| 多面的なものの見方 |
| アジサイ | の | 道 | の広場 |
| 眠雨 | / | うき | 高1 |
| 一面的なものの見方は良好な人間関係を生み出さない。その点で言えば、絶 |
| 対的な「正義」や「悪」を作り、常に両者の対立によって話を進める最近の作 |
| 品は、褒められたものではないだろう。勧善懲悪、正義の暴力という解決形式 |
| がまかり通っている中、我々はもっと多面的なものの見方を見につけていくべ |
| きだ。 |
| そのためにはまず、他者の身になってることが大切である。人間は、ともす |
| れば自分が見えるものだけが世界だと勘違いしてしまうものだからだ。方法は |
| それこそ人によって様々だろうが、例えば私にとってそれは演劇だった。台本 |
| を選ぶ課程、その根底にあるテーマの把握。そして台詞。人物を創っていく過 |
| 程。登場人物は自分から離れ、人格を形成していく。まさに他者を理解する作 |
| 業への慣れである。 |
| 確かに、自分の中で揺るがない価値観を持っていれば行動は迅速になる。だ |
| が、そうした強すぎる自我が生んだのは差別と独裁。ユダヤ人の虐殺や比叡山 |
| の焼き討ちといった痛ましい事件。我々には言葉がある。我々には過去がある |
| 。我々はそのすべてを、我々自身への教訓として受け止め、より大きくなって |
| いくことができる。過ちを繰り返さないため、我々は多面的なものの見方を身 |
| につけるべきである。 |