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黙読よりも音読、視写よりも音読 as/1952.html
森川林 2013/10/10 08:10 



 子供が小学校中学年になるころから、音読を嫌がるようになることがあります。
 なぜ音読を嫌がるようになるかというと、音読をすると親に注意されるからです。「声が小さい」とか、「読み間違えた」とか、「姿勢をよくして」とか、注意する方が気楽ですが、音読をするたびにあれこれ言われる子供の方はたまりません。
 だから、音読を嫌がるようになるのです。(又は、親のいないところで読むようになるのです。)

 今の親の世代のほとんどは、子供時代に音読という勉強の仕方をしていません。「慣れるより習え」という理屈本位の教育観が広がっていたころに、子供時代を送った人が多いからです。
 だから、子供に勉強を教えるときも、理屈で教えようとしてしまいます。それが、読み方に対する注意にも表れてきます。
 注意すれば、すぐにできるようになるはずという理屈に基づいた教育観があるからです。

 しかし、子供の学力は、そういう形ではつきません。
 下手でも、間違えて読んでも、ふざけて読んでもいいから、何しろ繰り返すことが大事です。繰り返しているうちに、注意したかったようなことは自然に直っていくのです。
 これが、「習うより慣れよ」という日本に昔からあった教育観です。

 では、なぜ黙読よりも音読の方がいいのでしょうか。
 それは、黙読で同じ文章を繰り返し読んでいると、すぐに斜め読みになり、やがて文字を眺めるだけになり、読むことにならなくなるからです。
 同じ文章を繰り返し読むために、音読が必要なのです。

 では、視写はどうなのでしょうか。
 ある文章を視写するとき、大事なことは、同じ文章を繰り返し視写することです。1つの文章を1、2回視写するだけでは、あまり意味がありません。
 しかし、視写は音読の5倍以上の時間がかかります。同じ文章を5回以上視写するような勉強は、ほとんどの子ができません。
 しかし、音読なら、視写を1回するのと同じ時間で5回以上繰り返し音読することができます。だから、視写よりも音読の方がいいのです。

 視写は、形の残る勉強です。だから、先生も、親も、子供も、視写の方があてのある勉強のような気がしますが、それは形の上だけのことです。
 勉強を内容本位に考えるなら、視写よりも音読なのです。

 ところで、音読というと、「枕草子」や「平家物語」という有名な文章の音読に意味があるように考える人がいます。
 それは、文化の音読であって、教育の音読ではありません。
 音読は、誰もが知っている有名な文章を覚えることに意味があるのではありません。
 自分の好きな文章で、自分が将来書きたいと思うような文章を音読することが教育の音読です。

 音読の目的は、文章を丸ごと理解する力をつけることと、語彙力、表現力、思考力、作文力を向上させることにあります。
 だから、音読は気長に繰り返すことが大事で、繰り返すためには読み方の注意などはせずに、毎日褒めて楽しく読めるようにしてあげる必要があるのです。

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子供の反抗期と親の権威 as/1951.html
森川林 2013/10/09 09:14 



 facebook記事より。

====

 小学校高学年になって、子供が親の言うことを聞かなくなるのは、親の権威がないからです。
 それは、小学校低学年のころに、親が権威ではなく権力で言うことを聞かせていたからです。

 昨日のゲーム機の話で言えば、ゲームの時間を決めて子供にコントロールさせるようにするのが権威です。
 ゲーム機を隠したり、禁止したり、使えなくしたりするのが権力です。

 戦後の日本は、個を主張し権威に反抗することが民主主義であるかのような教育が行われてきました。
 その結果、親が権威を持てなくなり、子供を正しく叱れないようになってきたのです。

 正面からきちんと叱ることができれば、普段は子供を叱る機会などほとんどありません。
 だから、楽しい親子関係ができるのです。

 親が子を思い、子が親を思うような関係が、日本における集団の縦のつながりです。
 だから、子供に伝える倫理観の出発点は、個の主張よりもまず親孝行です。

 子供が中学生になり反抗期になると、子供に遠慮して何も言わなくなる親が多いと思います。
 しかし、そういうときこそ、親がきちんと子供を叱るチャンスなのです。

====

 このことに関連して、時々感じるのは、父親の影の薄さです。
 しかし、それは、父親の責任だけではありません。

 家庭の中で父親を立てていくような母親の役割が欠けていることも多いのです。

 父親を立てる母のもとで、子供をきちんと叱る父と、愛情あふれる母によって、子供が自然に親孝行に育つというのが、家庭の本来あるべき姿です。

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