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小学生の勉強のさせ方のポイント as/782.html
森川林 2010/02/16 04:50 



 これは、小学生とは書いていますが、中学生にも高校生にも共通する勉強のコツです。特に、第二の話で書く「短期間でできるようにさせる」というのは、あらゆる勉強の仕方に共通します。


 保護者のみなさんからいろいろ相談を受けることがあります。その中で、特に気がついた問題が二つあります。

 第一は、低学年のときの勉強のやらせすぎです。第二は、できるようにさせてから褒めるという勉強の仕方をしている人が少ないことです。


 まず第一の勉強のやらせすぎから説明していきます。

 低学年は、親や先生の言うことをよく聞きます。また、適応力があるので、やらせようと思えばどんなことでもやっていきます。

 そのため、親はつい必要以上に勉強をさせようとしてしまいます。また、うまくできないと注意してしまいます。

 勉強をたくさんさせすぎると、子供の熱中力がなくなってきます。何をするときでも、ほどほどにやるという姿勢が生まれてくるのです。

 小学校低学年のころに遊びに熱中した子は、いざというときに馬力がかかります。低学年のころは、苦しい勉強はしたくないのが普通です。自分の好きなことをして自由に遊んでいたい年齢です。この時期に親の言うことを聞いて、言われたとおりに勉強をしている子の中には、将来の熱中する力を犠牲にしている子も多いのです。


 勉強をしていてうまくできないときに注意するのも、子供にとってはマイナスです。低学年のころのほとんどの注意は、そのときにしなくても、年齢が上がれば自然に直るものです。

 例えば、作文の例で言うと、低学年のころによくまちがえる「わとはの区別、おとをの区別」です。本を読む量がまだ少なくて、言葉のほとんどを耳から聞いている時期に作文を書かせれば、「わ」と「は」の区別はできないのが当然です。だから、それを急いで直す必要はありません。直すよりも、本を読んで言葉を目から読む経験を増やしていくというのが最初にすることです。

 注意して直すことによるプラスよりも、注意して勉強は苦しいものだという意識を持たせてしまうマイナスの方が大きいのです。


 では、どういう勉強をさせたらいいのでしょうか。

 低学年のころの勉強は、習慣をつけるということが目的です。決まった時間に決まったことをすることが大事です。しかし、それで成績を上げることを目指すのではありません。

 百ます計算や漢字の書き取りも、勉強をすること自体は何も問題がありません。毎日の習慣となるような形で勉強すればいいのです。しかし、それを他人と競争したり比較したりして、もっと完璧にできるようにさせようとすると、やらせすぎのマイナスが出てくるのです。

 また、家庭学習の習慣とする勉強は、問題集を解くようなものよりも、本を読むようなものの方がずっと効果があります。問題集を解くという勉強スタイルは、一見勉強をしているような感じがしますが、結局できることをくりかえす作業にすぎません。問題を解くという勉強に意味があるのは、できない問題をできるようにさせるという過程があるときだけです。


 次に第二の「できるようにさせてから褒める」という勉強の仕方の説明をします。

 勉強でもスポーツでも、できないことをできるようにさせて初めて意味があります。できるようにさせて、そして褒める、というのが理想の勉強の姿です。ところが、できないという状態を続けたまま、注意をしたり褒めたりという事後の工夫に力を入れている人が多いのです。

 「できる」というのは、勉強のいちばんの核心です。「注意する」「褒める」というのは、その外側のおまけの部分です。

 問題集を解くような勉強では、できるできないがはっきりしないことが多いので、この問題はそれほど表面に出てきません。だから、問題を解くような作業的な勉強は、あまり意味がないのだとも言えます。

 暗唱の勉強は、できるできないがはっきりしています。暗唱の勉強で、「できない」という状態を続けたまま、あとから褒めたり注意したりしてもそれらはすべて空回りになります。「できる」ようにさせてから、初めて褒めることも注意することも生きてきます。

 そのためには、一時期、無理矢理にではあっても、できる水準までさせてしまうことが大事です。そのときのコツは、できるだけ短期間に形だけでもできるようにさせて、子供に自信を持たせることです。

 暗唱の場合は、80%や90%できる状態で満足するのではなく、100%できるところまでやらせて、そのあとにたっぷり褒めていくことです。時間で言えば、10分かかることがせいぜい15分か20分に延長するぐらいですから、無理にやらせるとはいっても大したことではありません。それよりも、100%できるようにさせることで子供が自信を持つということが大きいのです。

 中学生や高校生の勉強でも同じです。

 苦手な教科があった場合、その勉強を毎日少しずつ取り組んでもできるようにはなりません。夏休みなどに朝から晩まで何週間も集中して取り組み、何が何でも得意にしてしまうところまで持っていくということが大事です。

