●動画:
https://youtu.be/ZaaJ3YOyRos
言葉の森の読書感想文の指導は、3日に分けて1200字を書くというものです。
1日に400字ですから、誰でも書けます。
書く内容は、単なる感想ではありません。
感想文は、感想という言葉があるので、誤解されやすいのですが、感想だけなら「面白かった」「つまらなかった」以外に書きようがないのが普通です。
その感想の裏付けとなる、自分の体験や自分の知識を入れて書くから、感想が具体的になるのです。
そこで、言葉の森では、事前の似た話の準備に力を入れています。
こういう感想文指導を始めたのは、言葉の森が最初です。
それまで、読書感想文の指導というのは、雲をつかむような話ばかりで、ほとんどの子供は苦労していたのです。
大部分の子は、あらすじを長々と書いて、最後に短くどうでもいい感想を書くという形でした。
さて、言葉の森の指導法で、3日に分けて1200字の感想文のユニットを仕上げたあと、大事なのは全体をまとめることです。
まず、1日目と2日目の話、2日目と3日目の話が自然につながるように、間につなぎとなる文を入れる必要があることが多いと思います。
しかし、これはそれほど難しくありません。
「そのあと、こうなった」という途中経過の短いあらすじを入れるぐらいでいいのです。
難しいのは、最後の感想です。
3日目に書く感想は、3日目の文章に関する感想であるとともに、3日間にわたる全体の感想です。
この全体の感想を書くという構成力は、小学5年生にならなければ出てきません。
小学5、6年生や中学生でも、自分の力だけでうまくまとめられる子はあまりいません。
だから、ここは親と相談していく必要があります。
結びの感想は、言葉の森の小学5、6年生の作文で学ぶ「わかったこと」や「一般化の主題」です。
一般化の主題とは、「人間は」とか「人間にとって」という言葉でまとめていくことです。
この結びの出来が、1200字の感想文全体の印象を左右します。
言葉の森が以前、サンプルとして作った「桃太郎」の感想文を載せます。
この書き方を参考にして、お父さん、お母さんと相談しながら最後の感想をまとめてみてください。
▼「桃太郎」の感想文
https://www.mori7.com/as/1314.html
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1200字の読書感想文は誰でも書けますが、結びの感想をまとめるのは、子供の力ではなかなかできません。
だから、結びの部分は親子で相談して書くといいのですが、大事なことはやりすぎないことです。
子供の力が6割ぐらいで、親の手助けが4割ぐらいならいいのですが、親の手助けが6割以上になると、子供はそれを自分が書いた感想文とは思えなくなります。
そういう感想文の出来がいくらよくても、子供はうれしくないのです。
読書感想文は、誰でも書けます。
言葉の森が、日本でたぶん初めてその書き方を具体化したからです。
(オーバーに聞こえますが本当です。)
それまでの感想文指導は、雲をつかむような話ばかりで、たまたま上手に書く子がいても、ほとんどの子は長々とあらすじを書いて、最後に短く「私も……したいと思います」のようなとってつけた感想を書いていたのです。
ところで、感想文の宿題でいつも問題に思うのは、小学2年生以下の生徒に感想文の宿題を出すことと、中学生に「税金」とか「人権」とか決まりきった宿題を出すことです。
なぜ、そういう宿題を出すかというと、その先生が授業で感想文の指導できないからなのです。
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●動画:
https://youtu.be/9NLLT-KBKhQ
オンライン五人クラスの特徴は、全員の発表ができること、互いの対話ができること、自主学習を基本にしながら先生の個別指導があることです。
国語、算数数学、英語などの教科の勉強では、オンライン五人クラスの特徴のうち、自主学習と個別指導が中心になり、発表と対話はあまり前面には出てきません。
勉強の性質上、個性的な発表をする面はあまりないからです。
もちろん、工夫をすれば、勉強的な教科でも創造的な発表をすることはできます。
例えば、自分が問題集で解いた算数数学の問題をもとに、オリジナルな問題を作り発表をすることです。
一時、こういうことを試みましたが、やはり普通の子供たちにはまだ負担が大きかったようです。
しかし、オンライン五人クラスの発表と対話の勉強に、よく合う教科もあります。
それが、作文と創造発表とプログラミングです。
これらの勉強の特徴は、国語や算数数学や英語と違って、ひとつだけの正解がないことです。
10人の生徒がいれば、10通りの個性的な学習になります。
こういう個性的な学習は、人数の多いクラスの一斉指導ではカバーできません。
しかし、個別指導だけでは、子供たちにはものたりない勉強になります。
自分の想像した作品を発表し、ほかの人の感想を聞き、また、ほかの人の発表も見て、自分も感想を言うという発表と対話のやりとりが勉強の重要な中身となるのです。
これは、世の中ではアクティブラーニング的な勉強と言われていますが、私はそういうカタカナ混じりの言葉ではなく、発表教育、又は、創造教育、又は、創造発表教育と呼びたいと思います。
話は変わりますが、日本の教育界では、カタカナの外来語をそのまま使うケースが多すぎます。
ダイバーシティ教育とか、ブレンデッド教育とか、そういうカタカナ言葉を喜んで使っている人を見ると、いつもばっかじゃなかろうかと思います。
それはともかく、これからの教育の目指す方向は、個性を生かし、創造性を発揮する方向です。
その個性と創造性の土台として、これまでの通常の教科の教育があるという関係になります。
しかし、その教科の教育は、わざわざどこかに通って先生に教えてもらわなくても、優れたウェブ教材を利用して自学自習でできるようになっています。
