https://www.youtube.com/watch?v=vS6cGFu-ffE
●読解力低下の実態
子供たちの読解力の低下が指摘されています。
新井紀子さんの著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』にも書かれているように、教科書を読み取れていない子が実は数多くいることがわかってきました。
読解力のなさは、聞き取る力のなさにも表れます。
私がみんなの前で何か説明をすると、そのすぐあとに、「今なんて言ったの?」と聞く子がいました。
そして、もう一度詳しく説明し直すということが何度かありました。
一度で聞き取れないということは、文章を読むときも一度で読み取れていないということです。
●読み取る力の個人差
読み取る力で言えば、その反対に、こちらがみんなに向けて保護者向けのプリントを渡すと、すぐそのプリントを読み取って中に書かれていることを質問する子もいます。
保護者向けのプリントですから、自分には関係ないと思ってすぐにしまう子がほとんどですが、文章が書いてあるとすぐ読みたくなる子もいるのです。
●読解力向上の重要性
これからの日本の発展を考えた場合、子供たちに読む力が不足しているというのは極めて重要な問題です。
この読解力の向上を教育の中で早急に進めていく必要があります。
●緻密な読み方の効果
新井紀子さんはこの読解力不足を解決する方法として、緻密に読むという問題の解き方を説明しています。
これは、言葉の森の「読解検定」が行っている方法と同じで、表面的に読んで内容を理解するのではなく、緻密に読んで内容を把握するという読み方です。
この読み方を教えると、どの子も急速に国語の読解力が向上します。
しかし、この緻密に読むという方法は、ある程度手取り足取り説明しなければ子供には伝わりません。
先生が一人の子供に対して一時間も二時間も説明するのは時間的に難しいですから、読解検定の間違えたところを理解するためには、親が一緒に見てあげることです。
つまり、読解検定で×だったところの理由を親が一緒に考えてあげるのです。
●解き方のコツだけでは不十分
ところで、読解力はこのように解き方のコツを身につけるだけで成績が上がりますが、実は解き方のコツだけではカバーできないものがあります。
それは難しい文章を読み取る力です。
解き方のコツを身につけた子でも、普通の問題文はよい点数が取れるのに、難しい問題文になるとよい点が取れないということが出てきます。
つまり、読解力をつけるためには、解き方のコツを身につけることのほかに、難しい文章を読む習慣をつけることなのです。
●言葉の森の取り組みは難しい文章に慣れること
この難しい文章を読む習慣をつけるために、言葉の森では国語読解クラスを開設しました。(現在は全科学力クラス)
難しい文章を読むことが大切だといくら説明しても子供は実行しません。
それは、あてのない勉強のような気がするからです。
難しい文章を読む最も手軽な方法は、国語の問題集の問題文を読むことです。
それも一回だけではなく、一冊を読み終えたらまた最初に戻り、最初から同じように繰り返し読み、一冊の問題集の問題文を五回読み込むことです。
●難しい文章を読むための音読の方法
小中学生は勉強の自覚がまだあまりないので、黙読で五回読むと言っても斜め読みになってしまうことがあります。
だから、小さい声でいいので、問題文を音読して読むということです。
ただ、小学校高学年から中学生ぐらいになると、子供は音読を嫌がります。
それは、小学校低中学年のころに、音読をすると親に注意されることが多かったからだと思います。
子供の音読を聞くときに大事なことは、読み方を注意するようなことは一切せずにただ褒めることです。
褒め方は、
「難しいのをよく読んでるね」
「だんだんうまくなってきたね」
などでいいのです。
これなら子供がどんな下手な読み方をしていても、嘘を言ったことにはなりません。
こうして音読を続けて半年たつと、読む力が変わってくるのがわかります。
●読解力の先にあるもの
さて、ここまで読解力の大切さとそのための方法を述べてきましたが、本当に大事なのはこの先です。
読解力とは答えのある世界です。
だから、学力のある子は満点が取れて当然になってきます。
そこで東大の現代文の入試問題は、読解の選択問題などはなく、すべて記述問題になっているのです。
答えのある勉強はできて当然だから、答えのないところでその生徒の学力を見ようというのです。
次の話は、読解力の先にある記述力、作文力についてです。
(つづく)
https://www.youtube.com/watch?v=1eUT0hnU7bg
●作文が上手になるための三つの条件
作文試験に合格するような作文を書くコツは次の三つです。
第一は、内容に個性、挑戦、感動、共感などがあるということです。
第二は、表現の項目として、わかりやすい構成、体験実例と社会実例の広がり、光る表現、深い感想があるということです。
ほかに補助的な条件として、指定の字数どおりに書く力、誤字や誤表記がないこと、試験の時間内に書き上げるスピードなどもあります。
第三は、語彙の力で、これが森リンの評価の中心です。
●語彙の力が本当の実力を表す
語彙の力というのは、作文を読んでいると、密度が濃いとか、内容が充実しているとか、同じ字数で書かれていても読み応えがあるとかいう感覚を読み手が持つ要因です。
また、この語彙の力は、単に上手に書くためのコツとしてだけでなく、その作文を書く人の本当の実力と言えるものなのです。
●作文は考える力を育てる
作文を書く勉強をする本当の目的は、作文試験に合格するためだけではありません。
文章を書くことは、ものごとを自分なりに考える力を育てることです。
自分なりに考える力は、人間生活の基本とも言えるものです。
例えば、何かの会合で司会をする時なども、考える力があれば会議の進行をうまく進めることができます。
自分の言いたいことを人に伝える時も、相手に分かりやすく、つまり構造的に説明することができます。
また、物事を考える時にも、深く広く考えることができます。
●文章を書く楽しさは人生を豊かにする
そして、当然ですが、文章を書くことが負担にならないだけでなく、文章を書くことが好きで楽しいと思えるようになるのです。
この文章を書くことが好きで楽しいというのは、日本特有の文化とも言えるものです。
かつての万葉集の時代から、源氏物語や枕草子などの女流文学の時代、そして短歌や俳句などの短い詩形式の趣味の広がりなど、日本人の多くは、文章を書くことを生活における楽しみの一つとしてきました。
●子供のころから作文を楽しむ土台を作る
だからこそ、子供時代のうちから、作文を書くことが好きで楽しいと思えるような土台を作っておくといいのです。
作文を書くことは、単に作文試験に合格するためだけのものではなく、自分の生活を文章を書くことによって豊かにすることにもなっているのです。
▽関連情報(by Gemini)
「森リン」について
文章中にある「森リン」とは、作文通信教育大手の「言葉の森」が開発した自動作文評価テスト(AIによる作文の客観的評価システム)のことだと推察されます。このシステムでは、文中の「言葉の結びつき」や「語彙の豊富さ」などを数値化して評価する特徴があります。もしこのシステムに関する文章であれば、文脈の通り「語彙の力」がその評価の核になっていると言えます。
「構造化」と「思考力」の関連性
文章を書くことで思考が整理されるプロセスは、現代のビジネスや教育でも「言語化力」「論理的思考力(ロジカルシンキング)」として非常に重視されています。
日本の日常における書く文化
現代でもSNS(ブログ、note、短歌の投稿など)で個人の発信が盛んな日本の土壌は、まさに文章中で触れられている「万葉集や俳句から続く、書くことを楽しむ文化」の地続きであると言えます。