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FREE(フリー)という考え方―発表と交流のある作文指導 as/938.html
森川林 2010/06/22 12:00 



 「FREE(フリー 無料からお金を生み出す新戦略)」(クリス・アンダーソン著)と「FREE(フリー)経済学入門」(苫米地英人著)を読みました。

 インターネットが登場してから、フリーという概念が、社会のすみずみにまで影響を及ぼすようになってきました。

 言葉の森でも、自社で作ったさまざまなソフトやプログラムをフリーにしています。読解マラソン集、課題集、項目表、ふりがな作成ソフト、森リン採点ソフトなどです。インターネットの時代には、教材は、万有引力の法則に従うかのように限りなく無料に近づく傾向にあるのです。

 このフリーの教材を、今後オープンソースとして、多くの人の参加によって充実したものにしていきたいと思っています。具体的には、読解マラソン集の長文や、読解問題などを、Wikipediaのようにオープンに作っていくことです。

 このようなフリーの時代に、何がフリーでないものとして残るのでしょうか。誰でも気がつくように最後に残るのは、人間どうしの触れ合いです。それは、一つにはその人らしい個性であり、もう一つは関わった時間です。

 作文指導で、小学校のころに教えた子供が、中学、高校と勉強を続けていくことがあります。そのときに、先生と生徒の間にできる人間関係がフリーにはならないもです。

 また、フリーの時代には、プロとアマチュアの差が限りなく小さくなっていきます。ジャーナリズムの分野でも、専業の記者と単なる読者という関係から、だれでも副業的に記者と読書を兼ねるような状態になっていきます。

 教育の分野でも同じように、今後、専業の先生と単なる生徒(保護者)という関係から、だれでも副業的に先生と生徒(保護者)を兼ねるような状態が生まれてくると思います。

 フリーの時代には、単に知識を教わるだけでなく、教わった知識を生かして自分も知識を新たに発信するという流れが生まれてきます。このときの動機は、コミュニティーの一員としての貢献、成長、助け合いなどの気持ちです。そして、その場合のコミュニティーの人数は、150人程度と言われています。

 これからの勉強は、この顔の見える人数のコミュニティで、発表と触れ合いのあるものになっていくと思います。



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