スミレ
公立中高一貫校の受験作文の課題は、昔は牧歌的なものでした。
「小学校時代の思い出」というような誰もが書ける課題が出されていたのです。
しかし、こういう課題は、事前の準備ができれば、誰でも上手に書くことができます。
そのため、次第に、文章を読ませてその感想を書かせるようなかたちの作文課題になりました。
しかも、複数の文章を読ませて、その共通性の面から感想を書かせるような凝った課題を出すようところが増えてきたのです。
この理由の第一は、採点が大変だったからです(笑)。
易しい課題で合格圏内にある作文をすべて読むというのでは、採点者の負担が大きすぎます。
そこで、難しい課題で、一応時間内に規定の字数まで書けた作文に絞って、採点をするという試験の方法になったのです。
かなり昔、東大と京大が、学部によってですが、入試に小論文の課題を出した時期がありました。
それらの問題は、かなりいい問題だと評判がよかったのですが、やがてその入試はなくなりました。
理由のひとつは、問題を作るのが大変だったからです。
もうひとつの理由は、やはり採点が大変だったからです。
採点の負担を解決する方法は簡単です。
文章の自動採点を導入すればよいのです。
そうすれば、問題の作成も、それほど凝る必要はなくなります。
現在、ChatGPTは、文章を要約することも、簡単なメモを文章化することも、長い文章を短くすることも、長くすることも、日本語で書くことも、英語で書くことも、関西弁で書くことも自由にできます。
このAI技術を応用すれば、文章の採点はすぐにできます。
その方法は、こうです。
作文には、小学生の書いたものから、中学生の書いたもの、高校生の書いたもの、大学生の書いたものなどいろいろな年齢の生徒が書いたものがデータとして多数あります。
それらを読み取って、その作文が、何年生ぐらいの生徒が書いたものかを推測させればいいのです。
すると、大学入試の作文でも、中学生レベルのものから、高校生レベルのものや、とっくに大学生レベルになっているものまで幅広くあることがわかります。
ただし、こういう評価をするためには、作文の字数は1200字以上であることが必要です。
字数が短いと、誤差が大きくなるからです。
また、できれば、1本の作文ではなく、数本の作文を書かせる必要があります。
書く生徒は大変ですが(^^ゞ、採点する方はAIですから、一瞬にしてできます。
この試験を実施するためには、手書きOCRの機能はまだ不十分でしょうから、試験会場ではポメラのような端末を配備して、全員が一斉に作文のテキスト入力をする必要があります。
いずれ、大学入試では、こういうデジタル作文試験が導入されるようになると思います。
高校入試や中学入試でも、できないことはありません。
更に先のことを考えると、口頭試問もAIで評価することができます。
AIで、大体の基準以上になった人だけを、人間が実際に作文を読んだり、面接をしたりすればいいのです。
しかし、更に先のことを考えると、そのうちに、入試で生徒を採点すること自体が必要でなくなります。
それは、将来の学校は、オンライン化するからです。
現在、入試があるのは、リアルな学校に入ろうとするからで、リアルな学校には決まった数の座席しかないからです。
その座席の数に合わせて入試が行われています。
しかし、オンラインであれば、デジタルの座席の枠に制限はありません。
学生どうしの交流の場としては、時どき遠足やサマーキャンプを行えばいいのです。
これが、大学の人気を最も左右するイベントになるかもしれません。
オンライン化された学校では、国境はありません。
Zoomの授業でも、翻訳機能を使えば、どの国の人でも参加できます。
遠足やサマーキャンプのリアルな交流の場では、ポケトークのようなものを使えばいいのです。
こういう機器は、今後もっと進化してウェアラブルになり、使用している感覚がなくなります。
リアルな海外留学というのは、そのうちに死語になります。
そのかわり、リアルな海外遠足や海外合宿が普通になってくると思います。
以上、だいぶ先のことまで書きましたが、大事なことは、これからの勉強は、知識の詰め込みと再現ではなく、考える力が中心になるということです。
更に、考える力に創造力の加わったものが、本当の学力になるということです。
今、小中高生と保護者のみなさんは、そういう未来の姿を想定して、子供の教育を、考える力と創造する力を育てる方向に向けていくことが大事になっていると思います。
※意見文の書き方の記事を書こうとしましたが、その前提として受験作文の話を書いたら、それだけが長くなってしまいました。
意見文の書き方については、次回の記事に載せます。