先生が必要なのは、自学自習ではわからなかったところを質問するときだけです。
だから、言葉の森のオンライン五人クラスも、自主学習と個別指導を基本としているのです。
オンライン五人クラスの教育が創造と発表の教育にいちばん適しているということは、多くの人が理屈の上では納得すると思います。
しかし、今の教育界で、オンライン五人クラスの教育を実践しているのは言葉の森だけだと思います。
そのため、まだ、このオンライン五人クラスの教育の価値は、多くの人に理解されていません。
また、オンライン五人クラスの教育は、たまたま集まった5人の生徒の相性が悪かったり、学年やレベルが違い過ぎたりすると、かえってマイナス面の方が出てきます。
だから、運営は難しいのですが、生徒数が増えてくれば、そういう問題は自然に解決します。
同じぐらいのレベルの仲のいい生徒が切磋琢磨しながら、発表と創造の学習に取り組むというのが、言葉の森が描く未来の教育のイメージです。
そういう状態が早く作れるようにがんばっていきたいと思います。
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作文や創造発表やプログラミングの勉強で、いちばん大事なのは、発表の場があることです。
そして、自分の発表に対して、友達からの感想や対話があることです。
ところが、今の一斉指導型の学校教育では、そういうことはまずできません。
一斉指導は、全員を同じ水準にするために作られた昔の制度だからです。
しかし、その一斉指導自体も、子供たちの学力の格差に対応できなくなっています。
異なる生徒の学力を向上させるために必要なのは、それぞれの生徒に合った自主学習と、その自主学習に対応する個別指導です。
この両方の役割(発表と対話、自主学習と個別指導)ができるのが、オンライン五人クラスです。
しかし、もちろんオンライン五人クラスにも弱点があります。それは……
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https://youtu.be/4UgOUcCQOfI
言葉の森の作文指導は、小学生までは主に表現項目の指導です。
たとえを入れたり、書き出しの工夫をしたり、結びの工夫をしたりという表現の工夫をすることが勉強の中心になります。
少し難しいのが結びの工夫です。
結びの工夫をうまくするには、書き出しも工夫しておくことが必要ですが、この書き出しの工夫を会話の書き出しなどでありきたりに書いてしまう子が結構多くいます。
会話の書き出しは、小学生の最初のころにする書き方ですが、これをいつまでも続けてしまう子もいるのです。
書き出しの工夫は、情景の書き出しとして工夫する方が、結びもうまくまとめやすくなります。
しかし、ここまではあくまでも表現上の工夫ですから、あまり頭を使うわけではありません。
頭を使って書くのは、中学生の構成中心の作文を書くようになってからです。
以下、構成の工夫の概略を書きますが、勘のいい人はこの概略の説明だけですべてわかると思います。
しかし、普通は、実際に具体的に書く指導を受けないとわかりません。
中学生の構成の項目は、複数の理由です。
中学生になったばかりの生徒は、「理由を書く」という抽象的なことが理解できず、いつまもで実例を書いてしまう子が結構います。
「理由を書く」ということは、抽象的な頭の使い方を必要とするので、なかなかできない子も多いのです。
理由の書き方は、4つあります。
AとBの二つの意見がありAに賛成する場合、第一はAのよい理由です。第二はAの悪くない理由です。第三はBの悪い理由です。第四はBのよくない理由です。
このように考えると、複数の理由はすぐに出てきます。
中学2年生は複数の意見を書きます。
この複数の意見を総合化するところが難しいので、ほとんどの生徒は折衷案を書いてしまいます。
途中までの展開がよく書けていても、結びが折衷的な意見になると、竜頭蛇尾というか、全体にものたりない作文になってしまいます。
総合化の主題は、意見の次元を変えることが必要です。
例えば、Aという意見も確かによい、しかしBという意見もよい、だが大事なのはAかBかという方法ではなく、その目的とする(又は結果とする)Cなのだ、という書き方です。
これは、逆にも言えて、Aという目的もよい、しかしBという目的もよい、だが本当に大事なのはそれをどう実現するかという方法Cなのだ、というふうにも書けます。
次元を変えることによって、堂々巡りの意見から、新しい展開になっていくのです。
中学3年生と高校1年生は、複数の方法です。
ほとんどの生徒は、方法を個人的、人間的なことで書いてしまいます。
しかし、第一の方法を人間の心構えようなことで書いたら、第二の方法は話を広げて社会的な方法として書いていくのです。
この方法の広がりということが大事です。
高校2年生は、複数の原因です。
実例はいくらでも多様に書けますが、原因の種類はかなり限られます。
社会的な問題の原因は、共通していることが多いからです。
この原因の書き方は、ひとつは歴史的原因です。もうひとつは社会的原因です。
こういう縦軸と横軸の広がりをもたせることが大事です。
高校3年生は、原因のほかに対策を考えます。
対策の書き方の方向は、4つあります。
自主、民主、公開、発明という方向です。
世の中の多くの問題は、自主、民主、公開によって解決に向かいますが、物事を本質的に解決するものは実は発明なのです。
高校2年生の社会問題の主題は、簡単に書けますが、高校3年生の予測問題の主題は、頭を一度ひねらないと書けません。
予測問題の主題とは、今の社会問題が解決したあとに出てくる問題です。
これはかなり頭を使うので、講師であっても、アドリブではなかなか教えられません。
このように考えると、作文とは、小学生のころは主に表現力の勉強のように見えますが、本当は思考力の勉強なのだということがわかります。
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