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kamama 20150102  
現在小1男子の母です。コメントとというより質問になりますが、お願いします。
3人兄弟の長男についてですが、幼児期より座って勉強する事が習慣になればと思い、幼児教室に通ったり自宅でも幼稚園に行く前にプリント学習の時間を取ったりしていました。次第に私も熱が入ってしまい、出来ない事を怒ったり追及したりできるまで練習させたりと、今となればやり過ぎたと思う事が気づきつつもやめれなくなっていました。
もちろん座って勉強だけでなく、外遊びをしたり、色々一緒に出かけたりもよくしていました。
しかし、小学校(公立)にあがってからも、幼児期にしていた事が全く無意味だと思い知らされる様に、息子は波にのればスラスラできるのですが、集中力に欠け、行動も遅く、学校でノートをとるのも遅れて、休み時間にやりなさいと言われた事も忘れて遊んでしまい、家に持って帰ってきたりします。その事に関しては、友達と話していて出来なかったというのはよくないけれど、自分なりのペースでついていけなかった分に関しては仕方ない。でも後でやる所までは、休み時間等を使ってきっちりやろうと本人に話しています。本人も納得し、今日はできたよ等、報告してくれて出来たときには褒める様にしているのですが、ひと度調子が狂うと漢字プリント7問程度を書き写すのに1時間以上かかります。(ほぼやり始めるの時間がかかります。)ただ、自分の好きな絵を描いたり、何かを作ったりにはすごく集中します。本も、面倒くさがりなので自分ではあまり読まないのですが、読んでもらうのは好きで内容もものすごく理解しています。ただ、本人も怒られ慣れているのか、何度注意されても行動は遅く、自分でも人より行動が遅いと思っていて、自分に自信も持っていません。
やる事を早く終わらせたら自由時間がたくさんあるという事を理解しつつも結局グズグズダラダラして時間がかかり、最終的に怒られるという流れです。
幼児期に長時間座らせて、意味のないやり方で勉強させていた事が今の集中力や学習意欲低下などに影響しているんだなと後悔している日々です。
やはり学習意欲や集中力を今から上げるのはもう難しいでしょうか?習慣改善や何かアドバイスをいただけたら有り難いです。
因みにお稽古は通信教材、習字、そろばん、英語、ピアノ、スイミングです。お稽古はどれも宿題は少なく、宿題やろっかと声をかけるとやり、どれもやめたくないと言っています。

森川林 20150103  
 気がついたときから新しいスタートをすればいいのですから、そんなに心配することはないです。
 集中力がないのは、本人がいやになるほど長い時間やらせていたり、早めに終わると追加の勉強をさせていりしたからです。これからは、分量をこれまでよりもずっと少なくして(そのかわり毎日欠かさずやるようにして)、本人が自分でやって自分でおしまいにする形にするといいです。

 学校で言われたことがすぐにできないのは、家庭で何度も注意されてやっとやるという形に慣れているからです。これは怖いお父さんでもいないとすぐには直らないですから、これからは気長に、言われたことはすぐにやるのがいいということを理屈で言ってあげることです。学年が上がるにつれてだんだん自覚してきます。

 小学校時代は、勉強よりも読書を優先する時期ですから、時間のかかる習い事はやめて、そのかわり読書と対話と遊びの時間を増やすといいと思います。
 英語、ピアノ、習字はしなくてもいいと思います。英語は特に必要ないです。

 通信教材は、基本的な算数だけに絞るといいと思います。「できた君の算数」がいいと思いますが、これまでのを続けるなら量を少なくすることと、間違えたところを繰り返すやり直す仕組みを作っておくといいです。(小1や小2ではそういうところはまだほんとんどありませんが、学年が上がると出てくるので)

 あとは、楽しい生活を送ることが大事ですから、お母さんができるだけがんばって明るくやっていくことです。

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森川林 2010/02/15 18:04 



 前回は、速くわかりやすく書く書き方を説明しました。今回は、美しく書くという方法です。

 美しく書くというときの美しさとは、わかりやすさの発展したものです。わかりやすさとは、平均値に近いことです。

 文章を読むとき、読み手は読んでいる文の先を予測しながら読み進めています。その読み進める予測の方向が平均的であるとき、その文章はわかりやすい文章だと言われます。

 美しさとは、その平均値からある方向性をもってわずかにずれることです。だから、わかりやすく書く実力をつけておくことがまず大事です。平均値がはっきり把握されているからこそ、ずれることもできるのです。

 これは、スポーツにおけるフェイントやフェイクと似ています。正しいドリブルやパスができるからこそ、方向をはずすフェイントやフェイクができます。

 では、それをどのようにして身につけるのでしょうか。その方法が、暗唱法です。

 暗唱というと、普通は、記憶力を育てたり、模倣の練習をしたりすることと思われがちです。しかし、実際に暗唱の練習をしていて感じることは、暗唱によって、発想力が豊かになり言葉のリズム感が育つということです。

 しかし、ここで大事なことは、暗唱には方法があるということです。

 言葉の森が音読の自習を始めたとき、音読をさせるような勉強法は世間一般にはありませんでした。それが次第に、学校でもどこでも音読をするようになってきました。

 しかし、中には、上手に音読できなことを注意するような勉強の仕方も増えています。音読は退屈な勉強なので、勉強の仕方を工夫しないとかえってマイナスになります。

 暗唱の場合は、音読よりも更に勉強の仕方を工夫する必要があります。その理由は、暗唱は、音読よりも更にはっきりとできるできないの差が出るからです。このため、暗唱は、やり方を工夫しないと子供に対する負担の大きい勉強になります。

 では、どのように暗唱をしたらいいのでしょうか。暗唱のコツは、次のとおりです。

1、繰り返すこと

 ほとんどの人は、暗唱の練習というと、覚えようとして読みます。覚えるのは、暗唱の結果であって目的ではありません。
 暗唱は覚えるために読むのではなく、ただ繰り返すために読むのです。

2、声を出して読むこと

 暗唱は、耳から言葉が入ることが大事です。目だけで意味を理解して読もうとすると暗唱がかえってできなくなります。

3、早口で読むこと

 早口で読むことによって、ひとまとまりの文章が丸ごと頭の中に入るようになります。一語ずつ逐語的に意味を理解しながら読むと暗唱は難しくなります。
 息継ぎをしならが上手に読むのではなく、できるだけ一気に読むという読み方をするのが暗唱のコツです。

4、読み方を注意しないこと

 間違った読み方をしても直しません。読んだあとは、ただ褒めるだけです。間違いは、実力がつけば自然に直ります。間違いを指摘することによって暗唱にブレーキがかかるという弊害の方がずっと大きいのです。

 暗唱をうまく生かして作文の勉強をしていってください。



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