ログイン ログアウト 登録
 どんな本を読むか。その前に読まない方がよさそうな本 言葉の森 | 作文国語教室【公式】
 
言葉の森 | 作文国語教室・サイト 言葉の森 | 作文国語教室
記事 3312番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2026/11/8
どんな本を読むか。その前に読まない方がよさそうな本 as/3312.html
森川林 2018/05/20 11:19 
修 削

 子供の読む本についての質問を受けることが時どきあります。
 その内容は、どういう本を読んだらよいかというものです。

 確かに、子供にとってよい本を見つけるというのは、大人になってしまうと分かりにくくなります。
 しかし、世の中で読む本は無数にあり、子供たちの本を読む速さは、小学生で1週間平均2冊ですから、年間で約100冊です。
 そう考えると、どんな本を読むかという書名を指定するよりも、どういう本を読んでいくかという方向性を決めておく方が大事だと思うのです。

 その方向性を決める際に、私が考える「読まない方がよさそうな本」というものを挙げてみます。
 それは、子供たちの読んでいる本を見て、時どき疑問に思ったことがあるからです。

 読まない方がよさそうな本の第一は、怖い本です。
 子供たちは、怖いもの見たさという人間には誰でもある心理を持っているので、怖い本というものを意外と喜びます。

 大人は、子供が喜んでいるのだからと思い、そういう本をすすめてしまいがちです。
 しかし、これは、岡潔さんの言う「無明(むみょう)」を子供の心に育てていることだと思うのです。
 子供に限らず、大人でも、怖い話や怖いニュースはよく話題にされがちです。
 それは、無明というものが、人を引きつける力があるからです。

 子供が成長期に読む本は、明るく前向きな、美しい、人生を肯定するような本であるべきだと思います。
 きわめて単純なことです。
 こういう単純なことを、図書選びの基本方針とすることがまず第一です。

 第二に、これは読まなくてもいい本とは言いませんが、それほどおすすめしないという本です。
 それは、「何年生の読み物」というような、短編がいくつかまとめられて編集された本です。
 こういう物語やエッセイが短くつながった本は、手軽に読めるという面があります。
 しかし、それが逆に熱中して読み続けるという、読書の喜びのいちばんの要になる経験をさせにくくします。

 昔、「天声人語」を集めた本を読んだことがありますが、途中ですぐに眠くなりました。
 800字程度の短いエッセイが、次々と始まり、次々と終わるというような本は頭脳を疲労させるのです。

 本の面白さというものは、熱中してその本の世界に没入するところにあります。
 ところが、名作を短編にして、それを数多く並べた「何年生の読み物」という本は、子供が我を忘れて読むということがあまりありません。
 まるで体によいと言われる薬でものむように、その本を少し読んではおしまいにし、また次の日に少し読んではおしまいにする、というような読み方になりがちなのです。

 しかし、短編集であっても、熱中できる本ももちろんあります。
 私が、子供のころ読んだ「世界ふしぎめぐり」という本は、読んでいるとき、声をかけられても気がつかないほど熱中して読んだ経験があります。
 だから、短編集かどうかということよりも、子供が熱中して読めるかどうかということが大事なのだと思います。

▽参考「春風夏雨」(岡潔)より
====
「無明」
 前に京都に行ってピカソの展覧会を見たことがある。馬と女性の二種類の図柄の絵が大部分だったが、そこでわかったことは、これはひっきょう「無明」と呼ばれているものを描いたものだなということだった。無明をこれほどうまく描いているのは全く初めてだ。
 無明というのは仏教の言葉で、私の信奉している山崎弁栄上人の解釈によると、生きようとする盲目的意志のことである。盲目的であるにせよ、ともかく生きようとする意志のことなのだから、それほど恐ろしいものではないだろうし、また、少くとも六道のうちの最高の序列にある人・天の二道における無明は程度が知れていると考えていた。しかし、このピカソの絵を見て、生きんとする盲目的意志がどんなに恐ろしいものかがよくわかった。
 そこに描き出されたものは全く無明そのものなのだった。だから会場でも、一つの絵の前に立ち止ってゆっくり眺めようという気がせず、また二度も見ようなどとは思わず、二十分足らずで出て来てしまったのだった。
 そうして帰りがけに人の顔を見ると、どの顔にも無明が見えて仕方がない。というより、人の顔が無明そのものになっているという感じだった。
(中略)
 ピカソの絵は美を描いたものとはいえない。ここには芥川龍之介のいう「悠久なものの影」は見当らない。しかし、すぐれた人の文化的な作品には違いない。彼が巨匠であることはまぎれもない事実で、その作品は巨匠の傑作というほかはない。彼は醜悪なものを絶えず見つめることによって、その本質を描けるようになったといってよい。
====



