高校生の作文課題の項目は、高1が「当為の主題」、高2が「社会問題の主題」で、高3が「予測問題の主題」です。
高1の主題の「当為」というのは、「~べきである」ということで、その「どうすべきか」という主題に合わせて、複数の方法を書きます。
方法のひとつは、人間的な方法です。
方法のもうひとつは、社会的な方法です。
高校生の多くは、「自分たちの心構え」のような人間的な方法だけで書こうとします。
しかし、それでは方法の幅が狭くなります。
だから、もうひとつの方法は、社会的な方法を考えていくのです。
しかし、高校生が考える社会的な方法の範囲は限られています。
まだ、社会生活を送っていないので、観念的な方法になりやすいからです。
高校生が、最も身近に感じる社会的な分野は「教育」です。
だから、社会的な方法は、教育における方法ということで考えてみるといいのです。
高2の課題の意見は、「社会問題の主題」です。
これは、問題自体が見つけやすいと思います。
その社会問題に合わせて、複数の原因を考えます。
複数の原因のひとつは、時間的歴史的な原因です。
複数の原因のもうひとつは、空間的社会的な原因です。
社会問題の問題は多様ですが、原因は多様ではありません。
異なる問題でも、同じような原因ということが多いのです。
しかし、原因の裏付けとなる実例は多様です。
だから、作文の個性は、問題や原因の中にではなく、その裏付けとなる実例の中で出していくのです。
さて、高3の課題の主題は、「予測問題の主題」です。
これは、現在の社会問題の先にあるものを予測するという考え方ですから、想像力が必要です。
社会問題というものは、いずれは解決します。
それは、多くの人が感じている問題なので、いずれ解決せざるを得ないのです。
しかし、その解決の先に、主に解決の行き過ぎによる新しい問題が登場します。
その新しい社会問題を予測し、それに対して対策を考えるのが予測問題の主題です。
しかし、対策は具体的なものである必要はありません。
問題自体が予測に基づいたものなので、対策も具体的なものではなく、対策の方向を考えるということでいいのです。
対策の方向は、大きく4つ考えられます。
それは、自主、民主、公開、発明です。
問題の対策は、第一に、上からの統制ではなく自主的なものとして行う必要があります。
対策の第二は、それが民主的に納得できるかたちで行われる必要があります。
対策の第三は、誰もがそこに参加できる公開された場で行われる必要があります。
そして、第四は、新しい画期的な対策は、しばしば発明によって行われる必要があるということです。
これまでの人類の大きな社会問題は、狭い「心構えの方法」や、もう少し広い「政治や経済の方法」で解決されようとしてきました。
しかし、根本的な解決は、「科学的な方法」で行われることがあるのです。
話は変わって、今、世の中ではAI技術が、さまざまな分野で影響を与え、これまでのシステムの変更を迫っています。
社会問題として考えられるのは、そのAIの進展に追いついていけない古い体制が残っていることです。
しかし、それは多くの人が感じている問題なので、いずれ解決されるでしょう。
解決できない体制は、滅びていきます。
本当の問題は、その社会問題が解決されたあとにくる予測問題です。
教育の分野で言えば、教室で先生が生徒に一斉に授業をするという現在の古い仕組みは、AIの進展によって大きく変わります。
最初は、AIの活用は能率のよい学校教育を生み出します。
しかし、やがて、教育は学校から家庭に移っていきます。
家庭での教育の方が、学校での教育よりも更に能率がいいからです。
新しい問題は、教育が家庭に移ったあとに生まれます。
そのときの対策を今から考えておく必要があるのです。