音声入力というのは、言い直しが効かないからうまく行かないでしょう、というようなことをよく言われますが、慣れればそんなことはありません。
その代わり、考えながらゆっくり喋ることが必要になってきます。
大事なことは、書く内容があるということですから、作文の場合も、書くことよりも事前の準備をどれだけしたかということが重要になります。
今、言葉の森では、予習シートなどをもとに事前に作文の構想図を書くことをすすめていますが、この準備をするかどうかで作文の出来栄えがかなり違ってきます。
今度の夏合宿では、ICレコーダーとクロームブックを使って、音声入力作文発表会というのをやってみたいと思っています。
作文の印象点に影響するものは、字数のほかに漢字の正確さというものもあります。
漢字の書き取りの力は、今のようにパソコンで文章を書くことがほとんどになっている世の中ではあまり必要のないものですが、今のところ作文試験は手書きで書くようになっています。
この手書きの作文で誤字が何箇所かあると、印象点が大幅に下がります。
文章の内容がいくらよくても字の間違いが2箇所も出てくると、それで不合格になってしまうということも多いのです。
字数をコントロールする力は、書き慣れることによってつくようになります。
誤字をなくすためには、自分が書いた文章を他人に見てもらい、間違えたところだけ取り出して練習する方法が必要です。
この場合の文章を見てもらう他人とは、身近なお父さんやお母さんです。文章を書くプロの人などに見てもらう必要はありません。
誤字のほとんどは、勘違いして覚えているということなので、自分では合っているつもりで間違えて書いているからです。
したがって、漢字の書き取り練習は、漢字だけを取り上げて練習しても、時間がかかるわりにあまり効果がありません。
漢字を知らないのではなく、間違えて覚えているということが誤字の原因だからです。
この誤字は、成績の優秀な高校生でもよくあります。それは、多くの子は、小学生のころはそれほど真面目に勉強していたわけではないからです。
だから、いちばん多いのが、小学4、5、6年生で習う漢字を間違えて書くことです。
漢字の練習は、漢字の問題集などでやるのではなく、自分が実際に書く文章で間違えた漢字を練習するということでやっていきます。
間違えた漢字をノートに書き出し、それを何度も繰り返して練習するのです。
もし自分の書いた文章を見てくれる人が身近にいない場合は、作文の中で使った漢字を自分が知っていると思っているものも含めてすべて辞書で調べ直してみるという方法が役立ちます。
誤字を完全になくすには、毎週作文を書いてその誤字をチェックするという方法を続けて約1年かかります。
800字の文章で1箇所誤字がある人は、その誤字を直しても、毎回新たな誤字が800字の文章に1箇所の割合で出てきます。そういう確率があるのです。
それだけうっかり覚えたつもりで間違えているという漢字は多いということです。
ただし、海外帰国子女の受験作文の場合は、作文の中の誤字は大目に見られているようです。
とは言っても、正しい漢字を書けるのに越したことはないので、作文練習プラス誤字チェックというのは早めにやっておくのがいいと思います。