コメント欄

森川林 2018年5月20日 11時38分  ▽
 子供の本選びのことを考えていて、岡潔さんの「無明」の話とつながることがあると思いました。
 子供は、無明の方を選んでしまうことも多いのです。


nane 2018年5月20日 11時50分  ▽
 若いときは、無明の方に真実があると思いがちです。
 しかし、無明を直視しようというのは、無明に負けていることです。
 では、現にある無明をどうするのかというと、それは無明のない世界を創造することです。
 例えば、「人間が食べるためには生き物を殺さなければならない」というのは、真実ではなく無明です。
 生き物を殺さなくても食べられるものを創造すればいいだけです。
 たとえ時間はかかっても、こういう方向がわかれば、無明の周囲を堂々巡りをする必要はなくなります。
 これが、手塚治虫の「ジャングル大帝レオ」のひとつの主題になっているのではないかと思います。
 話が飛びすぎか(笑)。


nane 2018年5月20日 12時9分  ▽
 無明とは、暴飲暴食や二日酔いのことです。
 たまには、そういうことがあっても人間味があっていいのです。(よくないか)
 しかし、暴飲暴食や二日酔いが人間の真実ではないということです。

コメントフォーム
どんな本を読むか。その前に読まない方がよさそうな本 森川林 20180520 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
あいうえ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「あいうえ○」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード)
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
読書(95) 
コメント1~10件
漢字の書き取り 森川林
 小学生は書き順を唱えて覚える下村式が普及しているそうです。 11/5
記事 5600番
【重要】在籍生 森川林
各種検定リストを追加しました。 暗唱検定 https 11/3
記事 5599番
音声をテキスト 森川林
ICレコーダーで文章を書く人のためにアドバイスすると、 u 11/1
記事 5596番
勉強なんて、誰 森川林
四行詩という新しいジャンル。 何か考えたいことがあって、文 10/31
記事 5591番
10月から読解 森川林
読解検定は、生徒の書いた解説に対して、もっと詳しいコメントを 10/31
記事 5592番
2026年10 森川林
「アオキ差すトド」って覚えやすい(笑)。変だけど。 10/31
記事 5593番
読解力、思考力 森川林
言葉の森は、作文というマイナーマーケットから、国語というより 10/31
記事 5594番
音声をテキスト 森川林
自分の場合、テキスト温泉は、nottaと同じかそれ以上の性能 10/31
記事 5596番
作文、読書中心 森川林
印刷については次のようにされるといいと思います。 問題文の 10/26
記事 5590番
作文、読書中心 NU
先生ありがとうございます。 会場検定はなくなったとのこと、 10/26
記事 5590番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
なぜ作文が大事 森川林
人に教わったものは残らない。 自分が考えたものは残る。 11/5
森川林日記
推薦図書リスト 森川林
推薦図書リストに「佐賀のがばいばあちゃん」を追加しました。 11/2
読書の森
Re: 万年筆 森川林
SMART-CLIP スマートクリップ (パイロット PIL 11/1
森川林日記
帰り道 森川林
 夕方、日限山から野庭団地に上り、  坂道を下って港南台に 11/1
森川林日記
万年筆 森川林
 ふと昔を思い出して、パイロットの万年筆を買った。(PILO 10/30
森川林日記
Re: 題名( 森川林
届いているメールアドレスをご連絡ください。こちらで消去いたし 10/28
森の広場
登録解除 スギモト
【承認待ち】 10/27
森の広場
メールまたはお 森川林
メール登録の解除は、届いているメールアドレスをお知らせくださ 10/27
森の広場
Re: 題名( 森川林
登録解除しました。 お手数をおかけしました。 10/27
森の広場
登録解除はお名 森川林
登録解除はお名前かメールアドレスをご連絡ください。 > 10/27
森の広場

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン