのは、両親、特にお母さん、そしてお父さんです。
子供は両親を通して、社会に接していきます。だから、親の関心が子供の関心に結びつくのです。
親が科学的なものの見方に関心を持っていれば、子供もそのような関心を通して世の中を見るようになります。
これが、賢い子を育てる出発点です。
本を読んだり、勉強をしたりする以前に、子供が親の関心に自分の関心を重ね合わせることが大事なのです。
しかし、もとから科学好きな親ならまだしも、多くのお母さんは科学的なことにはあまり関心がないと思います。
そこで、使えるのが、子供向けの科学の本です。
子供と一緒に科学の本を読んでいると、「へえ、そうなんだ」と、世の中や自然の現象についての新しい理解に感心することがあります。
特に、自然界は、科学的な考え方の宝庫です。
自然の中にあるものは、どれもそれなりに必要な科学的裏付けを持って成り立っているからです。
これに対して、人間社会の現象は、にぎやかな話題が多い割に、科学的な裏付けを通して理解するということはあまりありません。
また、一般に勉強と言われるものも、科学的なものの見方にはあまり結びつかないものがかなりあるのです。
特に、成績にすぐに結びつくような勉強は、知識と手続きの理解でなりたっているので、それはそれでとても必要なことなのですが、子供を賢い子にするということにはあまり結びつきません。
むしろ、勉強の時間が多すぎると、勉強以外の読書や遊びや対話の時間が減る場合もあり、その方が子供の成長にとってマイナスになることもあるのです。
最近出た科学の本として面白いと思ったものは、「理科好きな子に育つふしぎのお話365」(誠文堂新光社)です。
390ページもあり、結構重たいので、読み聞かせに使うとしたらお母さんはかなり大変です。
しかし、ルビがふってあるので、ある程度お母さんが読み聞かせをして、子供が興味を持てば、続きを自分で読むようになると思います。
科学の本の選び方として大事なことは、ただ知識が書いてあるだけでなく、因果関係のような構造が書いてあることです。
科学の本とは少し違いますが、時事問題などでも、事実の経過が重要なのではなく、その背後にある因果関係の解説が大切です。しかし、世の中にある時事問題に関する本でそういう観点で書かれているものはあまり多くありまぜん。
知識が大事なのではなく、その知識の背後にある科学的な関係を知ることで、知的な好奇心が刺激されることが大事なのです。
以上のような科学的関心について考えたのは、ドクター・中松さんの「私は死んでる暇がない」を読んだのがきっかけです。
これも、とてもいい本ですから、子供向けではありませんが、ぜひ多くの方におすすめしたいと思います。
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