ログイン ログアウト 登録
 未来教育宣言(その5)――一人ひとりの対話の中で共感力を育て、競争の教育から共感の教育を目指す Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 5173番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
未来教育宣言(その5)――一人ひとりの対話の中で共感力を育て、競争の教育から共感の教育を目指す as/5173.html
森川林 2024/09/21 13:41 


 私たちは、社会の中で生きています。
 その社会生活の根底にあるのが、共感力です。

 見ず知らずの人であっても不幸な人がいれば可愛そうだと思い、幸福な人がいれば自分も幸せを感じる、そういう感受性を持つことが共感力を持つということです。

 この共感力があるからこそ、人間は、社会に貢献することを自然に目指すようになるのです。


 教育の世界でも、共感力を育てることが教育のひとつの大きな目的になります。
 共感力を育てる土台となるものは、一人ひとりの対話です。

 私の教えているクラスでは、作文クラスでも、基礎学力クラスでも、総合学力クラスでも、国語読解クラスでも、算数数学クラスでも、創造発表クラスでも、プログラミングクラスでも、どのクラスも、授業の前に、全員が読書紹介をしています。

 この読書紹介だけで10分から15分の時間をとりますが、これは必要な時間と考えています。
 それは、ひとつには子供たちが毎日の読書を続けるためのきっかけになるからです。
 また、もうひとつには、ほかの人の読んでいる本を見て、自分の読書の幅が広がるからです。
 そして、更にもうひとつには、読書の紹介を通して、紹介する子供の人柄が伝わってくるからです。
 相手の人柄を感じることが、コミュニケーションの土台になります。


 また、私の教えているクラスでは、授業のあとに、一人一言の時間をとっています。
 その一人一言の時間のあとに、互いに、ほかの人の一言に対する質問や感想を言ってもらています。

 読書紹介と一人一言の間の授業の時間は、個別指導の時間です。
 個別指導の時間の間に、ほかの生徒はそれぞれ決められた学習をしています。

 学習の基本は毎日の家庭学習ですから、授業の時間はその家庭学習を確認する時間です。
 だから、授業では、対話と交流の時間を多くとれるのです。


 みんなの前で自由に話すことで、どの子も人前で発表する力がつきます。

 私が、これまでいろいろな子を教えてきてよく感じるのは、海外から参加している子は、どの子もほぼ例外なくみんなの前で話すのが上手だということです。

 アメリカでは、小学校低学年のころから、クラスの前で、自分が家から持ってきたものを紹介する授業があるようです。
 日本では、そういう授業はまずありません。
 あるとしても、30人から40人のクラスでは、ひとりの子が話す機会は限られてしまいます。

 言葉の森のオンラインクラスでは、毎週、全員に一人一言の時間があるので、どの子も人前で話すことが上手になってきます。

 そして、そのそれぞれの一言に関して質問や感想を言うことで、自然にほかの人の一言を注意して聴く姿勢が育ちます。

 また、もっと大事なことは、質問や感想を言おうとすることによって、相手に対する共感の気持ちが生まれることです。

 一人一言と質問感想の時間は、はたから見ると、楽しいお喋りの時間のように見えるかもしれません。
 しかし、みんなの前で話をするので、子供たちはかなり頭を使ってこの時間を過ごしています。

 こういうかたちで対話を交わした子供たちは、やがて同じ教室で学んだ学友のような関係になっていきます。

 言葉の森が、オンラインクラスを本格的に始めたのは、2020年のコロナ禍のときからですから、まだそれほど年数はたっていません。
(オンラインクラス自体は、10年以上前から始めていました。)

 しかし、これからのオンラインクラスでは、小1のころから基礎学力クラスや作文クラスで一緒に勉強を始めた子供たちが、中学生になり、高校生になっても、時どき同じクラスで勉強するようになることも出てきます。

 その子供たちが、大学生になり、社会人になったときに、同窓会ができるでしょう。
 その同窓会は、単に昔を懐かしむ会ではなく、近況を語り合い、知的な刺激を与え合う会になると思います。

 そういうときのために、卒業した子供たちが集まれるオンラインの場として、それぞれの「先生の部屋」という掲示板を作っています。
 しかし、これはまだ時期が早すぎたので、使っている人はまずいません(笑)。
 ただ、そのうち、「先生の部屋」で、卒業生や在校生が語り合う機会が生まれてくると思います。

 こういう対話のあるコミュニケーションを通して共感力を育てることが、未来の教育のひとつの大きな目的になります。


 翻って、現在の教育を見ると、共感の教育ではなく、競争の教育が行われているように思います。
 子供たちは、孤立させられ、互いに相手をライバルと見なして、自分がよりよい席につけるように勉強することを強いられているように思うのです。

 しかし、大事なことは、競争をさせないことではなく、共感を育てることです。
 子供たちは、競争も好きです。
 しかし、その競争は、もっと大きな共感を土台にした競争にする必要があります。
 教育の場では、共感が主で、競争は従なのです。
(つづく)



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
未来の教育(31) 言葉の森のビジョン(51) 未来教育宣言(0) 

コメント欄

コメントフォーム
未来教育宣言(その5)――一人ひとりの対話の中で共感力を育て、競争の教育から共感の教育を目指す 森川林 20240921 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
たちつて (スパム投稿を防ぐために五十音表の「たちつて」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
未来の教育(31) 言葉の森のビジョン(51) 未来教育宣言(0) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習